やっとまともそうな人に・・・・
まともそうな人・・・・人?
「痛いなあの野郎・・・」
目を覚ますと、今度は先ほどの場所とは違ってどこかの和室のような部屋だった。
座布団が二つ敷いて有り、窓はないのだがふすまがある。
「・・・座布団に座れってか?」
『そうじゃよ』
・・・・もう驚かんからな。
いつの間にか、もう一つの座布団に人が座っていた。
先ほどのうるさい奴の姿は見えなかったが、印象が対照的に優しそうな好々爺って感じの人だな・・・。
とりあえず、座布団に座るとお茶も出されたのでもらった。
まずは簡単な自己紹介をさせられ、このお爺さんはさっきのやつよりも上の存在、神様みたいなものだということが分かった。
『・・・さて、まずは先ほどの者が失礼したのぅ。あやつは性格はまじめなんじゃが、少々熱くなる部分があって』
「先ほどの・・・あの裁くとか言っていたやつですか?」
なんかつい敬語を使ってしまうな・・・この謎のお爺さんの雰囲気的なもので。
『そうじゃ。ただ、お主がちょっと珍しい感じじゃから裁きにくくなったようで、それで儂が呼んだんじゃ。まさか頭叩いて気絶させて運ぶとは思わんかったが』
「本当に痛かったんですけど・・・・ん?痛みがあるのに、俺って死んでいるのですかね?」
ふと、先ほどの痛みで思い出した。
『確かに死んでおるよ。その姿もまだ死んで間もないから体の形を魂が覚えておるだけで、しばらくすれば・・・・そうじゃな、だんだん体の輪郭が消えてお主らで言う人魂みたいな形になるのじゃ』
人魂・・・・・うわあ、なんか納得できるような出来ないような。
『とにかく、お主の扱いには少し困っているのじゃ』
「さっきのやつが思いっきり優柔不断みたいなことを言ってましたけど・・・・俺ってそんなに変なのですか?」
これまでの人生で変人扱いされた事なんてないぞ。どっちかと言うとあの毛虫持って追いかけてきたやつらの方が変人だろ。
『儂から見ても、いびつな感じじゃな。悪人でも善人でもなく、ここまではっきりしないようなのは初めてじゃ』
どうやら、普通魂は善悪はっきりしているらしい。
善から悪に、悪から善になることがあるらしいけど、大抵は生まれ持った性質のままだというのだ。
『じゃが、お主の魂ははっきり言ってどっちにも染まる。しかし、悪人の方に染まられるのは困るのじゃ』
今、地球上では善人よりも悪人の方が多いから、これ以上増えると裁きが大変になるそうだ。
「じゃあ、どうするんですか?」
『・・・一応聞いておくが、ライトノベルとかそういう物はよく読むかの?』
「読むことは読みますけど・・・あまり読んでませんよ?」
『じゃったら、この後儂が何を言うつもりかわかるかのぅ?』
・・・・ライトノベルとかによくありがちそうなもので、神に関係するもの?
「機械の身体を求める銀河の旅に?」
『それは漫画の方じゃろ。しかもライトノベルですらない』
「錬金術をして義手義足」
『神みたいなものは出るが、それも関係ないじゃろ』
「黒鉄の城・・・」
『それ後年神に関係はしたが全く違うじゃろ!!』
「宇宙の彼方のイスカ、」
『それも違うじゃろ!!宇宙戦艦とかもはや関係ないじゃろ!!というか結構昔のやつが多いのぅ!!』
うーん・・・・・
『お主・・・実は本当はほとんど読んだことがないのでは?』
「いや、読んだことはあるけど・・・忘れた」
ズコォッ!!と神様がずっこけた。
『・・・なるほど、お主例えで言うならつかみようがない奴じゃと身に染みて分かったのじゃ』
「つかみようがないか・・・・」
どうやら、俺の本質をとらえるのは、神様にとって例えで言うならば煙を素手でとらえるようなものらしい。
『はぁっ・・・お主のようなやつはいったん別の世界にでも飛ばして、そこで過ごしてもらうのがよいかもしれん。死なれたら困るような感じじゃが、そこで一旦過ごしてこい』
「つまり、異世界転生させるという事ですか?」
『・・・・何で今頃その言葉が出るんじゃ!!』
それから2時間ほど叱られ、とにもかくにも、まずはどんなところに転生させるか、どのような感じで転生させるかを決めることになった。
・・・でも、叱られる理由が理不尽なような?
『まずは、どこの世界がいいという事じゃな。元のところに転生させるのはないとして、今お主を受け入られるこの5つの世界から選ぶのじゃ』
「どれどれ?」
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1:機械文明が発達している未来的世界
2:魔法とモンスターが存在する世界
3:科学と魔法が両立している世界
4:勇者と魔王が現在進行形で戦っている世界
5:一度滅びて0からスタートの世界
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・・・・4と5はまずないな。これ絶対物凄くやばい状況だよ。3は興味はあるけど、なんかいまいち。となると、1か2かだけど・・・・1は見て見たいような気がするけどなんか嫌な予感しかしないし。
「・・・じゃあ、2でお願いします」
『よし、個人的には5の方に行ってもらいたかったのじゃが・・・・』
この神様、好々爺に見えて中身は結構腹黒い?
『それじゃあ、転生させるとして赤ん坊スタートか別種族スタートか』
「別種族?」
『赤ん坊ルートなら人間、別種族ならランダムでモンスターか他の生物になるのじゃが・・・』
「・・・一応聞いておきますけど、記憶とかって」
『残ったままじゃよ?』
「別種族で」
『即決じゃのぅ』
記憶が残っている状態で赤ちゃんからスタートって結構きついだろ。それならまだ大丈夫そうなやつが安全だ。モンスターだとしても、まだいい方だろう。・・・・ゴブリンとかスライムはやめてよ?
『それでは最後に、能力じゃな。何か持ってみたい能力を3つまでならつけられるぞ』
へー、結構太っ腹だな。
「それじゃあ、まずはすべての言語が読み書き、会話可能にしてほしい。異世界なら当然違うだろうしな」
『ほうほう、要は翻訳能力と』
・・・・できれば生きているときに欲しかったな。英語の授業とかで特に。
「次に、未来のネコ型ロボットのポケットみたいに、なんでも収納したり取り出したり出来るような道具みたいな能力がほしい」
『空間収納ができるようにじゃな』
荷物とか運ぶときに楽そうだもん。
「最後は・・・お任せで」
『・・・勝手にこちらで決めてよいという事か?』
「思いつかなかったので」
いやだってさ、この2つだけで十分異世界でも過ごせそうだし。
荷物運びの仕事とか、通訳とかできるじゃん。
『ふむ・・・ならば、こちらで適当に決める。では、これより転生させるが・・・別種族にランダムで転生させるため、どんな容姿でどんなものになるかはわからん。良いな?』
先ほどまでのお爺さんの顔が、急に真面目なものになった。
「まあ、いいかな?生き延びられればそれで」
『では、転生させるのじゃ!!』
その瞬間、俺の身体は光につつまれて意識を失うのであった・・・・・・
あ、最後の一つに「食料確保」みたいなのをもらっておけばよかったかも
やっと転生
と言うか、あと一つはしばらくたって判明する