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雪が降る度に思い出す。
僕と彼女が交わしたあの約束を―――。
三年前の春。
「ねえ!そんな暗い顔でどうしたの?難病だったのかしら!?」
病院の受付で名前を呼ばれるのを待っていた僕に無邪気で明るい声がぶつかる。
「うーん?見た所、外傷はないようね。
はっ!!もしかして頭が悪いのかしら!?」
「おい。言い方が失礼だぞ。」
あまりにも失礼な言い方に物申してやろうと、僕は振り返る。
そこには、ちんまりとした少女が僕を見上げていた。
「……?」
「あはっ!やっとこっちを見てくれたわ!
お兄さん、はじめまして!」
にっこりと笑う少女。
否、この子は―――
「桜咲幼稚園春組今年で五歳になります、ちーちゃんです!
お兄さんのお名前は?」
―――――幼女でした。