化けもんかよ・・・・
シリアス
今日は村の散歩をするだけだったが、良い休日だったと俺は思った。
「それにしても・・・」
「どうしたんだゼノ?」
「いや、なーんかいやな予感と言うか、落ち着かないようなそんな感覚なんですよね」
村の散歩中に感じたのだが、虫の知らせと言うかそんな感覚がするのだ。
「気のせいだとは思いたいんですけど・・」
「ふむ・・・もしかすると単に働きすぎだからじゃないかな?」
「ゼノさん、村でもかなりの働き者でしたからね」
いやまあ、よく畑仕事の手伝いとかはしているけど・・・・はっ!!もしかしてこれが現代日本で問題ともなっている仕事中毒か!?
異世界に転移してそうなるってどういうことだよ!!
「・・・明日も少し休んでもいいですかね?」
「いいよ。どうせゼノはこの家の居候だけど、元は私たちの命の恩人だ。好きなように過ごしてもいいんだよ」
「そうですよ。別に遠慮なさらなくてもいいんですよ」
居候という肩書が重いんだけどな・・・・。いくら親切にしてもらっても、なんか悪い気がし、
ドゴォォォォォォォッン!!
いきなり、爆音が聞こえた共に、空気が揺れた。
「な、なんだ!?」
慌ててゴライアスさん家を飛び出すと、村のはずれの森の方から火の手が上がっていた。
「山火事!?」
「いやちがう!!あそこに何かでかいモンスターがいるぞ!!」
ゴライアスさんが指さしたところには、森の入り口付近に木よりも大きな何かがいた・・・。
「な、なんじゃありゃ・・・・化け物かよ・・」
あれもモンスターと言うのだろうか。
だが、ゴブリンとかそういったモンスターとは明らかに格が違うとわかった。
そのモンスターは、例えで言うならでっかいトカゲみたいな感じである。
だが、サイズは目視から想定するとはるかにでかい。
人一人は飲み込めそうなサイズで、全身が真っ青に燃え盛っていた。
「青い炎ってことは、かなり温度が高いのか・・・?」
現代知識を持っているのでついそんなことを考えた。
「とにもかくにも、急いで逃げた方が良い!!」
ゴライアスさんが叫んだので、とりあえず逃げることにした。
村の人たちも気が付いたようで、全員逃げだす姿が見えた。
「って、逃げると言ってもどこにですか!」
「あのモンスターが来ないようなところとかそういったところにだ!!」
あのでっかい燃えているトカゲみたいなモンスターは火を吐きながら、あちこちを暴れまわっていた。
このままこの場にいると危険だし・・・・
「ちょっと失礼します!!」
「へ?」
「え?」
とりあえず、俺はアリーシャとゴライアスさんを一気に肩にかついだ。
過ごしていてわかったけど、この体は思ったよりも力も出るようだしな。
「全速力逃亡!!」
一気に俺は二人を肩にかついだまま走り出す。
こっちの方が普通に走るよりも速いからな!!。
そのまま猛スピードで一気に二人を担いだままモンスターから離れていった。
「速っ!?」
「ものすごいスピードですよ!?」
二人とも驚いていたが、今はとりあえず安全なところまで逃げることに専念した。
「と、とりあえずここまで来れば・・・・」
とりあえず、村がかなり遠くに見えるところまで来た。
馬車の跡とかがあるし、どうやら交通に使われる道のようである。
二人をかついで全速力で走ったら、物凄く喉が渇いた・・・・・。
「ぜ、ゼノさん大丈夫ですか?」
アリーシャが心配そうに見てくる。
「だ、大丈夫・・・・と言いたいけどかなり疲れた・・・・」
立っていられなくなったので、俺はその場にへたりと倒れ込んだ。
「しかし・・・このままでは村が・・」
ゴライアスさんが見る方向にある村は、明らかに火の手が上がっていた。
「とはいっても、あんな化け物はさすがに・・・」
無理があるよな・・・。ゴブリンとかそういったものとは比較にならん。
野生の勘と言うか、とにかく俺とは相性が悪そうなのだけはわかる。
あの炎とか物凄く熱そうだし、そもそもあれに対抗できる方法が思いつかん。
「村の人には世話になったから、何とかしたいけど・・・・この剣とかで何とかなるかな?」
手元にある、ゴライアスさんの剣を見る。
あの燃えていたトカゲモドキみたいな化け物・・・・鱗とかがかなり堅そう。
「でも、このままじゃ村が・・・・」
アリーシャが涙を流し始める。
この二人が昔から住んでいた村。それがあんな化け物に焼き払われるのは・・・・
「・・・・覚悟を決めるか」
「ゼノさん・・・?」
俺は村の方へ駆けだした。
「ゼノさん!?」
アリーシャが驚いたが、俺はそのまま二人の元から離れてあの化け物のところへ向かう。
武器がゴライアスさんの剣だけで、ものすごく死ぬ可能性が高いけど・・・・倒すために。
どうせ、俺は転生者。一度死んだ命がまた死ぬだけだしな。
これで死んだら早いだろとか言われて、神様にも驚かれるだろうけど・・・
それでも、俺はこの村を守りたい。
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「ゴギャカァァァァァッツ!!」
モンスターは火を吐いていた。
焼き尽くす、人の血肉を喰らうただそれだけで。
だが、せっかくこの獲物がいそうなところに着いたのに、村人たちは全員逃げ伸びたらしい。
だからイラついてあたりを焼き払う。
その時、何かをモンスターは感じた。
ここに来る前に感じた何かだ。
力はあるようだが、逆に喰らってやろうとモンスターは思う。
その力の方角を見ると、誰かがこちらに近づいてきている。
人間のような姿をしてはいるが、あれが力を持つ者だとモンスターはわかった。
持っているのは貧相な剣。これまで自分に挑んで喰われてきた者たちの武器に比べると、なんて貧相な武器だろうか。
だが、その貧相な武器だけで挑んでくるとは・・・・
モンスターとしては、「面白い」と思った。
これまで自分に挑んできた者とは明らかに格が違うのに、武器はそれ以下の物。
アンバランスな感じだが・・・どうせ喰う存在だ。全力で相手して、その後絶望を与えて喰らってやろうと、モンスターはその力を持つ者に対して戦闘を仕掛けた・・・・・。
次回、戦闘開始




