(3)
それから僕達は病院で顔を合わせば、何時間もお話した。
僕のこと。
彼女のこと。
僕の家のこと。
彼女の家のこと。
生きることと死ぬこと。
笑うことと泣くこと。
小さい子を相手にする話じゃないなと何度も思った。
けれど、幼い見た目とは裏腹に、彼女はとても聡明だった。
小さい子供であるはずなのに、とても大人びていた。
「ねぇ、たっくん?
私はきっと近いうちに死んでしまうの。」
「そうか。きっと僕はいつまでも生きているんだろうね。」
「うふふ。不思議ね!
私はいつまでも生きていたいのに、死んでしまう。
でもたっくんは早く消えてしまいたいのに、長生きしちゃう。」
「とても残念だね。」
「あははは!本当ね!
願いは叶わないから、願いなのね!」
「……前から不思議だったけど、
君はどこでそんな言葉を覚えてくるんだい?」
「えへん!私の友達は、たっくんとご本だけよ!」
「……なるほど。」
彼女は自分が死ぬと確信していた。
ドナーが見つかる可能性だってあるのに、
医療が発達して、助かる可能性だってあるはずなのに、
彼女はいつも、自分は死ぬのだと無邪気に言った。
「たっくん!私が生きているうちにたくさんお話しましょうね!」
楽しそうにそう告げる彼女は年相応の無邪気さで。
僕は嫌いではなかった。