算数は苦手だけど0になると駄目なのは分かる
花視点です。
皆を守れる正義のヒーローか。
あたしも目指してるし丁度いいじゃん。
「風、ダディの弟子になりなさい。
それで一緒にマガドキバスターズになって皆を守れるヒーローをやろう」
あたしがそう言うと風は首を傾げて
「マガドキバスターズ・・・ってなに?」
と言った。
そういえばその辺りから説明しないといけないのか。
「マガドキバスターズってのは幽霊や妖怪と言った怪異と戦って鎮める正義のヒーローよ。
風も気絶する前に見たでしょ?」
「んーと、ああ!いつも見えてるのが襲いかかってきたんだ。
そういや、あの時バットを思いっきり振ったら何か緑色の光が出たんだよね。
必殺技みたいで格好良かったからまた使いたいな〜」
この子・・・死にかけてたのに呑気ね。
「ダディから聞いてるけどそれを使うのはやめておきなさい。
風はそれで死にかけてたんだから」
「え、どう言う事?」
「ちょっと待ってなさい」
私は席を外してコップに少し水を貯めて風の前に持っていく。
そして少しずつ霊力を込めて水を祝福していった。
「わわわ、花の手から何か白いのが出て水に移ってる!!」
「これは私たちの中にある力。霊力と呼ばれるもので精神の力と思っていいわ(なんか急に距離感近くなった気が・・・)」
「霊力・・・」
風はそう呟いて自分の身体を見た。
「この力が強いほど幽霊や妖怪は見えやすいの」
「んーと、じゃあ僕の霊力って強いの?」
「ええ、かなりの強さね。
それで、この霊力なんだけどこうやって物に込める事が出来るんだけど、込めた分だけ減っていくのよ。
例えば私の中に10の霊力があるとしたら今ので1使ったわ。
これが0になるとどうなると思う?」
風はあたしの質問に悩むが全くわからないようで頭をかきむしり始めた。
「うーん、分かんないよ」
「答えは簡単。衰弱して死んでしまうの。
失った分の霊力は寝たり聖水を飲んだら回復するんだけどね」
そこまであたしが言うとようやく察しがついたのか風の顔が青ざめていく。
「え、じゃあ僕が倒れたのって・・・」
「霊力の込めすぎ。
ここに運び込まれてきた時には風の霊力は1も無い、限りなく0に近い状態だったんだから。
ダディがその場にいなかったら風は死んでたかもね」
今度は本当に死の恐怖を感じてしまって怖くなったのね。
風はガタガタと震える身体を抱きしめるように縮こまってしまった。
あたしはそんな風の身体を抱きしめながら
「そうならないように、あたしと霊力を扱う訓練してマガドキバスターズになりましょうよ」




