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Ⅶ 燃え盛る希望

「彼女・・今は病院か?」

 友が問いかける。

「それを君が知る必要はない。僕によってここで死ぬのだから。」

 青年は殺気立っている。

「そうか・・なら取引をしようじゃないか。俺は命を差し出す。その代わりお前は俺の仮説の真偽を明かす。」

 友はそう言うと数枚の紙をポケットから手に取り、空高く上げる。

 その言葉と行動で私は友が何をしたいのかが分かった。

 友はここで言質を本人にとり、自分の命と引き換えに影響力のある協力者を増やそうとしたのだ。私は助けに行く衝動を抑え、ただ見守ることしかできなかった。ここで動けば友の計画が無駄になる。私はふと横を見ると、記者見習いの男は拳を握りしめながらただ前の出来事を見つめていた。

「なぜ僕がそんな取引に付き合う必要がある?僕が殺してしまえばそれで終わりじゃないか。」

「ここにはお前が悪魔とつながっているという俺の仮説とその根拠となる証言、証拠がある今俺がこの手を離せば街のどこかに流れ着くだろう。もし取引に応じなかったり、何か動きをすればすぐにこの手を離す。」

 その時風が吹き始める。

「今の時期は風が強い。そして公園の裏には山がある。夜も深い今、強い風が吹く山風が起きる。お前が俺を殺して探すよりもきっと下にある街の誰かが拾うだろう。そしてこの近くには最近できた新聞社もある。あとは・・分かるな?」

「そんなものハッタリだ。証拠などあるはずがない。」

 青年が震えた声で言う。

「悪魔と繋がりはあるというのは否定しないんだな。どっちにしろ心配性なお前はこの取引に乗るしか無い。父が殺されたあの日お前が俺を殺せなかったようにな。」

「父?ああ。君はあの商会長の息子か。やはりあの日に殺しておくべきだったか。」

 商会長の父とは私の父のことだ。友は私に成りすましているのだろう。私の身を案じてなのか。それとも自分の仮説を証明するのにちょうどよい立場なのか。はたまた両方か。それを知ることはもう無いのだろう。

「俺は昨日、ある証言を聞いた。お前が悪魔と連絡を取っている姿があったと。お前がいつも持っている板でな。そしてお前が来てから起きている焼死事件。私の父が調べていた悪魔の記録。これらから推察できるのはお前が悪魔の”手下”であるということだ。そして数千年前のようにこの世界を支配するのがお前の使命であると。」

「大層な仮説だな。その”手下”とやらは何のことだ?」

「手下とは今を生きる者ではない。つまり未来のものということだ。悪魔は手下を何らかの方法でこの世に呼び出し、力を与え、支配するように促す。どうだ?あってるか?正解か不正解かで答えればこの紙は渡してやる。」

「・・・ほぼ正解と言っておこう。そいつを渡せ。」

 友は少し笑ったような気がしたが、後ろ姿ではっきりとは見えなかった。

 友は持っていた紙を破り始めた。

「これで証拠隠滅だ。」

 そして友は隠し持っていたマッチに火を付け、紙を燃やした。

「これで俺は満足だ。さあやれよ。」

「・・・ここで殺せてよかったよ。僕の計画もあと少しだからね。」

 青年がそう言うと一瞬にして友の全身から火が燃え上がった。

 私はただ燃える友が倒れる姿を私はただ見つめていることしかできなかった。


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