表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/49

第005話 由香さんとの出会い

新キャラ出たけどそのおかげで説明が多少長いです。

「君が新しく入った女の子?」


 その声に私はすぐ返答した。初対面の挨拶って大事だもんね。


「はい! 永嶺紗友です。よろしくお願いします!」


「よろしくね。私は佐村由香(さむらゆか)、三年生だよ」


 ああ、道理ですっかり忘れていたし、なかなか会えなかったはずだ。由香さんは私と違って既にマイナー部門だったのだ。二歳違いとなると、一緒にプレイ出来るチャンスは小学生のうちは、各世代部門で僅かな期間しかないことになる。それは貴重な時間だから、良いシーズンにしたいな。


「由香さんはもう野球やってるんですね。いいなぁ」


 羨ましそうに言うと不思議がられた。


「紗友ちゃんはティーボール楽しくないの? 私は結構楽しかったけどなあ」


「楽しくないわけじゃないんですけど、私ピッチャーやりたいんです!」


「ああ、そういうこと」


 納得がいった様子で頷く由香さん。


「それはマイナーに上がる三年生まで我慢して、今出来る練習を頑張らないとだね」


「はい! キャッチボールも守備の送球もしっかり意識して投げてたら、今日コーチが褒めてくれました」


「おお、凄いじゃん! 私がティーボールやってた頃なんて、褒められたこと無かったよ。それでも楽しかったけどねー。紗友ちゃん今はポジションどこなの?」


「ショートです。由香さんは?」


「セカンドだよ。上手くいけば二年後には女子二遊間組めちゃうね! 紗友ちゃんが球数制限でピッチャーお休みの日だけになりそうだけど」


「はい、三年生ですぐレギュラーになれるよう頑張ります!」


「うん、期待して待ってるよ。それじゃあまたね」


 笑顔で手を振りながら去っていく由香さんに、私も目一杯手を振り返した。


 私が三年生ですぐレギュラーに、と言ったのには訳がある。それは、五年生というのがリトルリーガーにとって非常に微妙な時期だからだ。リトルリーグには年齢決定基準日という概念があり、その日までに達した年齢でメジャー、マイナーの各リーグへの参加資格を得ることになる。


 これはメジャー部門の世界大会に出場する選手の実年齢を、十二歳までと厳格に定める為のルールだ。


 そして、所属連盟やチームによって異なるのだが、一般的には十一歳の年齢決定基準日を境にマイナーからメジャーに部門を移すことになっている。

 日本のマイナー部門はルールが厳格には決まっていないし、一応規定では九歳からメジャー部門に出場することも可能ではあるのだが、現実的ではない。


 なので私が小学生のうちに由香さんと一緒にプレイするには、私が三年生、由香さんが五年生の年の夏の終わりまでに限られているのだった。

 でもこれで当面の目標は決まったから、それを目指してやるべきことをやろうと思う。具体的には日々の練習と試合で活躍し、コーチ陣に三年生になってすぐマイナー部門の試合に出してみようと思わせるのだ。


 そのためにも私は体力を作って、より今の身体に野球の動きを馴染ませないといけない。しかし幼少期に怪我をしたら、限られた時間を治療に費やすことになるので無理は禁物である。


 そこで私は毎週の練習日に、前世のイメージとの摺り合わせを重要視して取り組んだ。身体能力が違うことで実際に発揮出来る能力や動作は違うが、常に正しいフォームを意識して動くことで徐々にそれらが身に付くはず。

 完成された動きを知らないでいるのと、それを知っていて練習するのでは、効率の面で差がつくのは当然だと思う。


 そんな風に毎週土日と祝祭日にみっちり野球をやる一方、両親と約束した勉強も私はしっかりこなしていた。というかいくら前世が野球漬けだったとはいえ、小一の内容なら満点が当たり前である。


 その中で思いの外楽しかったのが英語の授業で、内容はごく簡単なリスニングとスピーキングだ。前世で渡米することを決めた時にもこれくらいのレベルから始めて日常会話と野球用語を努力して覚えたな、と懐かしい気持ちになる。しかも、苦心した前世と違って細かな発音の聞き取りや発音が簡単に出来た。小一の頭の柔らかさって凄い。


 前世の知識があっても受験あたりから勉強は過酷になるから、真面目にやろうと決意し直した瞬間でもあった。大成功だと思っていた前世だけど、小一にとっては逆に偏り過ぎだったんだよね。私は文武両道を目指そう。


 あと、祐一くんが学童野球でキャッチャーをしていると聞いた。私の球を捕ったのが楽しかったのかな?


お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ