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第29話 必然(中編)

「今お見せしたのは、いわゆる“腕絡み投げ”の応用ですよ。片方の腕で、相手の前腕を上から押し込み、前傾姿勢にさせる。同時に、もう片方の腕で相手の上腕を掬って持ち上げる。そうすれば、あとは勝手に一回転してくれます。本来のそれと違って体幹移動を省いた分、効果も心許ないですが……見ての通り、即座に出す事ができて、即座に相手から離れられるメリットもあります。僕としては、こちらの方が好みかな」

「何が心許ないだ……その速さなら、十分に殺人級だろうが」


 わざわざ説明されなければ、一切の動作が認識できないほどの神速にて行われた護身。

 その時、一体どれほどの遠心力がバウショックと轟へと襲いかかったであろうか、考えるだけで怖気が走る。

 全身に血液を循環させることで生命活動を維持している人体にとって、あらゆる血流を一括で阻害する遠心力は天敵とも呼べる慣性。

 超常のスピードで天地が逆さまになった轟が、あれから数十秒が経過して尚、立ち上がる素振りすら見せないのも無理からぬ話であった。

 耐衝撃性を高められたパイロットスーツを着込んでいても、この有様。

 格闘と斬撃では勝手が異なるとはいえ、踏み込む気概は大きく削がれる。

 瞬は、未だに沈黙したままのバウショックに視線から一度視線を離して、ウインドスラッシャーの使用準備に入る。

 このプロキオンを仕留めるためには、まずは時間をかけてでも、四肢の一本を奪う必要があった。


「悪いが、あんた相手に接近戦はできねえな!」


 瞬が操縦桿のスイッチを押し込むと同時に、セイファートは一歩踏み込みながら、ウインドスラッシャーを全力投擲する。

 縦方向の高速回転によって大気を斬り裂きながら進む、鋼鉄のブーメラン刃。

 プロキオンの装甲では防御不能、機動性では回避不能。

 命中さえすれば、ダメージは確実である。

 だが――――ここに霧島の技量が加わることで、不可能は可能となり、目算は水泡に帰す。

 鼓膜を打つ、バチリと弾けるような音を最後に、本来その時間軸において生まれうる筈のない静寂が場を満たす。


「…………!?」

「できない? いえ、して貰いますよ……君達にはね」


 目の前の光景を現実のそれとして受容するまでに、瞬の頭脳は幾許かの時間を要した。

 そのままプロキオンの胴体に突き刺さるはずだったウインドスラッシャーは、あろうことか白刃取りの要領、両手に挟み込まれる形で受け止められていたのだ。

 金属製のマニピュレーターで、滑らずにウインドスラッシャーの回転を止めきるには、ただ掌を押しつけるだけでは不十分。

 完璧なタイミングと最大のパワーを以て、最初のインパクトだけで奇麗にエネルギーを殺しきる必要があった。

 人間離れした恐るべき超絶技巧を再び目の当たりにして、瞬は今度こそ言葉を失う。


「お返ししますよ、これ」


 プロキオンが、わざわざウインドスラッシャーを軽く放ってセイファートに返還する。

 霧島の声は依然としてゆったりとしたままで、今の神業ですら、何ら神経を尖らせていないようだった。

 目の前に現われた脅威にも自然に対処できてこそ、真の護身。

 しかしそれは、理想の中だけに留め置いて欲しいというのが率直な意見である。

 余りに完全な“技”は、受ける者だけではなく、見る者の心すら砕く。

 途方もない格の差を相手に叩きつけ、対抗しようとする意志すら、奪い去る。

 瞬が屈服寸前で耐えることができたのは、一度、同じ無力感を経験しているからであった。

 受け取ったウインドスラッシャーは、霧島の忠告に従うわけではないが、肩部に再装着する。

 あくまで、別の攻め方が思い浮かぶまでだ。


「こ、の、野、郎、が……!」


 その時、プロキオンの背後でバウショックが突如として身を起こし、ギガントアームを大きく横に一振りする。

 猛獣の如き、切れのある荒々しい一撃。

 意識が戻ったばかりとは思えない、驚嘆すべき回復力と闘争本能である。

 プロキオンはそんな不意打ちにすらも対応し、バウショックの腕を取って水平方向に投げ飛ばす。 先程の投げと挙動は大きく異なるが、掴んだ相手の腕を軸に、その場で回転させて意識を刈り取るという意味では全く同じ性質のものである。

 だが、今度は轟も確実に受け身を取った。

 機体が宙を舞うと同時に、バウショックは四肢を順に地面へと押し当てることで、横回転の勢いを殺しながら体勢を立て直す。


「へえ、中々の体捌きじゃないですか……」

「二度も食らって、たまるかよ……!」

「ですよねえ。結構効きますもん、これ」

「野郎……」


 一度は効果は薄いと言っておきながら、平然とそう告げる霧島。

 瞬の脳裏には、轟と全く同じ言葉が浮かぶ。


「少し驚かされたが、手も足も出ねーわけじゃねーな。力技でどうにか対処はできる」


 丁度セイファートの眼前に戻ってくることになったバウショックの中、轟は唸るように言い放つ。

 二度の投げを受けたことによる怒りで、逆に集中力のスイッチが入っているようだった。

 しかし、やや威圧感に欠ける語調から、まだ万全の状態ではないこともわかる。

 瞬はセイファートをバウショックの隣に出しながら、言った。


「おい轟、今のでわかった筈だ。バラバラに攻めても勝ちはねえってな」

「いや、まだだ、俺の力はこんなもんじゃ……!」

「てめえは、いい加減に……!」


 まともに取り合うことなく、前のめりになってプロキオンに突進するバウショック。

 瞬は舌打ちしながらも、セイファートを加速させ、別角度からプロキオンを目指す。

 轟の側に合わせる気が無くとも、これで、二方向からの同時攻撃は成る。

 受け流す事が合気道の本質であるというのならば、逃す先を封じてしまう挟撃は、有効な妨害手段の筈であった。

 ただし――――相手の邪魔をするという点において、誰よりも熟知している男がこの戦場には存在する。

 “外道”、スラッシュ・マグナルス。

 その乗機であるスピキュールの、毒爪を携えた左腕が飛来し、プロキオンとセイファートの間を抜けていく。


「こいつ……こんな時に!」

「どうだ、最悪のタイミングで妨害された気分はよ! 心底腹が立つよなあ!」


 スラッシュの耳障りな嘲笑を浴びて、瞬はプロキオンの後方に控えるスピキュールを憤怒の形相で睨み付ける。

 プロキオンを目前にした位置で、機体を急停止してしまう、その意味。

 再加速しようと、もうバウショックに並ぶ機会はないということだ。

 そして、向かってくるのが一体であれば、プロキオンが護身を行うにあたって何の問題もない。

 体勢を一段下げ、バウショックの懐に潜り込むと、そのまま小手返しで投げ伏せる。

 霧島独自のアレンジは加えられていない、基本中の基本型で、投げる速度も先程に比べれば大幅に遅い。

 ただし、基本であるが故の恐ろしさもある。

 敵の動きを封じることに特化した分、そこに“力”が介入する余地が微塵たりとも存在しないのだ。

 しかし、合気の本質に忠実とはいっても、そこに霧島の技量が加われば無痛で済むわけにも行かず。

 再び背中を打ち付けた轟の、呼吸が締まるような喘ぎが、セイファートのコックピットにも届く。

 意識が飛ばない分、一層悪辣な仕打ちともいえた。


「轟……!」


 片腕を防御に使わせていれば、バウショックの攻撃も軽く捌かれるだけで済んでいたであろう。

 スラッシュの放った一撃は、あの時点において最大の妨害効果を発揮したということだ。

 二体の敵を同時に視野に入れる感覚を体が忘れているがための、失態だった。

 風岩流剣術では、多対一形式での稽古もあったが、実戦で同等の働きができるほど肉体に馴染んでいるわけではなかった――――その事実が、尚更に屈辱であった。


「お前は後ろの爪持ちを狙え。オレが合気道を倒す」


 ここまでの戦いを俯瞰した上で、機体間の相性を考えれば、それくらいしか状況を打開する策が思い浮かばなかった。

 一撃の威力に欠けるセイファートは、無数の妨害手段によって相手の動きを大きく制限するスピキュールが相手では、どうしても攻めあぐねてしまうために不利。

 単調な動きしかできないバウショックは、あらゆる近接攻撃を流水の如く無力化するプロキオンの前では容易くねじ伏せられるだけだ。

 逆に、セイファートならば機動性でプロキオンに揺さぶりをかけることも不可能ではなく、バウショックならばスピキュールのワイヤーや超強酸を意に介せず正面から突破できる。


「テメーが先に唾付けた奴を、俺に倒せっていうのかよ……!」

「そんな事を言ってる場合じゃねえだろうが。あいつらとの実力差がわからねえほどの間抜けかよ、北沢轟は」

「ああ……!?」

「まずは片方を撃墜しなけりゃ、今のまんまズルズルと負けに近付くだけだ。本当に勝ちたいなら、少しは頭を使えってんだよ……!」


 そこまで言って、瞬は、先に自分がプロキオンに仕掛ける事にした。

 共闘するつもりのない轟であれば、自分が狙っていない方に向かってくれる。

 あれこれと説得するよりも、確実性のある判断だった。


「だいたい、別方向からの同時攻撃ってんならセイファートだけでもやれるんだ……!」


 ウインドスラッシャーを右回りの軌道で投擲後、セイファートは左回りで接近。

 ジェミニソードの二刀も合わせて、こちらは一度に三回の斬撃。

 両腕だけで受けきることはできない。

 極めて理に適った攻法。

 気圧される余り、何もかもが通用しないような錯覚に囚われていたが、思ったほどの万全な守りではない。

 平常心を保てば、このくらいは――――瞬は、操縦桿を握りしめる腕に力を込める。

 もっとも、合理性を求めるという意味では、それこそ霧島とスラッシュもまた、徹底的に考え抜いていた。

 だからこそ、今この瞬間、プロキオンを飛び越えるようにしてスピキュールが前衛になる。

 瞬は反射的に横薙ぎの一閃を放つが、スピキュールの爪は、それを容易に弾き返した。

 その背後で、プロキオンもまた、当然のようにウインドスラッシャーを受け止める。


「っ……どけ!」

「どかしてみろよ、そのヘボい剣術で!」


 スピキュールが両腕を振り回すようにして、爪の乱撃を放つ。

 超強酸の浸透する内刃に触れぬよう、ジェミニソードで必死に受けるが、あちらは外から内へ、こちらは内から外へ――――腕を振り抜く方向の関係上、どうしてもパワー負けしてしまう。


「どうやら、スピキュールの毒爪アシッドネイルにビビって、みみっちい動きしかできなくなっちまったようだな。この精神的にじわじわと追い詰めていく感じ、堪らねえ……!」

「七式、“荒鋏あらばさみ”!」


 セイファートが交差させたジェミニソードで、スピキュール右腕の毒爪を受け止める。

 刀身の多少の溶解は目を瞑るしかない。

 このまま刃を外側へと引き、まだ切れ味が健在である内に、片方の爪を確実に切断してしまいたかった。

 だが、ここでスピキュールは刃に挟まれた右腕を射出。

 完全に防御態勢の崩れたセイファート、その胴体を左腕の毒爪が掠めていった。

 切断それ自体は深手ではないが、胸部装甲から微かな金属煙が立ち上るのがはっきりと見てとれる。

 この程度では、メテオエンジンやコックピットブロックが搭載されている内奥まで腐食が進行するとは思えない。

 しかし、最重要部位を守る装甲が確実に消失しているという事実は、けして安心できるものではない。

 次いで、またも大地が大きく揺れる。

 瞬の予想通りにプロキオンに挑んでいったバウショックが、今度は完全に組み伏せられていた。

 右腕をねじり上げられ、そして背中に押しつけられた右膝から全体重を乗せられているようだった。

 膂力だけならバウショックに大きく分があるのだが、幾ら藻掻こうとも、赤き巨体は地面に吸い付いたように離れない。


「だから言ったんだ……!」

「こっちも“それ”がわかってるから、狙う相手は絶対に変えねえ。お前達がどう動こうともな」


 自分に有利な状況でしか戦わず、不利な状況は徹底して事前回避――――

 言葉にすれば簡単だが、実際には、相当に工夫した立ち回りと、絶対に欲を出さない意思力が必要となる。

 ここまで、スピキュールとプロキオンは必ず縦の陣形を維持。

 相手が攻めるのを見てから、自ら生み出した猶予の中、後衛が対応を決めている。

 そして、確実に分断したところを叩く。

 連携には程遠いが、如何に自分の思い通りに動けるかを追求した結果、互いにとって余計な真似を一切しないまでに昇華された戦術である。

 それは皮肉にも、瞬が戦闘の直前に思い描いていたフォーメーションに近い形だった。

 どちらも前衛になり得るという点では、瞬の構想より一段階先に進んでいるといってもいい。

 また、ここまで二機の動きが洗練されているのは、訓練で培ったもの以上に、自身もパートナーも明確に個性が確立しているためであろう。

 互いの強みを理解しているからこそ、“自身の領分”の線引きもまた正しい。

 その点で、瞬と轟は、互いに何が出来るか、把握がアバウトでありすぎた。

 挙げることが出来たとしても、それは機体特性であって、パイロット自身の持つ特性ではない。


「しかしまあ、何というか……手応えがまるでないですね、この二人。彼らが望む通りに相手を交代したとしても、負けないと思いますよ? 僕もスラッシュさんも」

「言ってやるなよ霧島……! あんまりにも可哀想だと思って、今まで黙っててやってたのによ」

「ああ、すいません。そこまで頭が回りませんでした」

「テメーら……調子扱いてんじゃねーぞ!」


 轟の怒号と共に、バウショックが必死に空いた片腕に力を込める。

 だがそれでも、バウショックの半分程度の重量しかないプロキオンを、まるで振りほどけない。


「何でだ……何でこんな並のガタイで!」

「それは、僕が力の使い方を熟知しているからですよ。然るべき場所に然るべき体重を乗せるだけで、この通り、体格が大きく勝る相手でも無力化できます。人体ならともかく、メテオメイル同士でやるには少し不安もあったわけですが……三度の掴み合いで、少なくともセイファートやバウショック級のサイズであれば通用することが判明しました。いやあ、良かった良かった」


 そう言いながらも、霧島は一層強くバウショックの右腕を締め上げる。

 肩関節の上げる悲鳴、金属のねじ曲がる鈍い音がセイファートにも届く。


「君にはもうしばらく、このまま這いつくばっていて貰います。お友達がスラッシュさんに為す術無く敗北するまでね」

「そいつはダチでも何でもねえし、テメーは必ず引っ剥がす! 第一、何でテメーは攻撃してこねーんだ……腕をへし折るぐらいはできるだろーが!」


 馬鹿正直に、轟が問う。

 だが、オーゼスのパイロット全員が抱える奇癖こだわりを考えれば、ある意味では当然のことだと、瞬は既に納得していた。


「何故って、僕はただ、合気道をするだけの人ですから。相手を能動的に傷つけることは本意ではありませんし、何より万有愛護の理念に反します。僕がやる事は二つ、相手の攻撃から自分の身を守ることと、自分に危害を加えようとする相手を抑え込むことだけです」

「だったら、わざわざ実戦なんかに出てんじゃねーよ……!」

「“争わず”の境地は最終目標であって、実現のためには研鑽が必要です。メテオメイルに乗っているのも、技術習得の一環ですよ。真の護身を探究する身としては、現代における最強戦力であるメテオメイル、その攻撃すらも完全に捌ききれる術を身につけなければなりませんからね。なので、そちらから攻撃してくれるのは有り難かったりします。何が起ころうとも、僕から手は出せませんので」

「言ったな……?」


 狂喜と自信に満ちた声色から、轟が何をしようとしているのが、瞬は察しが付いた。

 組み伏せられ、身動きの取れないバウショックだが、たった一つ、出来ることがあった。

 間を置かず、捻られたままのバウショックの右腕――――ギガントアームの各部装甲がスライドし、排熱機構が露わになる。

 更に、元より赤く染め上げられた手甲は、超高温を纏い赤熱化することで深紅に変わりゆく。

 明らかな異常を感知し、プロキオンはすぐさま拘束を解いた。

 だが今度は逆に、身を翻したバウショックの左腕が、プロキオンの脚を掴んで離さない。


「これは、サミュエルさんが受けた……」

「クリムゾンストライクだ……こいつも捌いてもらおうじゃねーか!」


 大型マニピュレーターの間で、徐々に熱量が収束して巨大化する火球。

 命中すれば間近に立つプロキオンは消し炭になるだろうが、その場で放てば、バウショックも無事では済まない。

 実質的な自爆である。

 当然、セリアが制止にかかるが、轟が聞き入れるはずもない。

 これ以上の敗北を味わうぐらいなら道連れを選ぶ――――轟は、そうした破滅的思考の持ち主だからだ。

 バウショックの左手はプロキオンの脚部に深く食い込み、腕ごと捻じ切りでもしない限り、逃れることは不可能のように思えた。

 だというのに、霧島の態度は余りにも冷静そのものであった。

 だからこそ、瞬は叫ぶ。


「おい、クリムゾンストライクを止めろ、轟!」

「テメーは黙ってろ……! こいつをブッ倒すには、これしかねー!」

「違うんだよ……そのままじゃ、“お前だけしか食らわねえ”!」

「ああ……!?」

「窮地ですらねえんだよ、そいつにとっては!」

「そっちの君――――正解」


 クリムゾンストライクが放たれる寸前、プロキオンはゆらりと後方へ身を反らす。

 そのまま、自由な右脚を軸にして上体を捻ると、バウショックの巨体が軽々と持ち上がった。

 次いで、両腕でバウショックを一回しすると、可動範囲の限界を感知した左腕が自動的に外れる。

 この間、実に二秒未満。

 危機的状況に陥っているとは思えない、余りにも滑らかな動作だった。

 そしてバウショックは、、ギガントアームを抱き込むような体勢でうつ伏せになる。

 停止の効かない段階までエネルギーが増幅されていた数万度の火球も、そのままに。


「なっ――――」

「誰かと一緒に逝こうだなんて、甘えん坊だなあ、君は」


 直後、バウショックと地面との間で、赤き閃光が爆ぜる。

 全てを焼き尽くす熱量は一瞬にして周囲百メートルの空間を舐め上げ、建造物の大半が灰燼に帰す。

 安全地帯はただ一つ、バウショックという厚い金属塊の真後ろのみ。

 周囲に爆炎が燃え広がる中、何事もなかったように霧島が呟くのを、瞬は聞き逃さなかった。


「死ぬぐらいは、一人でやってくださいよ」


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