第1話 「変わり」
ここでは初めての小説(物語)です。少しでも楽しんでもらえればな。と思っております!
……僕、一ノ瀬 柚樹は男子校に通う2年。そして今は生徒会長として活動をしている。
そして、実を言うと僕は女だ。いや、正確に言うと僕は一ノ瀬 柚樹ではない。
“一ノ瀬 柚葉”なのだ。
柚樹は僕の双子の兄である。
なぜこんなことになっているかと自分でも聴き返したいぐらいなのだが、兄の立場による僕にとっては不愉快で極まりないこの状態が、僕を思わぬ状態へ導き出した…____。
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「なぁ、柚葉」
柚樹が私の向かい側にあるソファに座ったまま、私の名前を呼んだ。
「なに?柚樹」
嫌な予感がして思いっきりソファから立ち上がって逃げたくなるが、兄を信じてみようと逃げずにそのまま柚樹の向かいに座り続けた。
「お前、俺の代わりに生徒会長になってくれ。」
双子の妹から信頼をされていないような兄はこんなことを言ってきた。実に馬鹿らしい。誰が柚樹の言うことなんか聞くかっ!
……。
あれ?今、なんて言った?
数秒前に兄の口から発せられた言葉を思い出す。
「はぁ!?」
なに言ってるの!?この兄は!状況をうまく理解できず、思わず立ち上がる。
柚樹は私の目の前にまで歩いてきて、自分の顔の前で手を揃え、「なっ。頼むっ!」と、拝むようにお願いをしてきた。
「なんでそんなことしなくちゃいけないの?と言うか私も学校あるし……」
できるわけが無い。と自分の中で結論を出す。
「俺、一年間全国でライブするだよ。な!頼む!!!」
……知るか。
と言いたくなる。けれど、なかなかその言葉を口にすることはできなかった。
その理由は兄の関係しているのだが。
簡単に言えば今の状況は(兄の世間での立場は)こうだ。
柚樹は今、絶賛なる大ブレーク中の5人アイドルグループ“或哉”として活動をしている。そんな兄が全国を飛び回るから自分の学校に通ってくれと頼んでいる。ファンの子なら喜ぶかもしれない。
自分の兄に言うのもなんだが、顔立ちもそこら辺の男子とは違い整っているし、スタイルも細身の体ながらしっかりと鍛えられている感じがででいる。そんな彼に頼まれているのだから断る理由もないだろう。
“ファンの子ならば。”
___しかし、私は実の双子の妹なのだ。そんなことを考えることは木っ端微塵としてあり得ない訳で。
「嫌だ。」
その一言で、そして瞬間的に柚樹のお願いを断る。
「それに、なんで生徒会なんてものに立候補するのさ。じぶんで国民的アイドル目指してんなら立候補しないでダンスの練習でもすればいいじゃん」
自分で兄へ向けた言葉なのに自分でその言葉に納得する。
「俺が立候補した訳じゃないんだよ。他のやつらがかってに推薦しやがったんだ!」
吠えるように言ってくる。
「なぜ、こんな兄に推薦するのかが不明。」
「考えてみろ、あの高校だぞ?そして男子校の…。俺以外頭のいいやつそうそういないだろ?」
兄が共感を求めるように「な?」と相打ちを打つ。
「なんか、事実いってるみたいだけどすごくムカつく」
「だからな?頼む!!」
何が、だからな?だっ!
柚樹はまた私に向け頭を下げた。
そんな兄の姿を見るのも調子が狂うので、私は顔をあげるよう話を続けた。
「でも、あの学校がらが悪いやつらが多いんでしょ?」
「あぁ。けどお前俺より強いから大丈夫だろ」
柚樹がすんなりと、何事もないかとように言ってくる。
「それでも、実の兄かよ」としゃべりそうになるが、それは口には出さずに違うことが口から出た。
「……いいよ。やってやるよ!!!!」
「ほんとか!?サンキュ!!」
自分で何を言ったのかは数秒理解できなかったが柚樹を見てみると、とても喜んでいる状況から理解ができた。
(……なに、言ってんの!?私!)
自分の性格を恨みたくなった……。
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そして、今に至るわけだ。
しかし本当にこの学校は、私が通っている学校とは比べ物にならないぐらい汚かった。
校舎はスプレーやペンキで書かれたと思う落書き。規則なんてものを頭にいれていない、だらしない格好をした生徒たち。
広い校庭すら、どこか遠い砂漠を思わせるようなさらけさ。ここの校舎をはじめて見たとき「変えさせてやる!」と言う言葉が何より先にでた。
「会長。」
「なんだ?福田」
何センチかにわたる厚さの紙が存在感を現し、資料を持った男子が僕に話しかけてきた。
「前回の会計の案まとめ終わりました。」
「そうか。お疲れ」
今は放課後。
生徒会は毎日のように生徒会室に集まり、作業をしている。
それにしても良かった。生徒会の人達は全員しっかりとしている上にがらの悪そうな人は誰一人いない。一人一人がこの桜丘高校をよくしようと考えている。
立派な人達だ。
自分の言葉に納得して、うんうん。と頷いた。
「お疲れ様でしたー」
全員の声が揃い、ほとんどの人が生徒会室を出ていった。
「僕はこれをおわらせてからいくかな。」
この一人称にもなんとなく慣れた。兄のように俺にでもしようとしたが、何となく区別がわかるように僕にした。
そして僕は机の上の資料に目を通し、生徒会室の電気を消して校舎からでた。
学校の外は車の光や街灯の明かりでまだ明るかった。そんな夜道を僕は急いで歩き、電車へのる。
そして電車から降りたあと、ある建物の中にはいった。その建物はカフェ。つまり喫茶だ。
僕はお客様が入るとこからではなく従業員が入るとこからお店の中へ入った。
「あら?柚葉ちゃん。今日も気合い入ってる感じ?」
この店の先輩“千春”さんはとても明るく優しい方だ。
「まぁ、はい。」
「じゃあ今日一日も頑張ってね!!柚樹君!!」
千春さんが人懐こい笑顔を僕に向けた。
僕は制服から執事コスチュームに着替えた。
このカフェは単なるカフェではなく、男装カフェも週に1回ほどやる珍しい店なのだ。
そして通常仕事用の名前と男装したときの名前と二つ作っておく。だから僕は、通常に柚葉。男装に柚樹の名前を使っている。
と言ってもこの店は……
「あら、柚葉~。今日もきてくれたの?」
「……お母さんがつくった店だから。」
「ありがとう。じゃあ頑張ってね!」
そう。このカフェは僕の実の母である“一ノ瀬 柚”が店長の店だ。
母以外働いている人は二十代前半。
とても顔立ちが揃っている人が多い。そしてなぜか、僕はここの店でアルバイトをしている。
前の学校でもアルバイトは校則違反では無かったし、働いていても問題はない。
「お帰りなさいませ。お嬢様。お荷物をお持ちいたします。」
「あっ、ありがとうございます。」
ちなみに男装カフェの日はお客様をお嬢様や、旦那様と特殊な言い方をする。
普段は普通喫茶のように接客をするのだが、このような日は例外がある。
僕は学校からしてきたウィッグを外さすに接客をする。
僕はお客様のお荷物を持ち、席へご案内をした。
「では、ご注文がお決まりのさいはお呼びください。」
一例をした後、次のお客様のところへいく。
しかしこの姿を今通っている学校のやつらに見つかってしまうと…たまらんほど大変なことになってしまう。
あくまででも今は柚樹の代わりに学校で“生徒会長“と言う肩書きを持っているのにこんなことで働いているとなると…。
でもまてよ?柚樹が女装してここに働いてることになるのか!
それは面白いかも。
柚樹の女装を想像したら僕より似合いそうな気がして想像するのを中断した。
あっ、でも柚樹はここで働けないか。いくら自分ちの家だからと言って……。
そうなれば僕が柚葉だってことを気づかれてしまう。
なぜ柚樹がここの店で働けないかと言うとここは女性限定が働ける店なのだから___。
その理由は後ほど、話すとしよう。
「お疲れ様でした。お先に失礼します。」
「おつかれー」
僕は帰る前にお店の人達にあいさつをし、店の中からでた。
外は冷たい空気が流れており肌寒い。
少し無茶ぶるいをした後、電車の方へ歩きだした。
「あれ?柚樹?」
っ、やばい!
“柚樹”と言う言葉に反応し、声がした方向に振り替える。
___そこにいたのは今、僕が通っている学校での問題児。
“櫻井 空我”だった。
途中で途切れてしまいました…"( ̄▽ ̄;)少しでも楽しんでいただけたのであれば光栄です!!
アドバイス等ありましたらぜひ!!(((((