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聖夜の約束  作者: 紅桔梗
5/11

(5)

 


「たっくん!!!!!!」


 目を覚ますと眼前に飛び込んできたのは、病室の天井だった。

 ああ。

 ああ僕は、死ねなかったんだ―――。


「たっくん!たっくん!!」


 横を見ると、少女が泣きそうな顔で僕を見ていた。

 初めて見た表情で、衝撃的だった。


「聞こえてるよ。なに?」


「なに?じゃないでしょ!!!!!

 ばかやろーー!!お兄さん死ぬ所だったんだよ!?

 私より先に死ぬ所だったんだよ!?」


「うん。残念ながら、死ねなかったみたいだけど。」


「お兄さんのばか!!!!

 私より先に死んじゃダメだよ!!」


「どうして?

 僕が先に死ねば、君に心臓を作ってやれる。」


「要らない!心臓はお医者さんが作ってくれたのしかいらないもん!!!!」


「そうか。僕は死んでも役立たずなんだね。」


「ちがうの!!!!お兄さんは、お兄さんは生きているから役に立ってるの!死んだら役立たずなの!」


「……うん。」


「お兄さんが……たっくんが死ぬかもしれないって思ったらすごく怖かった。私を置いて遠くに行っちゃうんだって思ったらすごく怖かった。

 もう、もうっ、目を、開けないんだっ、ておもっ、思ったら、すごく!すっごく、怖かった、、」


 小さな、小さな身体を震わせ、涙声で少女は告げる。


「お願い、おねがいだから、わたしのっ、私の一生のお願いだから、

 私より先に逝かないで…。」


 僕よりも一回り下の子に。

 生まれてから六年しか経っていない、

 そんな子にこんなことを言わせてしまった。


 罪悪感と情けなさが胸を締める。


「約束するよ。

 僕はもう二度と死のうとしないって。」


 だからどうか、泣かないで―――。


「……絶対よ?」


 そう言って差し出す彼女の小指に僕の小指を絡ませ、約束を交わす。



聖夜は昨日でしたね。ごめんなさい、聖夜は過ぎましたが、年内には完結させます。

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