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第80話 別れの雨(その1)

 時刻の上では、まだまだ早朝と呼べる時間。

 案内所インフォメーションの女性士官二人に怪訝な顔をされたが、瞬は構わず、正面ゲートを潜って施設の外に出た。

 そして早速、滝のように降り注ぐ大雨を浴びる。

 物資補給のため、日本へと舵を取るラニアケアの航路上には、水平線の彼方まで雨雲が広がっていた。

 近い内に日の光が差し込む気配はなく、傘も持たずに出歩く行為は、誰の目にも奇異に映ることだろう。

 だがそれでも、瞬は俯いたまま、宛てもなく歩き続けた。

 敢えて理由を付けるならば、景色も覆い隠すほどの豪雨に溶け込んで、個としてのしがらみから逃れたかった――――ような気分になりたかったとでも言うべきか。


「幻……じゃねえよな。自分がそこまで甘えた奴だとは、信じたくねえ」


 途中、狭い視界の隅に轟の足下が見えたような気がして、瞬は一度大きく右折する。

 しっかり確認する気力もなかったため、結局、実体の有無は不明のままだった。

 ただ、可能性としては、前者の方が遙かに高い。

 敗北以上の醜態を晒した自分達は、基地内に居場所などないのだから。



「何一つ朗報のない報告書を纏めるのは、堪えるな」


 中央タワーの最上階から数階下、パーティションで区切られたオフィス区画。

 その片隅にある自身の執務スペースにて、ロベルト・ベイスンは深く息を吐いた。

 眼前のディスプレイに表示された作りかけの書類は、先の戦闘に関する、残酷無惨な結果の子細である。

 不謹慎ながらも口元に微かな笑みが浮かんでいるのは、辛さが一周回ってのことだ。

 どのような経過を経て、どれほどの損害を被ったか。

 それらを細密に書き起こすという行為は、ともすれば前線で戦う当事者以上に精神が疲弊する。

 しかし今回に限っては、明らかに当事者達の心労が勝っていると断言できた。


「だが、やらねばならないか……。彼らが単なる過失で意気消沈しているだけならば、昔の気分で手荒にいかせてもらったが、事態はもっと酷烈だ。鬼の目にも涙の、特別大サービスということにしておこう」


 ロベルトは、自分の言葉に小さく首肯する。

 戦闘から一夜明けた現在。

 パイロットも、司令官も、誰一人まともな文章を書けそうにない状態にある。

 普段は絶対に他人を甘やかすことをしないロベルトが、上層部へ提出する報告書の作成を自発的に請け負ったくらいには。


「――――そもそも、うち一人に限っては帰還すらしていないからな。出来うることなら黙っておきたい、黙っておきたいが……」


 ちょうど、その件についてを正直に記載しなければならない箇所に差し掛かり、ロベルトは胃薬を求めて机の引き出しを開けた。



 数分か、数十分か、はたまた一時間以上が経過したのか。

 気付いた時には、瞬は敷地の端に辿り着いていた。

 相変わらず雨脚は激しく、一向に止む気配がない。

 体力も、方向転換する意思力も、完全に削がれてしまっていた。

 フェンスを掴んでもたれかかったのは、ほとんど反射的行為に近い。

 休憩するなら物陰の方がいいのだが、そんな真っ当な考えは、今は意識の外である。


「想像以上に取り乱してた感があったけど、そりゃあ、ああもなるか……」


 すっかり重たくなったジャケットの袖で顔を拭いつつ、瞬は静かにそう漏らす。

 ガンマドラコニスBとの死闘を終え、ラニアケアへ帰還した瞬を待ち受けていたのは、更に気が重くなるような驚愕の事実であった。


「まさか、オレがジェルミの奴と戦ってる合間に、轟も連奈も負けちまってたなんてな」


 弟が人質に取られている割に、ケルケイムの対応はかなり散発的で、先日の瞬はやきもきしたものだ。

 だが、並行して行なわれた戦闘の内容を照らし合わせれば、仕方のないことであった。

 ロベルトから渡された簡易戦闘詳報アクションレポート通りのことが起きていたなら、瞬だけに構っていられるわけがない。


「しかも全員、ひでえやられ方のおまけ付きだ」


 瞬は昨夜目を通した、数枚の紙資料に記載されていた情報を思い返す。

 轟が敗北を喫したのは、サミュエルが操るラビリントスの強化改修型、ラビリントスバタリオン

 ドーム型の形状は健在で、サイズも大して変わらず、巨大な四腕は完全撤廃――――見てくれだけなら、弱体化したようにも映る。

 しかし実際には、大幅な戦闘力向上を果たしていた。

 ただの重装甲タイプであった以前とはうって変わって、付随する六機の自律型無人機プラス、中心軸からなる本体によって構成されているのだ。

 例えるなら、スイカの半玉が、芯と六切れに分かれたようなものだ。

 戦闘は全て無人機が行い、本体は指示すら出さずに高みの見物。

 自身の身を守る行為を完全にオートメーション化した、清々しいまでの戦闘放棄形態である。

 正直なところ、事前に報告を受けた限りでは、こんなものに轟が負けるとは信じがたかった。

 問題は、無人機それぞれが装備する液状金属製の盾だ。

 格闘や実弾などの物理攻撃ならば、幾度受けようとも再生する自己修復能力。

 そして、一度だけならクリムゾンストライクすら防ぎ切るほどの熱量拡散能力。

 バウショックにとっては、極めて相性の悪い特性であった。

 結果――――バウショックは、実に合計六度のクリムゾンストライクを放ち、蓄積された負荷に耐えきれず自壊するという結末を迎えている。

 戦い続けることで強さを獲得してきた人生が、戦いを拒む信念にねじ伏せられたという意味では、これほど轟に無力感を植え付けた敗北もないだろう。


「霧島の奴は、あくまで技量によって護身を成そうとしてたけどよ……サミュエルに限っては完全なテクノロジー頼み、自分はあくまで充電器扱いだ。それもまた拘りっちゃ拘りだが、轟にとっては一番認めたくない野郎だろうな」


 無論、マシン設計のアイデアも、勝者となる上での必須要素だ。

 サミュエルはグレゴール同様、自機の開発にも携わっているそうで、コンピューター任せとはいっても本人の力量である。

 ただ、パイロットの判断能力が介在しないというスタンスは、あまりにも轟の対極でありすぎた。

 そんなものに手も足も出なかった事実は、どんな強敵の存在よりも徹底的に、轟の精神を叩き壊す。

 だが、それでも。

 無事に生還し、再起の見込みがあるというだけで、連奈よりは遙かに救いのある結果だ。


「とっとと戻ってこいよな連奈……正吉叔父さんと天音叔母さんに合わせる顔がねえぞ、オレは」


 叔父夫妻の柔和な表情が崩れるところを想像するだけで、瞬の胃は激しく締め付けられる。

 自分を落ち着かせる意味でも、瞬は少しでも連奈の生存に繋がる情報がないか、またも昨夜の記憶を辿った。

 連奈が敗北を喫したのは、未だ正体不明のパイロットが操る伝説のメテオメイル、グランシャリオ。

 追加武装として大型の弓を装備していたそうだが、本体に手が加えられているかどうかの確証は取れていない。

 そして、この機体がいかにしてオルトクラウドを撃墜したかも詳細は不明となっていた。

 監視衛星に残っている映像記録も、鮮明に映っているのはオルトクラウドがゾディアックキャノンを発射するところまでだ。

 以降は巻き上げられた粉塵のせいで、機影をどうにか見てとれるという具合に留まっている。

 はっきりと断言できるのは――――後に発見されたオルトクラウドは、その胸部に大穴を開けて機能停止していたということだけだ。

 抉り取るようなおぞましい破壊の痕跡はコックピットにまで到達しており、計器類は全て破損、貴重な映像データも失われている。

 シート自体も消し飛んでいたことから、敵の攻撃が寸止めに留まった可能性もゼロに等しい。

 僥倖であったのは、コックピット内には連奈の遺体どころか、パイロットスーツや体組織の一部さえ残されていなかったことだ。

 他の破片は残留していることから、少なくとも、脱出には成功したと考えていい判断材料にはなる。

 だが、戦闘終了から既に半日以上が経過した現在においても、未だに身柄を保護できていない。

 餓死はないにしても、他の理由で生命の危機に瀕している可能性は十分にあった。

 予断を許さない状況だということだけは、確かなのである。


「打ち込まれちまったからな、コンクエスト・ピラーを……」


 バウショックが担当したマレーシアも、オルトクラウドが担当したインドネシアも、今ではオーゼスの占領エリアとして扱われていた。

 侵入すれば、ピラーの内部に埋め込まれた広域センサーに感知され、迎撃戦力が送り込まれてくることは経験済みである。

 仮に連奈を発見できたところで、救出できるかどうかはまた別の話というわけだ。


「オレが、あれで一番善戦してるだなんて、ふざけていやがる」


 ともかく、これで連合側は一挙に二敗である。

 どうにかぎりぎり補給ラインは維持できているとはいえ、赤道にまたがる二国の中央付近を取られたのは痛すぎる事態だ。

 インドネシア基地は、連合の保有する施設で屈指の規模を持つこともさることながら、現時点での 最南端に位置している拠点だった。

 南半球の奪還という一大作戦を行なう上で、派遣戦力のターミナルとして機能することも視野に入れられていたのだ。

 今からインドネシアを奪い返したところで、また基地の再建からやり直さねばならないという意味では、オーゼス壊滅の悲願は一気に数十歩も遠のいたといえる。

 これだけでも十分すぎる損害だが、オルトクラウドに至ってはメテオエンジンを抜き取られてしまっている。

 幾度もの争奪戦を繰り返し、結局また、連合の保有するHPCメテオは三個に逆戻りだ。


「本当に、ひでえ……向こうが本気を出し始めると、たちまちこれかよ」


 バウショック、オルトクラウドの両機とも、ピラーが打ち込まれる前に機体の回収だけはどうにか成功している。

 だが、失ったものが多すぎるが故に何の喜びも湧いてこない。

 唯一引き分けに持ち込んだことになっているゲルトルートだが、事実上の敗北であることは瞬自身が認めるところである。

 ガンマドラコニスBを大破には追い込めても、メンタルの部分では、終始ジェルミの掌で弄ばれていたに等しいのだから。


「こんな所で何をやっているんですか、先輩。はやく建物の中に戻りましょう」

「……なんで、来てんだよ」


 背後から投げかけられた、幼い声色と大人びた口調が両立する声に、瞬は背筋を凍らせた。

 その声には、身を案じる暖かさの代わりに、蔑みの冷たさが含まれていたからだ。

 振り返った先に、どのような表情が待ち受けているのかは、容易に想像が付く。

 なのに、わざわざ身を捻って応じてやる自分のできた人柄を、瞬は心中で褒め称えた。


「傘、お持ちしましたよ。今更な感じは否めないですが、ないよりはと」


 そこに立つメアラの瞳には、瞬が危惧した通り、失望の暗い輝きが宿っていた。

 本音を言えば、他の誰に罵られようと構わなかった。

 ただメアラの追求さえ避けられれば、それだけで十分だったのだ。

 だからこそ、こんな悪天候の中、わざわざ外へ出たというのに――――結果はこのザマである。


「ああ……」


 瞬は礼の一つも言わず、ぞんざいに手だけを差し伸べて、メアラがもう片方の手に握ったビニール傘を催促する。

 メアラも傘を差してはいたが、なにぶんこの暴風雨である、

 当然ながら制服をかなり濡らしていたし、自分を探すのに大なり小なり時間もかけたはずだ

 だがそれでも、メアラの厚意に痛み入る気分にはなれない。


「健康管理は私にお任せ下さって結構ですが、体調管理はご自身でやるべきことです、パイロットとしての義務です。重い風邪でもこじらせてしまったら、どうするんですか」


 メアラは傘を渡す素振りすら見せずに、瞬を背中越しに詰る。

 その件についても、瞬はまともに返事をしない。

 メアラが本当に批難したいのは別の部分だということが、わかりきっているからだ。

 ここまでの会話は全て、茶番であり前振りなのである。


「回りくどいのは嫌いだ。言いたいことがあるならはっきり言えよ」

「では遠慮なく。……何をやっているんですか、先輩は」


 最初の問いと大して代わり映えのしない言葉だったが、意味はまったく異なる。

 メアラから飛んでくる、怒りを滲ませた強烈な眼光に晒されてしまっては、受け取り方を間違えろという方が無理な話だ。


「悪逆非道の限りを尽くす仇敵から人質を、それも司令のご親族を救い出せずして、どこが英雄なんですか。見損ないましたよ」

「……うるせえよ」

「風岩先輩は、こういった状況で確かな成果を出してくれる方だと信じていたのに……!」

「オレだって、そうしたかったさ」


 昨日の戦闘は、瞬の人生において最も忌まわしい過去となるほど、絶望に満ちた幕切れを迎えていた。

 包み隠さず話せば、あのときケルケイムは、自らの口で自身の弟――――ニーヴル・クシナダの奪命をジェルミに懇願した。

 交換条件として、瞬とゲルトルートを生かすために。

 その願いを満面の笑みで了承したジェルミは、直後、自身の乗るコックピットとメテオエンジンだけを積んだ脱出ポッドを機体外へ放出。

 残されたガンマドラコニスBは、機体内部に蓄えられた膨大なエネルギーを解放して自爆した。

 内部構造の推察が不可能なほどの徹底的な破壊でありながらも、ニーヴルだけは、判別が付いてしまうほどの形を残して。

 総括すれば、求めたものは何一つ手に入れられず、逆にこちらは奪われるだけ奪われた、ぐうの音も出ない惨敗。

 唯一無事に救われたものが、本来であれば他の全てを救うべき立場にある瞬だけだとは、なんという皮肉であろうか。


「だけどジェルミの奴は、とにかく強いんだ。ほんのちょっとでもミスがあろうもんなら、あいつはその穴を徹底的に狙ってきやがる。メテオメイル戦でも、心理戦でも」

「その接戦を制していれば、一気に英雄への道を駆け上がれたんですよ! 先輩は、せっかくの機会を台なしにしてしまったんです!」

「台なしだと!? お前、もうちょっと言い方ってもんがあるだろうがよ……!」


 もしニーヴルの救出を最初から断念していたのなら。

 圧倒的優位とまで言い切る自信はないにしても、ガンマドラコニスBを撃墜できる可能性が何倍も高かったであろうことは確かだ。

 だがそんな真似はできないと、瞬は大破レベルの被弾も厭わず、遠く彼方の理想に挑んだ。

 その覚悟に目もくれず、メアラは救出の成功を、さもできて当然のように話す。

 流石にもう、先輩として大人の対応を続ける必要性を感じなかった。

 メアラ以上に感情を爆発させて、瞬は声を荒げた。

 しかしメアラも、肝の据わり方は同年代の少女を逸している。

 強靱にして狂的なまでの夢想を武器に、瞬に立ち向かってくる。


「これ以上甘くはできません。普通の人間にできないことをできるからこそ……先輩的に言うなら、絶対を覆してこそ、英雄は英雄たり得るのです。それでようやく、基準点なんです」

「だったら、オレは英雄失格ってことかよ」

「いいえ、先輩には、もう二度とあのような過ちは犯させません。絶対に、英雄にはなってもらいます。そのためなら、私は……!」

「何が過ちだ……! オレがキレてんのはそこだぜ、メアラ。実戦に出たこともねえ奴が、オレ達の必死の努力を軽々しく過ち扱いしてんじゃねえぞ」

「軽々しいだなんて……!」

「もう傘はいらねえ。お前に対する苛つきで、体が異様に熱くなってきたからな」


 瞬はメアラの脇を通り過ぎながら、そう吐き捨てた。

 年齢差や性差を抜きにして掴みかからなかった理由は、雨に打たれて心身が疲弊していたから、本当にただそれ一つだけだ。


「戦えない身だからこそ、先輩の助けになりたいんです……!」

「……ひたすらプレッシャーかけてくるのが助けのつもりかよ」


 メアラは、次こそは必ず勝つという類の返事を、瞬に求めていただろう。

 勿論、そのつもりではいる。

 雨に打たれたのは、敗北を噛み締めて明日への糧とするためだけだ。

 己の未熟さについてあれやこれやと思い悩むだけの段階は、もうとっくに超えている。

 前に進もうという意思は、些かも欠け落ちてはいない。

 ただ、今後を見据えてとなると、自分の掲げる誓いに一つだけ、どうしても取り消したい箇所があった。

 丸っきりなかったことにしようとは思わない。 

 ただ、以前から薄々は感じていたことが、今日このときを以て確信に変わったというだけだ。

 ならば、はっきりと言葉にしておく必要があった。 

 これ以上の深みに嵌ってしまう前にも。


「なあメアラ……お前の言う『英雄』ってのは、どうやら人間とは違う、別の何かになっちまった奴のことらしいな」

「えっ……」

「オレの力不足で、ジェルミに競り負けたのは認める、司令の弟さんを死なせちまったのも認める。もちろん、もうこんな失態は二度とやりたくねえし、そのために精進するさ。だけど、それでも、いつかまた、オレは何かしらのミスをやらかす。どう頑張ったって、絶対に間違わない完璧な奴にはなれねえ」

「辛さに耐えかねて、ハードルを下げるというんですか?」

「お前が求めてる奴はいねえと言いてえんだ。この世の、どこにも」


 瞬は心の奥底に溜まっていた泥を吐き出すように言った。

 メアラが瞬に要求している在り方は、他者の理想と、それを実行する合理性だけで構成された、偶像にして装置。

 個人で到達するにはあまりにも遠く、そして危うい領域だ。


「ですから私は、風岩先輩を、その第一人者にこそと……! 前例がないから人間には実現不可能だというのは、暴論じゃありませんか。風岩さんだって、最初は目指していたじゃないですか!」

「今だって目指してるさ。ただ、お前が宣ってる『英雄』とは、多大なる解釈の違いがあるってだけだ」

「……他の解釈なんてありません。誰よりも苛烈な道を歩み、誰にも真似のできない偉業を成し遂げた人だけが英雄になれるんです」

「じゃあ、いつまでも勝手に信じてろよ、一人でな」

「先輩……!?」


 そう、一人で。

 風岩瞬が付き合うのは、ここまでだ。

 例え幼い少女の抱いた微笑ましい夢であろうと、それが自分を苦しめるだけのものなら、振り払うしかない。

 優しい言葉で濁し続けるのは、もう限界だった。


「うんざりなんだよ、メアラ・セーベイア。オレは、そんな重苦しい夢に潰されるのはごめんだ」


 そう言い放ち、瞬は自分の影をねじ切るかのように、力強く踏み出した。


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