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聖夜の約束  作者: 紅桔梗
3/11

(3)

 



 それから僕達は病院で顔を合わせば、何時間もお話した。


 僕のこと。


 彼女のこと。


 僕の家のこと。


 彼女の家のこと。


 生きることと死ぬこと。


 笑うことと泣くこと。


 小さい子を相手にする話じゃないなと何度も思った。

 けれど、幼い見た目とは裏腹に、彼女はとても聡明だった。

 小さい子供であるはずなのに、とても大人びていた。


「ねぇ、たっくん?

 私はきっと近いうちに死んでしまうの。」


「そうか。きっと僕はいつまでも生きているんだろうね。」


「うふふ。不思議ね!

 私はいつまでも生きていたいのに、死んでしまう。

 でもたっくんは早く消えてしまいたいのに、長生きしちゃう。」


「とても残念だね。」


「あははは!本当ね!

 願いは叶わないから、願いなのね!」


「……前から不思議だったけど、

 君はどこでそんな言葉を覚えてくるんだい?」


「えへん!私の友達は、たっくんとご本だけよ!」


「……なるほど。」


 彼女は自分が死ぬと確信していた。

 ドナーが見つかる可能性だってあるのに、

 医療が発達して、助かる可能性だってあるはずなのに、

 彼女はいつも、自分は死ぬのだと無邪気に言った。



「たっくん!私が生きているうちにたくさんお話しましょうね!」


 楽しそうにそう告げる彼女は年相応の無邪気さで。

 僕は嫌いではなかった。



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