第一話[変人]
変人とは一風変わった性格や変わった人の事をいう。
白城竜也はここ希光高校で入学してから日が浅いもののここの高校では変人が多いことを早くも悟っていた。
竜也は気が進まないダルい足取りで学校へと向かっていた。
「竜也、おはよう」
歩いていると後ろから聞きなれた声が話しかけてきた。
「おお、おはよう」
そこには中学からの友人、優斗がいた。優斗に軽いあいさつを済まし会話の無いまま学校へ向かった。
優斗は昔から無口で用がないと話をかけることはないことは竜也自身はわかっていた。
中学では思わなかったが、この無言が今は心地良いと感じる。
学校に着くと優斗とは下駄箱で帰りの約束をし別れた。
教室へ着くと女子グループと男子グループに別れ、話をしていた。
中には一人で読書をしている生徒もいる。
やっぱり女子は対立しているのか、男子はグループに別れてはいるけどどこも仲が悪いわけではないんだよな。
「おはよう、今日も顔色が優れてないみたいだね」
教室へ入りそんなことを思っていると竜也の席へ来て話をかけてきた。
「お前は相変わらず狐のお面してるんだな」
そう、こいつ面寺面子はいつもお面をしていて、素顔を見たことがない。髪は黒く長いストレート声からしても性別がわからない。しかもお面の名家とかよく分からない人物なのだ。
「入学式にも言ったと思うがこれは自分の宝物なんだ、初めて自分で作った代物だ!侮辱するなら...」
「侮辱はしてないから!様になっていると思うぞ」
「そうか、ならいい」
そう言うと満足そうに体の前で腕を組んだ。
「んで?何の用だよ」
竜也はため息ひとつつくとそう言った。
「特に用は無いがそれではだめか?」
「そんなことはないんだけど、友人がそういう用が無いと話さないやつだから用があるのかと思っただけだ、すまんな」
「中にはそういう人もいるのか...」
「だからといって用がないなら話しかけないでくれなんて思ってないから」
「安心しろ自分もその気はない」
「まぁそうだよな、お前の事もちょっとは分かってるからそう言うと思ったけど」
「自分が一番自分を分かってる、勝手に分かった気でいられるのは困るな」
「お前の扱いめんどいな..」
「そういうあなたも普通の見た目だし何もかも普通過ぎて扱いに困る」
「シンプルイズベストってやつだよ、普通なら何も困ることはないだろ?」
「あなたは困ることはないと思うが自分はどう話しかけたものか悩むときもある」
「俺はお前のそのお面といいその悩む癖の方が悩むべき問題だと思うぞ」
「お面の事については問題ないが、悩む癖については考えなければいけないな」
「悩む癖は自分を追い詰めるだけだと俺は考えるけどな。別に話のかけ方なんて何でもいいんだよ俺は気にしないから」
そう言うと面子は安心したのか、分かったとだけ返事をし席へと戻っていった。
授業が終わり昼休み。誰にも食事を誘われることなく外の体育館裏の階段で一人食事をしていた。
それにしても俺のクラスって変人が3人いてその一人の面子としか面識ないって俺ってコミュ症なのかな。いや、そんなことはないはずだなんたって優斗みたいな無口なやつと友達になれたんだ。
でもクラスの友達は面子だけというのは事実なんだよな。
竜也は食べながらそんなことを思っていた。
「動かないでくださいね」
突然声が聞こえ振り向こうとするが首になにか違和感を覚え黒目だけをしたに向けるとそこにはナイフみたいなのを首に当てられていた。