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二話 [恐怖体験]

  首にナイフみたいなのを当てられてから数秒声を発することが出来なかった。

 

  「これって?」


  思わず現状を理解したいが為に竜也が言葉をこぼした。

  数秒経っても返事がないずっと首に違和感だけが残る。

 

  「その首に当たってるのは本物...?」

  「安心しろ......本物だ」


  何一つ安心する要素なんてないんだけど。


  「ではこういうことをしている理由は何?俺悪いことしたかな?」

  「顔だ」

  「......は?」


  訳がわからない顔が気に入らないからって殺人未遂をしているのか。

  竜也は抜け出したいにも少し動けば首から赤い何かが出るのではと動けないでいた。


  「あの...生まれつきの顔が気に入らないからって俺を殺そうとするのやめてくれませんか?今なら誰にも言わないから」

  「誰にも言わない?」

  「そうだ!誰にも言わないからこの首に当たってる物をどかして?」

  「二人だけの秘密.........キャ」


  最後のはスルーしよう一刻も早くここから逃げたい。

  誰かは知らないが首から違和感が無くなった瞬間竜也は猛ダッシュした。

  逃げている最中後ろから微かに声が聞こえたがそれも無視して自分の教室へと戻る。

  教室に戻ると自分の席に座り、腕を枕にして机に頭を預けた。

  とりあえず呼吸を正さないと周りから変な目で見られる。


  「ここなら人が居るからって安心するのは駄目だよ」

 

  竜也の左耳から悪魔のような囁きが聞こえ、顔を上げるも周りには誰もいなかった。

  これは恐怖体験としてテレビに送ってもいいほどの恐怖だ。

  竜也は頼りたくはないと思いつつ教室に居た面寺に話しかけることにする。


  「面寺話がある」

  「その周りが聞いたら誤解されるような言い方はやめてくれ」

 

  面寺は座ったままで竜也の方を向きそう言った。

 

  「すまない。相談にのってくれないか?」

  「それは恋愛とかか?」

  「そうではないんだが...」


  なんて説明していいのか悩む竜也を見て、


  「まぁ話してみてくれ」


  ありがたいことに聞いてくれることになった。


  「あまり聞かれたくないから場所変えてもいいか?」


  場所変えたらまた来るのではと思いながらも場所を変えることにする。

 

  場所が変わって中庭の隅。

  面寺にさっき起こった出来事を一通り話終えて面寺は腕を組みうーんと悩んでいた。

  狐のお面に相談っていうのも変な話だけど友達が少ないからしょうがない。


  「それって根本ねもと 夜美やみって人じゃないかな?」

  「当たり前だが聞いたことない名前だな。心当たりでもあるのか?」

  「前の学校が一緒でね、前の学校でも同じようなことがあったからそうかなぁって」


  俺はその学校に居たら今生きてるか危ういな。

  襲ってくる理由にあった顔って言うのも理不尽な話だ。顔は整形しないと直せないし、そもそも俺は自分の顔に満足している。


  「俺が気に入らない顔だからって襲わなくてもいいのに。それに前の犠牲者は生きてるのか?」

  「いやいや生きてなかったら夜美さん捕まってるから。それに誤解があるみたいだけど」

  「誤解ってなに?」


  あの行動のどこに誤解する要素があると?紛れもなくあれは実際起きた出来事だし。


  「あの夜美さんって人は自分のタイプの顔だと何がなんでも手にいれたいらしくて」

  「じゃあ俺は気に入らなかったんじゃなくて、気に入られてるってこと?」

  「まぁそういうことになるね」


  え?ただの変態じゃん。やばいよまた変人との関わりもっちゃったよ。


  「俺はあいつの顔知らないんだけどどんなやつ?」

  「えーと、黒髪のロングで目は前髪で見えなくて身長は155くらいってことしかわからない」

  「それだけで十分だ」

  「それであなたはどう動くんだい?」


  どう動くと言われてもあいつから近づいてくれるだろうし丁重にお断りさせていただくしかないな。

  でもそうしたら殺されそうで怖いんだけど。

  竜也は少し考える。


  「俺の人生って短かったな...」

  「あの、人を殺した前例がないから大丈夫だと思うんだけど」


  竜也がこれまでの人生を振り返っているとチャイムがなり午後の授業が始まろうとしていた。


  「まぁ今日は自分が見ててあげるから危なかったら駆けつけるし」

  「ありがとうよ...お前変なやつかと思ってたけど内面はいいやつだな」

  「褒めてくれてどうも、行こうか!」


  面寺に言われ教室へと戻る。


 

  無事に午後の授業が終わり気が気ではない竜也。

  帰り道に襲われたらどうしようなど家までついてこられて家の中になんてことも、などなど頭をかかえていた。

  面寺も家の方向を聞いたけどまったくの逆方向だし、俺は一体どうなってしまうんだろう。

  ここで夜美とかいうやつが引き下がってくれればいいんだけど、望み薄だな。

  そうだ!優斗と帰る約束をしたじゃないか。

  早速1-Bに居る優斗に会いに行く。


  「いたっ!優斗!」


  優斗はクラスに馴染み友達らしき人達と話しているが関係なく話しかける。

 

  「なんだ?」


  こっちにやって来た優斗が呼び出した理由を聞く。


  「今日帰る約束してたからそろそろかなって」

  「悪いな今日はクラスの友達と遊ぶんだが竜也も来るか?」


  裏切り者め!


  「いや、面識のない人達だから俺は遠慮しとくよ」


  竜也は作り笑いをしながら誘いを断ると、優斗が手を合わせて、


  「まじで悪いな」


  とだけ言った。


  宛がなくなり一人で校門まで来たはいいがまじで怖い。いきなり背後からブスリッと殺られそうな気がする。

  首に突き付けられたナイフの感触が蘇り鳥肌がたつ。

  最善の注意を払って歩き始める。


  意外になんともなく家の近くまでやって来てしまった。後を追われてないか後ろを向いても誰もいない。

  電柱の後ろとか気になるがあんな細い場所に隠れきれないか。


  「はぁ~」


  精神の疲れを感じてため息をつく。心霊とかだと一番危ない時なんだよね。

  後ろから前へと視線を送っても誰もいない。やっぱり俺の考えすぎかな。

  精神の緊張を押さえつけさっさと帰る。


  「ただいま~」


  この時間は誰もいないことは分かっていてもつい言ってしまう。


  「おかえり~」


  あれ?あかね帰ってきてるのか?

  我が妹がこんな時間に居るとは珍しいこともあるものだ。いつも部活だの友達と遊んでるとかで居ないのに。


  「なんだ帰ってきてたのか...ん???」


  リビングのドアを開けるとそこには見知らぬ女性がこっちを向き出迎えてくれた。

  ここで竜也の頭の中で黒髪のロングで目は前髪で見えないということを思い出していた。

  いや!そんなわけないだろう鍵はかかってたし、でも窓は開いてるし...そこかぁ!

  まずは状況の把握、刃物は持っていない。それと旅館のパンフみたいに正座をして頭を下げている。逃げれる。

  竜也は玄関へとダッシュした。


  「行かせないよ?」

  「ふぐぅ!」


  頭に血が流れないのが感じる。やばい首を絞められてる。

  意識が...切れてたまるか!

  竜也は首に巻き付いてる腕を振り払おうと抵抗するも力が足りない。

  どんだけ馬鹿力なんだよ。

 

  「痛っ!」


  ここで前に観た映画が役立つとは。

  相手の足を踏みつけその場を去ろうとする竜也。


  「お願い待って!」


  ドアノブに手をかけた時後ろから声をかけられ立ち止まる。

  いやここで逃げれば勝ちなんだけど、よくよく考えるとこのまま家に居られるのも困る。


  「じゃあ襲わないと誓え!」


  後ろを向きしゃがんで足を撫でているそいつに指を指しそう言った。


  「分かったわよ」

  「とりあえず話してもらおうか、襲った理由と俺の住所を知っていた理由を!」

 

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