表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/25

6話 菜月の誤解

 教室に入って席に着くと俺は、はぁとため息をついた。

「なんかあったのか?」

 隣の幼女レンが本に目を向けたまま言った。

 あきらかに俺の話には興味なさそうだ。

 だが、愚痴りたい。

 俺は今朝のできごとを話した。

 菜月のサポートのこと、いきなり短パンを没収されたこと、学校にくる途中何度もパンちらしたことなどなど。

 レンは一通り聞いた後、本を閉じた。

「よかったな」

「はぁ?」

 なにいってんだこいつは。

 今の話によかった点なんてあったか。

 もしや、そうゆうことがされたいのか。

 願望なのかっ!!

 レンて実はマゾなんだろうか。

「なぜ、そんな哀れみの目でボクをみる」

「十人十色だ」

 そう言って優しくレンの肩を叩いた。

 人はそれぞれの考えをもつ、なのできっとレンの考えていることも理解できる人がいるはずだ。

「……まあ、おまえがどう思おうとボクには関係がない」

 たとえ、ドMロリだと思っていてもだろうか。

「で、さっきの話の続きだ」

「ああ」

「これはチャンスだ」

「なんの?」

 レンが内緒話をするように近づいてきて、

「おまえ達の仲を直すきっかけになる」

 と言った。

 そう言えばレンは知っているだっけな俺と菜月が付き合っていたこと。

 だがな、レンおそらくそれは無理だ。

「どうした?」

「いや、なんでもない」

 危ねぇ、顔に出てたかもな。

「で、具体的になにをすればいいんだ?」

「簡単なことだ」

 レンはそう言うと、メガネをクイッと上げる仕草をした。

 だが、メガネなんてない。

 なぜなら、レンはメガネではなくコンタクトにしたからだ。

 ちなみに、レンはメガネがよかったが誰かにコンタクトにすることを強制させられたらしい。

 だれかは知らんが。

「ごほん」

 恥ずかしがったのか、レンは誤魔化す様に咳をした。

 実に分かりやすい。

「で、具体的になにをすればいいんだ?」

 テイク2だ。

「簡単なことだ」

 レンはそう言うと今度はメガネクイッをせずに言った。


「押し倒せ」


 ………………。

「テイク3に入ります」

 今度は言い間違えか、全くこっちのみにもなってくれ。

「なにいってんだ?」

「それは、こっちのセリフだ。なんだよ、押し倒せて」

 そんなことしたら、犯罪だぞ。

「そのままの意味だ」

「できれば、そのままの意味じゃないほうがよかったな」

「まあ、話は最後まで聞け」

「ああ」

 一応最後まで聞くか。

 レン頭いいし。

「ボクは押し倒せと言ったが、別にエロいことをしろとはいってない」

 そのままの意味だて言った癖に。

「ただ、最初に黒川の気持ちを確かめようてことだ」

「菜月の気持ちを?」

「そうだ」

「だが、なぜ押し倒して?」

「人間いくら平然を装おうことに長けていても、咄嗟のハプニングにはボロを出すものだ」

「なるほど」

 つまりは、菜月を押し倒してその反応を見ようて訳か。

 実に気持ちを確かめるにはいい考えだ。

 関心していると、レンが菜月の方を見ていった。

 俺も菜月の方を見る。

「だけど、おまえ達には必要ないな」

「……」

 ガン見されてた。

 本を開いているが、明らかに視線は俺を見ていた。

 ホラーだ、ホラー。

 怖いですよ菜月さん。

 俺、何かしましたか?

「よかったな、モテモテで」

 よくないよ、レンッ!!

 よく見てよあの目をっ!! 笑ってないよっ!!

 おまえはこの状況を見て、どうモテモテに見えたんだよっ!!

「どこがだよ」

 このままだと、視線で殺されるよ。

「まあ、なにはともあれ、おまえ達の仲が直るのは時間の問題だ。頑張れよ」

「……ああ」

 レンの言ったことは確かにやる価値はある。

 だが、問題は菜月の気持ちじゃなくて、俺の気持ちなんだ。

 菜月の方を見ると、知らない女の子と話していた。

 ポニーテールの背の高い女の子だ。

 なぜかその子と目があい睨まれた。

 怖いねぇ、今時の若者は随分と好戦的だこと。


 その数分後、優子先生がきてホームルームが始まった。




 <日向未来視点>



 入学式と始業式が終わった、翌日。


「宮塚紅葉と言いますっ!! よろしくお願いしますっ!!」


 陸上部に新入部員が入った。

 真面目そうに見える揃えられた前髪。

 腰まで届く長い髪。

 肌の色は雪のように白く。

 身体は小さく華奢である。

 ザ・日本人という言葉が似合いそうな少女だ。

 それから、顧問の先生の話がする。

 三年の最後の大会が近いから気を抜くなとか言ってたが、それを聞き流していると、新入部員と目があった気がしたが、気のせいだろう。


 普段と変わらない朝練メニューが終わり他の部員は更衣室に向かう。

 アタシは一人残り自主練をしようと思ったが、先客が一人いた。

 しかも、朝紹介された一年生だ。

 普通、一年生は入学して一週間後にある部活動紹介を聞いて、さらに一週間体験入部をして部活を決めるものだ。

 なのにその一年生は入学した当日に陸上部に入部届けを出して、朝練のみならず自主練をしている。

 しかも全く疲れた様子がない。

 さっきから、一定のペースを保ち、トラックの周りを走っている。

 なかなか体力があるやつだ。

 アタシはそう思うと一年生と同じくトラックの周りを走り始めた。

 そして、直ぐに追い付いてしまった。

 どうやら、一年生は体力はあるが走るスピードがあまり速くないみたいだ。

 さて、どうしようか。

 追い付いてしまった以上抜かして先に行くか?

 いや、朝練の時は遠慮なく抜かすが、さすがに走っているやつが二人しかいない状況ではやりにくい。

 なので、

「頑張ってるな」

 話しかけることにした。

「未来先輩っ!!」

 少女が驚いた様子で言った。

 しかも下の名前だ。

 こういう時て普通名字で日向先輩じゃないのか。

 ていうか、

「名前知ってたの?」

「はいっ!!」

 少女は元気良く答えた。

 おかげで耳がキーンとなった。

「なんで知ってたの?」

 一応訊いてみる。

 別に話す話題がないからじゃない。

「未来先輩が美人だからです」

「美人っ!?」

 驚いた。

 生まれて始めて美人なんて言われた。

「お世辞はよしてくれ」

「お世辞じゃないですっ!! 未来先輩は美人ですっ!!」

 目を爛々と輝かせて言う少女。

 その顔を見ればウソではないことがわかった。

 信じられない……。

 いままで男勝りな性格のアタシは美人と呼ばれたことがなかった。

 なので、美人とか、かわいいとか言われるのを諦めていた。

 ニヤニヤしそうな顔をどうにか我慢してアタシは思った。

 この後輩とは仲良くなれそうだと。

「そう言えば名前なんて言うんだっけ?」

「宮塚紅葉です」

 少女は笑ってそう答えた。


 自主練を終えて、アタシと宮塚は更衣室に向かう。

 更衣室は元男子と女子で別れている。

 別ける必要がないんじゃないかと思うが、実際は別けて正解だと思う。

 いくら男が女に変わったとこで、それは体だけだ。

 中身は男だ。

 前に元男が一人女子更衣室に紛れこんだ。

 最初は女子達は気づかなかったが、その元男のねっとりとした視線に気づき確認してみたところ、そいつは元男だった。

 女子はそいつに手厚い歓迎をしてやった。

 次の日からやつは学校にこなくなった。

 なんでも、女性恐怖症になったようだ。

 女しかいない今の時代をどう生きるんだろうと、疑問に思ったが、まあ、いいかと思った。

 それから、そんな馬鹿なことをするやつはいなくなり、平和がもたらされた。

「宮塚は女なのか?」

 アタシは宮塚に訊く。

 もし宮塚が元男なら、更衣室が別れていることを教えてやらなくちゃならない。

「はい、わたしは生粋の女の子です。後紅葉でいいですよ、未来先輩」

「ああ、わかったよ。紅葉」

 名前で呼ぶと紅葉が嬉しそうに微笑んだ。


 更衣室に行くと、誰もいなかった。

 制服をロッカーから取りだし、着替え始めると、

「未来先輩て、スタイルいいですよね」

 同じく着替え中の紅葉がそんなことを言ってきた。

「そうか?」

 アタシには自分のスタイルがいいようには見えない。

 胸は平均以下だし、胸は平均以下だし、胸は……あれ? もしかして、アタシ胸コンプレックス?

「はい、スレンダーでいかにもスポーツやってますよて感じです」

「なるほど」

 そういう観点からの見方もありだな。

 スレンダーの未来。

 いい響きだ。

「わたしはその……スタイルあまり良くないので羨ましいです」

 紅葉は落ち込んだ様子で言った。

 確かに紅葉の体はスタイルは凹凸が微々たるものだ。

 しかし、逆にそれが紅葉の容姿にはあっている。

 ここは励ましてやるべきだろう。

 先輩として。

 スレンダーの未来の名前をくれた恩人に。

「確かに紅葉のスタイルは良くないな。だがな、紅葉。人には容姿にあったスタイルというものがあるんだ」

「容姿にあったスタイルですか?」

 よし、食いついた。

「そうだ、紅葉の場合だと、背丈と黒髪から見てそのスタイルで十分だ。むしろ、これ以上育てばかわいさを阻害してしまう」

「そうでしょうか……?」

「そうだっ!! 紅葉はかわいい。自信を持て、おまえはベリーキュートだ」

「……未来先輩ありがとうございますっ!! わたしスタイル気にしてたんですげど、未来先輩のおかげで自信が持てましたっ!!」

「そうかそうか」

 うん。それはよかった。

 励ました甲斐があるってもんだ。

 見ろよ、この紅葉の喜んでる顔を。

 爛々と目が輝いてるやがる。

「つきましては、未来先輩一言申し上げていいですか?」

「おう、いいぞっ!!」

 今のアタシは上機嫌だ。

 ジュースの一本ぐらいは奢ってやるぞ。

 もちろん、缶ジュースだけどな。

「速く着替えないとホームルーム始まってしまいますよ」

「……えっ!?」

 時間を確認すると、ホームルームが始まる五分前だ。

 やべぇ、いそがねえと。

「では、未来先輩また放課後に」

「ああ、じゃあな」

 いつの間にか着替え終わってた紅葉が更衣室を出ていった。


 急いで着替えて教室に向かうと、見慣れた顔があった。

 一年で同じクラスだった、黒川菜月だ。

「なつ……」

 話しかけようと思ったがやめた。

 菜月の様子が変だ。

 本を開いてるのに、視線は本ではなくある一点を見ていた。

 しかも、殺気に似たなにかを放っていた。

 視線を辿ってみると、中性的な顔立ちの生徒と、小学生が制服を着たような生徒が目に入った。

 なぜ、菜月が二人を見ていたかは知らない。

 だが、一つだけ確かなことがある。

 あの二人は菜月の敵だ。

 菜月の性格は温厚で誰にでも優しく信頼が厚い。

 そんな素晴らしい性格の菜月がアタシに怖いと思わせるほどの気配を放って二人を見ているのだ。

 なにもないということはないだろう。

「あれ? 未来?」

「よぉ、菜月」

 菜月がようやくアタシに気づいたのか話しかけてきた。

 だが、顔は全く笑ってない。

 無表情だ。

 これは相当だな。

「菜月、なにかあったら相談しろよ。いつでも力になるからな」

「うん、ありがとね、未来」

「おう」

 ふと、二人に目をやると、中性的な顔立ちの生徒と目があった。

 なので、睨んでおいた。

 菜月になにかしたらただじゃおかない。



 <黒川菜月視点>



 凪沙くんは教室につくと、知らない女と話し始めた。

 小学生にしかみえない少女だ。

 わたしは座って二人の関係を探ることにした。

 カモフラージュのために本を開いて、二人を盗み見る。

 表情から見るに仲は良い。

 だが、それは恋愛というよりも友情に近い。

 ひとまず警戒はしなくていいだろう。

 と、思った瞬間。

 

 二人の距離が近くなった。

 しかも、肩と肩がふれあうぐらいに。


 ねえ、凪沙くん、浮気じゃないよね?

 まさか、その女凪沙くんの彼女じゃないよね?

 凪沙くんの彼女はわたしだよね?

 そう思っていると、二人がわたしを見てきた。

 凪沙くんはわたしを見ると顔を青くした。

 そして、わたしは確信した。


 これは浮気だ。

 凪沙くんは浮気の現場を見られて青ざめているんだ。

 最近キスしてくれないと思っていたがまさか浮気だったとは。

 放課後になったら問い詰めよう。

 今日はホームルームで終わりだから、時間はたっぷりある。

 凪沙くん、覚悟してね。


 それから一年の時に同じクラスだった、日向未来が話しかけてきたので、優子先生が来るまで話していた。



 <泉凪沙視点>



 ホームルームが終わると教室が騒がしくなった。

 今日はホームルームだけなので、寄り道をするところを決めてるんだろう。

 もらった教科書を鞄に詰めていると、声がかかった。

「凪沙くん」

 振り返ると菜月と、睨んできた女の子がいた。

 確か日向未来という名前だ。

 ホームルームの時間に自己紹介があり、覚えておいたのだ。

「えーと、菜月と……日向さん?」

「あぁ? なんでアタシの名前知ってんだ?」

「自己紹介で覚えました」

 好戦的な日向の態度に思わず萎縮してしまう。

 なんで、この人こんな怒ってんだ?

 もしや、俺が気に入らないのか?

 最近の若者は怖いねー。

 助けてー、菜月。

 と、思って菜月を見たが、なんか今日の菜月は怖かった。

「そうか。アタシもおまえの名前知ってるぞ。泉凪沙だな」

「ええ、泉凪沙です」

「そうか、おまえちょっと耳貸せ」

「はい?」

 そこは顔貸せじゃないの?

 言い間違えですか。

「いいから」

 と言うと日向は俺の耳元に口を近づけて囁いた。

「菜月になにかしたら殺す」

 むしろ、なにかされんのはおれなんだけどね、とは言えない。

 俺はコクリと頷いた。

「んじゃ、アタシは部活あるからいくわー」

「頑張ってね」

「おう」

 そう言うと、日向は鞄を持って教室を出ていった。

 俺は日向が見えなくなると、ホッと安堵した。

 そして、彼女が言ったことを考える。

 いったいあれはどういう意味なのか。

 菜月になにかしたら殺す?

 そのなにかてまさか……。

「凪沙くん」

「……な、なんだ?」

 思わず笑みが引きずる。

 菜月の顔はホームルームが始まる前と同じ無表情で怖かった。

「話があるんだけどいいかな?」

「い、いいぞ」

「そっちの子にもあるんだけど一緒に来てくれる?」

「構わない」

 レンが答えた。

「じゃあ、場所変えよっか」

 俺と菜月とレンは教室を後にした。


 俺達が来た場所は人気のない体育館の裏だ。

「ここにしよっか」

 菜月は人がいないことを確認すると、そう言った。

「そ、そうだな」

 俺は今混乱していた。

 なぜ、菜月がこんな場所に連れてきたのか?

 なぜ、菜月はこんなに怒っているのか?

 なぜ、レンも一緒なのか?

 わからないことばかりだ。

 ただ、一つ確かなのは人に見られたら困るということだろう。

 そうでなければ、教室で話せばいい。

 つまり、今から話す内容はそれほど秘密にしたいことなんだろう。

「ちょっといいか?」

 レンが呑気に菜月に話かけた。

 なんで、そんなに呑気なんだよ。

「なんでしょう」

「まずは、自己紹介をしないか?」

「確かにそうですね、では、わたしは黒川菜月といいます。そこの凪沙くんとは幼馴染みです」

「ご丁寧にどうも、ボクの名前は海道レンだ。凪沙とは一年の時同じクラスで、良き親友だ」

 良き親友か。

 レンおまえ俺のことそんな風に思ってたのか。

 ドMロリは撤回しとくよ。

「良き親友……」

 菜月がそう呟き、俺を見る。

 もしや、俺に友達がいないと思ってたのか。

 失敬な。

 中学の時は一人しか友達がいなかったが、今は違うんだ。

 ちなみに、その一人は菜月だ。

「本当にそれだけ?」

 菜月が一歩俺に近づく。

「本当にというと?」

「とぼけないで」

 一歩。

「知ってるんだよ」

 一歩。

「正直に答えて」

 気づくと菜月の無表情の顔が目の前にあった。

「正直にて……」

 いったいなんのことだろうか?

 レンと俺の関係は友達であり、それ以外なにもない。

「答えられないの?」

「いや、答えるにもなにも、レンが言ったそのままの意味だよ」

「ウソ」

「本当だ」

 いったいなにを根拠にそんなことを。

「わたしずっとホームルームの時間凪沙くんのこと見てたんだよ」

「ああ、知ってる」

 おかげで、春なのに寒気がした。

「で、わたし気づいたんだよね」

 菜月はそう言うとレンに指をピシリと指して言い放った。


「あなた凪沙くんの浮気相手でしょ」


 そこで、俺はようやく気づいた。

 菜月がレンを元男だと知らないことに……。


「ごめんなさい」

 菜月はレンに頭を下げて謝っていた。

「謝らなくてもいい、元男だて言わなかったボクにも非がある」

 レンは苦笑いしながらそう答えた。

 俺がレンを元男だと教えてやると、菜月は「わたしはなんて勘違いを」などブツブツ言っていた。

 どうやら、レンが元男という事実よりも、俺が浮気をしていると疑った自分がショックだったみたいだ。

 もちろん、浮気なんかしていない。

「凪沙くんが最初から元男だと教えてくれたら、こんなことにはならなかったのに」

「全くだ」

 菜月は拗ねた様にそう言い、レンも賛同する。

「二人して、俺に責任を押しつけるな」

「凪沙くんのせいだよ」

「そうだ、凪沙が悪い」

 ひどいやつらだ……と、思っていると、制服にしまっておいたケータイが鳴った。

 確認してみると、会長からだ。

 いったいなんのようだ?

「悪い、電話だ」

 二人に断りを入れて電話にでた。

「もしもし」

『もしもし、これは泉さんのケータイであってるかしら?』

「ええ、あってますよ」

『それはよかったわ。で、泉さん今学校にいる? 後黒川さんも』

「はい、いますが」

『では今から生徒会室に来られるかしら?』

「今からですか……」

 菜月を見ると、コクリと頷いた。

 オーケーてことだろう。

「いきます」

『それはよかったわ。では生徒会室で待ってるわ』

 そう言うと、電話が切れた。

「レン、俺と菜月は今から生徒会室にいかないといけないんだが……」

「ボクのことは気にしなくていい」

「そうか、ありがとう」

「あの……海道さん」

「なに? 黒川さん」

「今日は本当にごめんなさい」

 と、菜月は頭を下げた。

「別に気にしてない。だから、謝んないでくれ。後海道さんはできればやめてほしい」

「では、海道くん?」

「それでいい」

「はい、わかりました。では海道くんまた明日」

「ああ、また明日」

 レンはそういうと去っていった。

「さて、わたし達も行きましょうか」

「そうだな」

 俺と菜月は生徒会室に向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ