力
テンプレってあるよね
燃え盛るでかいトカゲモドキと俺は対峙した。
俺が近づいてくると、どうやらトカゲモドキの化け物は俺の方へ向かってきた。
「ゴギャアップ‼︎」
その大きな口を開けたかと思うと、そこから火球が打ち出された。
慌てて横に回避すると、火球はそのまま真っ直ぐ飛んでいき後方で爆発が起きる。
おそらくだが、今のが最初の爆発音の原因だろう。
「まともに食らったら確実に死ぬなありゃ・・・・」
爆発跡の地面はえぐれていた。高温のためか、一部ガラス化しているようにも見える。
正直言って勝てる見込みはない。だが、それでもこの村は守りたい。
「くらえや!!」
剣を投げてみる。
直接近づくと、あの熱気が肌に焼け付くから剣を投げて刺そうかと思った。
ガキィン!!
だが、やはり剣では歯が立たないようで鱗にはじかれた。
「ちっつ!!」
だったら硬い鱗以外の場所なら・・
剣を拾いに行きたいが、あいにくトカゲモドキの足元に落ちているので、熱気が邪魔していけない。
なので、手頃な近くに落ちていた石を目へめがけて投げつけた。
熱気で溶けかけたが、ドロドロになった石が見事に命中した。
「ギ、ガキャァァァァア‼︎」
あれは痛そうだな・・・・投げた自分が言うのもあれだけど、結構えぐかったかも・・・
「ギャゴガッツッガッガッガ!!」
「いっ!?」
それに怒ったのか、それとも混乱したのか火球を無茶苦茶連発してきた。
慌ててよけまくるが、どれもでたらめな方向に行ってばかりでむしろ避けにくい。
ドッガァァァァァン!!
「がっ!!」
そのうち、1発が近くで炸裂しその爆風が俺のすぐ横に襲い掛かった。
吹き飛ばされ、地面にたたきつけられる。
「ゴギャァァァァッツ!!」
それをチャンスとばかりにトカゲモドキが踏みつぶそうと迫ってくる。
逃げ出したいが、今のですぐには動けなかった。
そのままトカゲモドキが飛びあがったかと思うと、地面に倒れている俺の上にのしかかってきた。
「ぎゃぁぁぁぁっつ!!」
物凄い重量で、骨がいくつか折れたような気がした。
トカゲモドキ自体燃えているから蒸し焼きにされているようで・・・。
もうこれまでかと思ったが、この時おれは気が付いた。
(お腹の方には鱗がない?)
腹の方につぶされて分かったが、このトカゲモドキの腹の方には鱗がない。
これなら剣とかで刺せば・・・・・だめだ!!
剣は別のところに落ちているので、手元にはない。
だが、このままではつぶされて焼かれて死んでしまう・・・・。
(なにか、この腹の部分に突き刺さるようなもの・・・)
そう簡単には見つからない。だんだん意識がもうろうとしてきた。
なんでもいい!突き刺せそうで、このトカゲモドキにダメージを・・・・・・。
その瞬間一つ思いついた。
「がぶっつ!!」
「ゴギャアッツ!?」
口を開けて、思いっきりその腹にかみついた。
歯なら噛み切れそうだと思ったからな。
いきなり激痛が走ったことに驚いたのか、トカゲモドキが暴れる。
だが、せっかく弱点ともいえるようなこの腹に攻撃しているこのチャンスを逃したらまずい!!
暴れるその腹にさらにあごの力を強く・・・・・・・・
その時、かみついたトカゲモドキの腹からから血が流れ出していた。
その血が口の中に入って流れ込んで・・・・・・・ん?
(激マズ!!)
普通の血の味のようなどこか鉄っぽいようなものでなく、言いようがないほど物凄くその血はまずかった。
「ん?」
だが、飲んですぐに俺は体の変化に気が付いた。
血を飲んだ瞬間、あの謎の渇きが止んだ・・・・・それに、力がものすごいみなぎってきた。
「どっせい!!」
「ギャバン!!」
口をその腹から外し、右ストレートを思いっきりその腹に叩き込んだ。
トカゲモドキが軽く浮き上がり、地面に落ちる。
「・・・・怪我が」
起き上がって自分の体の状態を確かめると、不思議なほど頭がさえわたり、先ほど押しつぶされた時に骨が折れ火傷したような感覚があったのだが、全くの無傷である。
力もあふれるよううな感じだし・・・・もしかして、あのトカゲモドキの血を飲んだから?
何はともかく、今物凄く力があふれている。
「今までのお返しをしてやるぞごらぁぁァァッツ!!」
勢いよく大地を踏みしめ、俺はトカゲモドキに飛び蹴りをかます。
ズガァァァァン!!
そのままトカゲモドキの身体が吹っ飛ぶ。
すばやく飛んでいった後方に走り待ち構える。
「これでとどめだ!!」
飛んできたトカゲモドキに向かって飛び蹴りと同じように飛んで勢いよく拳を叩き込んだ。
ズバァァァン!!
そのまま俺の身体はトカゲモドキの腹を突き破った。
地面に着地して振り返ると、そのまま腹に大穴が開いたトカゲモドキは地面にたたきつけられ、燃え盛っていた炎が消えて、ただのでっかいトカゲのようになっていた・・・・。
「た、倒したのかぁな・・・・疲れた・・・」
気が抜けたのか、そのまま俺も力が抜けて、その場に倒れ込んで意識を失った・・・・。
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「・・・・な、なんという力だ」
「ギルド危険種指名手配モンスター、『暴虐のサラマンダー』を素手で・・・」
「今まで幾人もの冒険者たちを喰らってきたモンスターを・・」
村の離れたところで、ゼノとモンスターの戦いを見ていた者たちがいた。
ゼノを観察していた5人である。
彼らは今回のモンスターにゼノが立ち向かえば、どれだけの実力を持っているかが見れるかなと思っていた。
最初はサラマンダーにやられたかと思ったら、驚くべきことにいきなり打って変わってとんでもない力を出して、あっという間に倒してしまったのである。
「途中、やられてしまったかと思ったが・・・いきなり復活して怒涛の反撃」
「しかも、桁違いに強いというか・・・もはやあっちの方が化け物と言うべきか」
ギルド危険種指名手配モンスター『暴虐のサラマンダー』は、これまで幾人もの冒険者たちを喰らってきたモンスター。腕に覚えのある冒険者たちが倒せもしなかった。災厄ともいうべきモンスターの一体である。
それを、あの銀髪の青年は倒してしまった・・・・・しかも、己の蹴りや拳のみで。
「戦闘中に相手を観察したのか、鱗を避けた攻撃をしていたが・・・それにしてもまさか腹にかみついてダメージを与えたりするなんて・・・・どれだけの顎力だよ」
「そこも驚くべきところだけど、見ろ。今は気絶しているようで服とかもボロボロになってしまっているが・・」
ゼノが気絶して倒れてしまっていたので、近くによって確認してみたが、驚くべきことに気が付いた。
「骨が折れる音などがしてはいたが・・・骨が折れていない?」
「しかも、あれだけの熱量を至近距離で浴びたのに、軽いやけどぐらいにしかなって・・・・いや、これは再生しているのか?」
みると、火傷の跡がすぐに健康そうな皮膚の状態に戻っていっているのが分かった。
「再生力が異常に高い?だが・・・ここまでの物は聞いたことがない」
「人間ではないのはわかるのだが、いったいなんの種族の者だろうか?」
ゼノの姿は人間のようにも見える。だが、絶対それではないのは全員良くわかった。
「とにもかくにも、この者がいったいどういう者かはわからん。今はとりあえず、この状況をなんとかしないとな」
と、一人が指さした先には大穴が開いて息絶えているモンスターの死体があったのであった・・・・。
「暴虐のサラマンダー」
『サラマンダー』というモンスターの中でもひときわ狂暴でかつ強いモンスター。高温の炎の火球を吐き、あたりを吹き飛ばす。
ギルド指定危険種指名手配モンスターの一体である。
人の血肉を喰らい、野山を焼き払い、とにかく暴虐の限りを尽くしたモンスターである。
行き人もの冒険者たちが目撃情報が出たのを聞き、討伐しようと挑んだが、誰一人として生きて帰ったものがいなかった。




