いつかあの機能も付けてみせる
「今回の依頼なのじゃが、場所はとある廃墟じゃ。
討伐対象は特になし。
定期的に低級の怪異が集まってくる場所での。
放っておくわけにもいかんからお主らのような見習いの修行場として使っておるのじゃよ」
そう言って婆さんがレジを操作すると裏口の扉が開く。
開いた扉は先が見えず水でできた膜のようなものが見える。
「廃墟の入り口に繋がっておるからな。
名札は絶対になくすんじゃないよ!」
婆さんがそう言うと
『はい、行ってきます!』
と言って扉の先へ向かっていった。
扉の先はボロボロの廃墟だった。
「わわわ、夜中にやってる怖い番組で来る所みたい」
「間違っては無いんでしょうね」
「鳥、どう?電子機器は動く?」
「うーん・・・問題はないみたいですな。
早速、この場所の地図を調べてみますぞ」
鳥は装備している小型PCを起動し始めた。
PCは左腕に着けるガントレットのような形をしており時計を見るような形で左を前に出し、右手で取り付けられたキーボードを操作していく。
「それ格好いいよね!
なんか未来の装備〜って感じ」
「残念ながら悪魔を召喚する機能はありませんが、マップを出したり怪異の解析をすることは可能ですぞ」
「悪魔を召喚って・・・なに?」
「気にしなくていい。鳥の好きなゲームの話だから。
それよりマップはどう?」
「問題ないですぞ。これを見てください」
鳥はそう言ってPCの画面が見えるように左手を前に突き出す。
4人は前後左右という位置関係でその画面を上から覗き込んだ。
「この建物は二階建てで一階は大きなホールに。
二階は小部屋が2つある簡素な作りですな。
小生たちがいる場所はこの建物の入り口で真っ直ぐ進むとホールにあたりますぞ。
二階にはホール入り口の手前から左右に伸びる通路を使い、突き当たりの階段を昇ればいいようですな」
鳥がPCの画面を見せながら分かりやすく説明していく。
「ホールはなにも考えずに飛び込むと危ないと思う。
中には敵が沢山いそうだし、戦っている最中に二階の怪異が降りてきても厄介。
先に二階を制圧した方がいい」
「小生も同意見ですな。
まぁ、多数の敵ではなくボスがいるかもしれませんが。
左右のどちらかの階段を使って二階に上がり、部屋の探索を終えてから使わなかった方の階段で降りてここに戻ってからホールに行くのがいいと思いますぞ」
月と鳥の言葉に風と花は
「じゃあ、左から行こう!」
「それじゃ、右から行きましょう」
と見事に意見が分かれたのだった。




