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5話 守護神の没収の真実



 <黒川菜月視点>



 今日はいつもより早く起きた。

 いつもなら、もう少し遅く起きるが、今日からはそうも言ってられない。

 だって、今日からわたしは凪沙くんのサポートをしなくちゃならない。

 わたしはベッドから出ると、制服に着替える。

 それから鞄をリビングに置いて、洗面所に行き、歯をみがき顔を洗って、髪を解かす。

 今日もバッチリだ。

 リビングに行き、冷蔵庫の中身を見るが、ありきたりな物しか作れなさそうだ。

 昨日の内に買っておけばよかったが、そんな気力は残ってなかった。

 一通り材料をビニール袋に詰める。

 それが終わると、鞄と一緒にビニール袋とエプロンを持って家を出た。

 もちろん、カギは閉めてだ。

 家を出て、隣にある凪沙くんの家に行く。

 玄関の前にきて、インターホンを押そうと思ったがやめた。

 今の時間凪沙くんはまだ寝ている。

 だから、起こすのは迷惑だ。

 それに、朝起きてリビングにきてわたしがいたらどんな反応をするだろう。

 きっと、びっくりするはず。

 そう考えると思わず笑みがこぼれた。

 首にかかっている凪沙くんの家のカギを使いカギを開ける。

 音をたてないようにドアを開けると、家の中は静かだった。

 靴を脱ぎリビングに向かう。

 鞄をソファの脇に置いて、ビニール袋とエプロンを持って台所に立った。

 それからエプロンをつけて髪を一つにヘアゴムで

まとめた。

 いわゆるポニーテールというやつだ。

 凪沙くんに見せたらどう思うだろうか。

 かわいいと思ってくれるだろうか。

 まあ、凪沙くんのことだ、たとえかわいいと思っても言葉には出さないだろう。

 でも、付き合いが長いから顔をみれば一発でわかる。

 だけど、凪沙くんもよくわたしの考えてることをあててくる。

 幼馴染みの性というやつだ。

 わたしはテキパキと慣れた手つきで朝ごはんを作っていった。

 親はほとんど、仕事で家にいないためわたしは家事を覚えなければならなかった。

 最初の頃には失敗ばかりしてたけれど、今では慣れたものだ。

 家事はあまり好きではなかったが、凪沙くんに料理を作ることができるとなれば話は別だ。

 作った食事を皿にのせ、テーブルに運び、目玉焼きになにをかけようかなと考えながら調味料を探すが、

「これしかない……」

 ぽつりと呟いた。

 台所にある戸棚も全て調べ、冷蔵庫の中も探り、てできたのは砂糖のみ。

 なんということ……。

 まさか、目玉焼きに砂糖を……。

 いや、落ち着こう。

 もしかしたら、凪沙くんが知っているかもしれない。

 うん。そうだよ。

 いくら凪沙くんでも調味料ぐらい管理できているはず。

 そう思うことに決め、エプロンを脱ぎ、髪をほどく。

 凪沙くんに見せられなかったのは残念だけど、しかたがない。

 これから毎日料理を作るんだから、見る機会はたくさんある。

 エプロンとヘアゴムを適当な場所に置くと、凪沙くんの部屋に向かう。

 きっと、まだ寝ているはず。

 寝顔を拝見しよう。

 部屋のドアを音をたてないように注意しながら、中に入る。

 案の上凪沙くんはまだベッドで寝ていた。

 わたしは凪沙くんに覆い被さるように寝顔を見る。

 高校生とは思えないほど凪沙くんの寝顔は幼く見えた。

 スヤスヤと寝息をたて、あどけない表情を浮かべている。

 実にかわいい。

 男の子の時もかわいいと思ったが、女の子になってからは、かわいさに研きがかかった気がする。

 それに微かにいい匂いがした。

 首元に顔を埋めてみると、今度ははっきりいい匂がした。

 今度は頬に顔を近づけてチュ、とキスをする。

 唇にもしたいが、それは凪沙くんが起きている時にしたい。

 わたしが凪沙くんにイタズラしていると、凪沙くんがゆっくりと瞼を上げる。

 まだ寝ぼけているのか、キスができるぐらい顔が近いのにボッーとしている。

 わたしは体を起こすと凪沙くんに挨拶をした。

 それから、しばし話すとなんと凪沙くんは昨日言ったことを勉強を教えるだけと思っていたらしい。

 さすがは凪沙くんだ。

 人の話を最後まで聞かないプロ、と言いたいところだが、最近は人の話をちゃんと聞くようになった。

 それに、わたしが調教なんて言ったから、それどころじゃなかったんだろう。

 でも、いくら変なことを言ったからってあの対応はないと思う。

 ネットを使って意味を調べろとか酷いと思った。

 顔から恥ずかしさのあまり湯気が立つとこだった。

 だが、そこでわたしは思った。

 もし、凪沙くんが昨日言ったことを全然覚えてないなら、内容を変えてもバレないのではないかと。

 それはいい。

 凪沙くんに堂々とあんなことやこんなことができる。

 想像するだけでよだれが出そうだ。

 わたしがそんなことを考えていると凪沙くんのお腹が鳴った。

 凪沙くんは恥ずかしかったのか顔を真っ赤にして目を逸らした。

 わたしが朝ごはん食べると訊くと、コクリと頷いた。

 本当にかわいい。

 それから、顔を洗いにいくという凪沙くんと別れてわたしはリビングでイスに座ってコーヒーを淹れる。

 砂糖があってよかった。

 わたしは砂糖とミルクをいれないとコーヒーが飲めないタイプなのだ。

 コーヒーを淹れ終わると、リビングのドアが開いて凪沙くんが入ってきた。




 朝ごはんを食べた後、わたしは食器を洗っていた。

 凪沙くんは今自室で制服に着替えている。

 前は着替えるに慣れていなくてわたしが手伝っていた。

 最近は慣れてきてそんなことはなくなった。

 残念だ。

 なにが残念て凪沙くんの着替えシーンが見れないことだ。

 着替え姿を見られて恥ずかしがる凪沙くん。

 顔だけではなく、白い肌の体までもが赤くなるのだ。

 さらに、腕で体を隠そうとする姿は思わずキスしたくなってしまうほどかわいい。

 前にふざけて、鎖骨の辺りにキスしたら怒られた。

 わたしがちょうど食器を洗い終わると凪沙くんが入ってきた。

 凪沙くんは入ってくると昨日言っていたことを訊ねてきた。

 わたしが説明すると凪沙くんが、

「却下だ」

 と言い放った。

 なんで、と思いながら聞いていると、なんでもわたしに迷惑がかかるからという理由だ。

 わたしのことを考えてそう言ってもらえるのは嬉しいが、迷惑ではない。

 むしろ、嬉しいくらいだ。

 好きな人の側にいて手伝えることを迷惑だと思う人はいないだろう。

 それからも凪沙くんは色々な理由をつけて断ろうとしてくるが全部いなすと凪沙くんは黙りこんだ。

 わたしはとどめとばかりに「学年一位の人にサポートしてもらえるんだよ。断る理由ある?」と言った。

 凪沙くんは渋々承諾してくれた。

 だが、わたしは少々その態度が気に入らなかった。

 なので、少しイタズラすることにした。

 凪沙くんのスカートに手を突っ込むと短パンを下げた。

 それはただの偶然だった。

 凪沙くんはキャッとかわいらしい声を上げ、短パンが足でもつれ尻餅をついた。

 ちょっとやり過ぎたかなと思って凪沙くんを見ると、脚と脚の間から緑色のパンツが見えた。

 思わず凝視した。

 凪沙くんのパンツだ。

 パンちらだ。

 ゴッドだ。

 凪沙くんは自分の状態が気づいたのか、慌ててスカートを直した。

 あっ、残念と思ったのもつかの間、凪沙くんが上目遣いで見てきた。

 わたしは咄嗟に目を逸らした。

 是非とも見たいが、今見たらただでさえパンちらで気分が高ぶっているのに、上目遣いなんて見たら変態行為をしてしまう。

「見てない」

 わたしは言った。

 もし、本当のことを言えば凪沙くんが傷ついてしまう。

 なのでここは見てないてことにしよう。

 それに原因作ったのわたしだしね。

「ウソ」

「ほ、本当だよっ」

 察してよ凪沙くんっ!! わたしの優しさを。

「そう、だったらよかった」

 察してくれたらしい、さすがは幼馴染み。

「なんで短パン脱がせたんだ?」

 凪沙くんが訊ねてきた。

 馬鹿正直にイタズラと言ったらきっと怒るだろう。

 そしたら、怒りに任せてサポートの件はなしにされるかもしれない。

 ピンチだ。

「イメージが悪いからだよ」

 もちろん、デタラメである。

 短パンがイメージ悪い? そんなこと知りません。

 それからもしつこく訊いてくる凪沙くんにわたしは学年一位という言葉を連呼し、強調して黙らせた。

 途中で短パンを回収しようとしていたがもちろん阻止した。

 短パンは没収だ。

 その後の使い道?

 家に帰って保管だよ。

「わかった、だが、さすがにいきなり短パンなしとは酷いんじゃないか」

 確かに。

 凪沙くんの考えにも一理ある。

 それにさすがにわたしも酷いと思う。

 自分でやっといてなんだけど。

 なので、わたしは口を開いて言った。


「荒療治だよ」


 ごめんね、またパンちらが見たいんだ。


 そして、学校に行く途中なんども凪沙くんはパンちらをした。

 そのつどわたしは注意し、凪沙くんは恥ずかしがっていた。

 最高の朝だった。

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