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第61話 警鐘(その2)

 二刀を携えた鎧武者、巨腕を持つ拳闘士、火器を纏いし砲撃主。

 格納庫に並び立つ、三機のメテオメイル――――毎日のように目にするその光景は、戦いが終結を迎える時まで、絶対不変のものと思い込んでいた。

 だが、そう遠くない未来に、内一つが姿を消そうとしている。

 より戦闘兵器として純化した、新たなる刃へ挿げ替わろうとしている。

 望みを叶える、望まぬ力。

 一切非の打ち所がない、自分の能力と相反する力。

 どういう形でなら、納得を以て“それ”を受け入れられるのか、未だ答えは出ない。

 ただ、今この瞬間にすべきことは、はっきり決まっていた。

 残された時間の中で、最大の功績を打ち立てる。

 打ち立てて、可能な限り長く、戦い続ける。

 極限まで己が身に馴染んだ、この刃と共に。

 未知なる敵に対する不安など、抱いている余裕はなかった。

 瞬の胸中を満たすのは、いかなる相手であろうと確実に斬り伏せる覚悟と執念のみ。

 出撃前の精神状態としては間違いなく、これまでの中で最高の水準にあった。


『セイファート、リフトアップ』


 格納庫に流れるセリアのアナウンスと共に、地上へ向けてリフトで運搬されるセイファート。

 厳重な護衛の下、ハイダ・グワイの南部に接舷していたラニアケアへと帰還した瞬達は、即座に出撃準備に移っていた。


『続けてバウショック、リフトアップ』


 移動の途中、北方の遠く遙か向こうで、無数の黒煙が立ち昇っているのを瞬は目にしている。

 想定よりも早いペースで防衛部隊の戦力が奪われているようだった。

 敵機に関する詳しい情報は、まだ入ってこない。

 最前線では、ヴァルクスに情報を回すほどの余裕もない激戦が繰り広げられていることの、何よりの証明だった。


『続けてオルトクラウド、リフトアップ』


 三機全てが同時に出撃した事例は既にあるが、それぞれ別の戦場に送り込まれた上に、実際に戦闘したのはバウショック一機のみである。

 同一の戦場に三機が投入されるのは今回が初めてのことで、瞬達が共闘するのも同様だ。

 一個小隊として連携を図る訓練は、過去に何度か行なってはいるが、形になったことは一度もない。

 機体特性とパイロットの性格、その双方において、あまりにも癖が強すぎるからだ。


「まず間違いなく乱戦になるだろうけどよ……せいぜい、邪魔しないでくれよ」

「クリムゾンストライクもソルゲイズも、加減は利かねーからな。邪魔にはなるなよ」

「せいぜいオルトクラウドの射線上でぼさっとしないことね。邪魔でも撃つわよ」


 一丸となるには程遠い、それぞれの身勝手な主義主張が回線上を流れる。

 今回の戦場は、リニアカタパルトでは最低出力の射出ですらも大きく飛び越してしまうほどの内側、バウショックとて五分とかからない超近距離。

 瞬達は、飛行と疾走、各機の移動手段で火砲の飛び交う北部エリアを目指した。



 長尺の錫杖“バルジセプター”を縦に軽く一振りさせるだけで、自機の周囲を旋回していた無数の戦闘機は、まったく同時にコントロールを失って海面へと落下していく。

 その輪形に通された合計十二の遊環から放たれる、強力なマイクロ波の影響だ。

 電磁波による内部機器の破壊と、波形振動による物体の異常過熱。

 機体とパイロットを同時に破壊せしめる、悪辣な広範囲攻撃――――電子レンジと同様の原理を、メテオエンジンの超高出力によって兵器化しただけの代物だが、効果は絶大だった。

 本体からのエネルギー供給量を更に引き上げれば、艦艇クラスの構造体でも丸ごと沸騰融解させることは可能だ。

 しかし、実際はこの通り、先に諸々の中身が揺さぶり灼かれて死に至る。

 ただ連合軍も、幾度となくオーゼスのメテオメイルに苦渋を味わわされてきた経験から、あまり近接戦は仕掛けてこない。

 正面モニター脇の三次元レーダーに映る、数百という熱源体の大半は、見事に自機から一定の距離を取っていた。

 近寄ってくる敵は、他が砲撃を行なう隙を作るための、実質的な特攻だ。

 ゆえに、これまで撃墜してきた二十三機の戦闘機と三隻の巡視艇、そして五隻の重巡洋艦は、自分の腕前で討ち取った正当な戦果とは言い難かった。

 戦いに充実感を求めているわけではないが、むざむざ倒されに来た相手を倒すだけでは虚しいのも事実だ。


「それにしても、凄まじい物量だ。現代兵器のみでメテオメイル三機を撃墜可能という、この基地の謳い文句は事実のようだな」


 海上には、数十隻からなる重巡洋艦と空母の大艦隊。

 空中には、新型の誘導ミサイルを搭載した制空戦闘機が未だ百数十機。

 陸地には、数えきれぬほどの移動砲台。

 それらが織り成す濃密な弾幕は、レイ・ヴェールすら強引に打ち破るほどの総合火力を実現している。

 何の策もなしに飛び込もうものなら、大破も十分にあり得る。

 いっそそうしてしまえば、今よりは技量の求められる状況になるだろうが、自ら窮地に陥るほど愚かではないつもりだ。


「もうしばらくは、地道に削っていくか」


 マイクロ波の射程範囲は約三百メートル。

 けして狭くはないが、遮蔽物のない空間で使うには、いささか物足りない射程だ。

 引け腰の敵を狙うには、また別の武装を使う必要があった。

 そこで、自機の両肩に装着された巨大なラウンドシールド“スパイラルディスク”の出番である。

 縁が鋭利な刃で構成されたそれは、本体から分離した後、高速回転を開始。

 そのまま自動操縦によって空中を自在に飛び回り、二十機近い戦闘機を瞬く間に両断する。

 分離中にはレイ・ヴェールの効果が及ばないものの、実弾兵器の発射速度では、狙って命中させることはまず不可能だ。

 命中したところで、構造材本来の強度に回転速度を乗算した防御力が、大凡の攻撃をはね除ける。


「こいつも追加だ」


 更に、敵の陣形が崩れたところで、追撃に移行。

 錫杖を一時背中にマウントし、円筒形の両腕に等間隔で配置された、六連の圧縮光子生成機構“ソーラフォース”を起動。

 そこから次々と撃ち出される眩い光弾が、死の豪雨となって海上に降り注ぎ、辺り一面に炎の華を咲かせた。


「……大打撃じゃないか」


 鉄壁の布陣に呆気なく大穴が開くのを見て、そんな感想が、自然と口を突いて出る。

 単機での襲撃であるがために、エネルギーの消耗を気にしすぎて、少し慎重に立ち回りすぎたようだ。

 積極的に攻撃することで、こうまで多大な損害を与えられるのなら、早くにそうするべきだった。


「このタイムロスを補うためには……いや、着実にフェイズを進めていくべきだな。事態の全てが、こちらの予想通りに動いているわけではない。下手に動けば、先生を巻き込んでしまうおそれがある」


 どのみち、これから対峙することになるのは、意図的に撃墜を早められるほど脆弱な相手ではない。

 少なくとも、現段階では。

 直後、敵の陣形が新たな変化を見せる。

 拠点の手前で戦力を左右に寄せ、中央を空けるという、従来の戦術ではまず有り得ない配置パターン。

 だが、規格外の戦力が組み入れられた現代においては、確かに合理的な動きだった。

 基地施設の上空に残された、最低限の航空戦力――――その後方から、他とは比較にならないほどの高エネルギー反応が三つ、かなりの速度でこちらに向かってくる。

 それらの正体は、データベースに照合するまでもなく明らかだ。

 ようやく、本当の戦いが始まる。

 気を引き締め直し、正面モニターで目視できる範囲に入ってきた、三機の人型兵器を見遣る。

 虚ろな表情はそのままに、双眸に歪んだ歓喜の輝きを灯しながら。


「そもそも――――


 まずは、様々な意味合いを含んだ挨拶をしておかなければならない。

 その手始めとして――――連合とオーゼスのメテオメイル間でのみ確立できる、高度に暗号化された特定周波数による専用の通信回線に、で割り込んだ。



「どうも、初めまして」


 夥しい数の焦げた鉄屑が浮かぶ、地獄絵図と化した海上。

 その中心に浮遊する機体から発せられた声は、空恐ろしさを覚えるほどに爽やかでありすぎた。

 やや低めの声色的には、まず間違いなく男だろうが、年齢は判別しかねる。


「また随分と派手にやらかしてくれたじゃねえかよ。何者だ、あんた」


 真っ先に戦場に辿り着いた瞬は、開口一番、その問いを投げかける。

 声の発信源であるメテオメイルをざっと眺めた限り、これまで例外なく正面装甲の一部分に刻まれていたものが――――オーゼスのロゴと機体名称のマーキングが、どこにも見当たらなかったからだ。

 これがただの見落としではないのなら、もはや機体性能を気にするどころの話ではない。

 より広義の意味での脅威になるのだ。


「僕は“アクラブ”……そう名乗れと言われている。そしてこの機体は“ヴァルプルガ”。最新鋭のメテオメイルだ」


 その名を明らかにした黄金の機体は、一言で例えるならば、鎧を身に纏った仏像だった。

 右手には、わざわざ遊環までもが再現された錫杖。

 背面には、後光のごとき、各所で突起が突き出した巨大な輪状のパーツ。

 頭部には赤い双眼に加えて、額の中央に第三の目。

 全高はセイファートとそう変わらないが、本体は全体的に前後左右へ肥大化しており、見かけの質量はオルトクラウドに勝るとも劣らない。

 実際の性能はさておき、重厚感と神々しさによる気後れは、どうしても感じてしまう。


「そんなことを聞いてんじゃねえ。あんたの所属は、オーゼスか、それ以外か、どっちだ」

「その問いを発するに至った理由の通りだ、風岩瞬。おっと、北沢轟と三風連奈も来たか」


 遅れてやって来たバウショックとオルトクラウドの方へヴァルプルガの視線を向けながら、アクラブはわざとらしく言い放った。

 暗号化された専用回線のデコード手段と、パイロットの個人情報、どちらも軍事機密としては最高ランクに位置づけられる。

 アクラブ本人か、あるいは背後に潜む人物が、そこまでのデータを手に入れられる環境にあるという露骨なアピールだ。

 あくまでメテオメイルを用いた侵略にこだわるオーゼスはともかく、目的や方針が不明の相手に身柄が割れてしまっているというのは、心中穏やかではいられない。


「安心してくれ、君たちの家族や友人に手を出すような、姑息な真似はしない。大体、やるのならとっくにやっているさ。ここまで情報を掴んでいるのならね」

「事情通気取りが……!」


 見透かしたかのようなアクラブの発言を受け、瞬は苛立ちに任せてフットペダルを踏み込み、セイファートを急加速させた。

 そして、流れるような動作で腰の鞘からジェミニソード長刀を引き抜き、ヴァルプルガに斬りかかる。

 ヴァルプルガは、錫杖を振り払い、その一撃を受け止める。

 敏捷性はセイファートの方が勝っていたが、正面からの飛び込みに対応できるほどには、高いレベルにあるようだ。

 さすがに、自ら最新鋭と豪語するだけのことはある。


「だが、あんたも相当な間抜けだよな。オレ達にプレッシャーをかけようと躍起になって、喋り過ぎなんだよ」


 負けじと挑発を挟み込みながら、瞬はヴァルプルガの頭上を越える軌道を取った。

 そのまま頭上から落ちていく体勢となって、背面に向けて大型バルカンを発射する。

 案の定、巨大な光輪は何らかの防御機構のようで、不可視の力場が発射された弾丸の勢いを殺しきる。

 もはやレイ・ヴェール以外の防御手段の実装は標準仕様、バルカン砲では削りにすらならない。

 強い機体はかくあるべきというジェフラーの見解と、セイファートでは手も足も出なかったガンマドラコニスB戦の記憶が重なって、落下の加重とは別の呻きが漏れた。

 だが、火力不足などとは意地でも口にはしない。

 それが、愛機とさえ呼んでいいセイファートに対する義理であり、誓いだ。


「パイロットの素性を知ってる奴なんて、そう多くはねえはずだ。調べりゃすぐに黒幕が判明するだろうぜ」

「突き止めたところで、君たちにはどうすることもできないさ。僕の言っていることが理解できないのなら、後でケルケイム・クシナダにでも聞いてみるといい。いや、ミディール・ヒルシュが先か」

「てめえ自身に吐かせるって選択肢もあるぜ?」

「そうだな、そっちの方が、俺達好みだ」


 陸地から、バウショックによるクリムゾンショットの援護が入る。

 超高温の熱量塊という、どれほど優れた性能でも、機械である以上は受けるのが憚られる攻撃。

 ヴァルプルガは、それを錫杖の一振りで拡散、無効化する。

 今度は、よりはっきりと大気の歪みが見てとれた。

 わざわざそれを使ったことから察するに、光輪同様の機能が、出力を調整できる形で組み込まれているらしい。

 だが、腕を振り抜いてしまったことで正面の守りには隙が生まれる。

 推力任せのホバー飛行で海上に躍り出ていたオルトクラウドが、二丁のバリオンバスターを連続発射。

 予想通り、鮮紫の光条は光輪の生み出す力場を貫通し、ヴァルプルガの左肩と胸部を灼く。

 表面の僅かな融解に留まったが、しかしようやくダメージらしいダメージを通すことができた。

 自分がその役割でないのは口惜しいが、アクラブの意識を反らすことで連携に噛めたのなら、機動力特化も捨てたものではない。


「中々やるじゃないか」

「あなたを締め上げるのは他二人に賛成として、大まかな目的くらいは先に教えて欲しいわね。わざわざ通信を入れてきたということは、そのくらいは説明してもいいという腹積もりでしょう?」


 連奈がバリオンバスターの銃口をヴァルプルガに向けたまま尋ねる。

 高低差はあるものの、今はちょうど、ヴァルプルガを三方向から包囲できている。

 悠長に会話できるまたとない機会と、連奈は踏んだのだろう。

 そしてアクラブは、この状況にもまったく動じることなく、要求に応じる。


「警鐘だよ。まだまだ心許ない戦力だというのに、なまじ防衛成功率が高いせいで気を緩めてしまっている、君たちに対してのね」

「つまり今回の襲撃に、本気で最高司令部を陥落させようだなんて意図はないというわけ……?」

「正解だ。これはあくまで指導なんだよ、僕達なりのね」

「指導だと?」

「オーゼスは今のところ、地道な領土拡大に勤しんでいる。だけど万が一、彼らの技術力が最悪の方向に活かされるようなことがあれば、こういうことだって簡単にやれてしまう。君たちはもっと、危機意識を持つべきなんだ」


 そう語るアクラブの声色は、迷いも躊躇いもない、実に朗らかなものであった。

 独善的にもほどがある言い分に、瞬はどこか安心した気持ちになる。

 一切の遠慮なく叩き潰すに値する、正真正銘の敵であることがはっきりしたからだ。

 指導という名目で数百名の命を奪えてしまう異常者に、もはや慈悲の心は必要ない。


「ケルケイム司令から聞いた話だけどよ……HPCメテオは去年に一つ、事故に見せかけてどこぞの誰かに盗まれたそうじゃねえか。オーゼスが関係してねえってんなら、消去法で、てめえらの仕業ってことになるよな」

「なるな。こればかりは、どう足掻いても言い繕うことができない」

「足が付かないくらい入念に工作して手に入れておきながら、その使い道が、こんな下らねえお節介かよ。一周回って笑うしかねえな」


 言葉とは裏腹に、瞬は怒りの形相でヴァルプルガを睨み付ける。

 同時にセイファートは、ジェミニソード長刀を両手で握り込み、威力重視の構えへと移行する。


「結局てめえらも、オーゼスのおっさん共と同じ、頭の捻子が緩んだクソ野郎じゃねえか。考え方が思いっきりずれてんだよ」

「彼らと同一視されるのは気に食わないな。だが、これ以上の問答を続けるつもりもない。不満は二つ目の警鐘に込めるとしよう」


 アクラブの言葉と共に、延長線上でジェミニソードの切っ先と合わさるよう、ヴァルプルガが錫杖を正面に突き出してみせる。

 じゃらりという遊環の音が場の緊迫間を高め、一触即発の空気を作り上げていった。


「相手が誰であれ、三対一なら流石に勝てるだろうという、その甘い考えも是正させてもらう。ヴァルプルガは、君たちでは辿り着けない高次の領域に踏み入ることを許された機体なんだ」

「好きなだけ吠えてろよ……!」


 各自が攻撃態勢に入ったまま待機するセイファート、バウショック、オルトクラウド。

 ゆっくりと旋回しながら、初撃がどこから来るのかと警戒するヴァルプルガ。

 重苦しく、時間が刻一刻と流れていく。

 瞬は最初、この膠着状態を、アクラブの予測を許さない代わりに、自分達も先が読めない暗中模索の結果であると判じた。

 だが、違う。

 バウショックとオルトクラウドが、轟と連奈が言外に語っているような気がした。

 どんな局面でも、まずはセイファートが切り込んで流れを作る。

 それこそが、僅かな共闘の中で掴んだ不文律であると。

 直後、静寂を打ち破るように、バウショックがギガントアームを跳ね上げた。

 その刹那、瞬はフットペダルを踏み込み、セイファートを急加速させる。

 不意を突かれて、ヴァルプルガの――――その向こうにいるアクラブの視線に迷いが生じているのが、はっきりと見て取れた。


「なんだよ……」


 滑空するようにヴァルプルガへと突撃するセイファートの中、瞬は歓喜に口元を歪めた。

 バウショックの動作が完全なるフェイントであると信じ、迷いを捨ててヴァルプルガに詰め寄る自分。

 自らの初手をアクラブの注意を引くことに注力し、今から悠々とクリムゾンショットのエネルギーチャージに入る轟。

 防御が手薄になったところを狙うため、自分がヴァルプルガの体勢を崩すのを待っていてくれる連奈。


「わざわざ計算するまでも、ねえってことか」


 最後は自分の手で決めるという結果から逆算した上で、過程においては存分に味方を利用し尽くすという、呆れるようなエゴイズム――――それこそが自分達の潤滑油。

 互いに全く遠慮がないことで、逆に行動が読みやすくなっているという、なんとも歪な順序で形成された連帯感だ。

 だが、それはそれで、確固とした自分達のチームワークに昇華されつつある。

 だからこそ瞬も、更に己を通すことを極めて、二人の気持ちに応えるしかない。

 そして応え続けるためには、やはりセイファートが必要なのだ。


「二十七式、“崩断ほうだん”」


 最速の機体による最速の肉薄。

 間近に迫ったセイファートに、ヴァルプルガが身を翻して対応しようとするが、もう遅い。

 直後セイファートは、上半身を後方に反らすことで、通常の唐竹割りよりもなお勢いを付けた真っ向からの振り下ろしを、ヴァルプルガの脳天に叩き込んだ。


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