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1話 泉凪沙は元男

訂正しました。

黒いメガネを黒いフレームのメガネに

 その出来事は突然訪れた。

 それは全世界に影響を及ぼした。

 前代未聞で、原因不明。

 あるものは、神の怒りだとか、宇宙人の仕業だと言っていた。

 まあ、あんなことがあったらそんなことも言う人も出るだろう。

 で、なにがあったかて?

 聞いてくれなんと、全世界の全人類の男が女になってしまったんだ。

 ………………なに言ってんだって? 俺にもわからん。

 だって、その原因はわからないからな。

 それは突然起こったてしかいいようがないだろうな。

 さて、ここまで説明したんだ。後はいいだろう。

 では、この物語の説明をさせて貰おうか。

 この物語は俺、泉凪沙が男から女になって学園生活を送るという、ごく普通の話。

 普通なのかという疑問は、まあ、どうでもいいだろう。

 では、物語の始まり始まり。




 桜が舞う季節。

 俺は1人ベンチで寝ていた。

 今、体育館では入学式と始業式が行われており、サボっている俺の周りは静かなものだ。

「ほんと、静かだな」

 俺は雲1つない青空を見ながらボソリと呟いた。

 こんな天気のいい日には昼寝に限る。

 いや、昼寝をすることが学生の義務だ。

 俺は瞼を閉じる。

 だが、睡眠はものの数秒で遮られた。

「凪沙くん」

 俺はゆっくりと瞼を上げた。

 そこには、俺を覗き込む少女がいた。

 艶のある黒いロングに、金色の瞳。

 黒いフレームのメガネを掛けていて、微笑みながらこちらを観ていた。

 幼なじみの黒川菜月である。

「菜月か。用事はもういいのか?」

 俺は菜月に問いかけた。

 いつも、一緒に学校に登校している俺と菜月だが、今日は菜月は用事があるため遅れると聞いていたため、俺は1人で学校に来ていたのだ。

「うん、一通り済んだよ。でも、まだ時間が掛かりそうかな」

「それはご苦労なことだ。まあ、早く済むといいな親父さんの件」 

 全世界の男が女に変わった日以来。

 まず、問題に上がったのは戸籍だった。

 当然、女になった元男達は男としての戸籍はあるが、女としての戸籍はなかった。

 だから、国は最初に元男達の戸籍を書き換えることにした。

 だがそこで1つ問題が起こった。

 元男だった人が女になったことにより、ほとんど元男達の容姿が大きく変わってしまった。

 そこで国は、家族や友人などその人物を元男と知っている人達から証言や証拠を集めて戸籍を特定し、戸籍を書き換えたのである。

 だが、それには沢山の時間が掛かり、1年たった今でも、戸籍を特定できた人々は3割程度である。

 そして、菜月の親父もまだ戸籍の書き換えが終わってないらしく、菜月は今日市役所に証言しに行っていたのだ。

「うん、ありがとう。でも、凪沙くんはいいよね、早く終わって」

「まあな、あの時はどうも」

 俺は運良く戸籍を特定出来た3割の中の1人である。

 その時に、生粋の女の子である菜月に色々と証言してもらったのだ。

「元の容姿とあんま変わんなかったからかな」

 菜月はそう言ってふふっと笑った。

「さあな、知らん」

 実際、俺の容姿はあまり変わらなかった。

 もとが中性的な顔立ちで、女になってからも変化が少なかったのだ。

 おかけで、戸籍を特定するのにあまり時間は掛かんなかったが。

 だが、男であった俺にしてみれば複雑な心境だ。

「ねえ、いい加減座りたいんだけど」

「あー悪い」

 俺はそこでようやく菜月が立ちっぱなしのことに気づいた。

 俺は座って、スペースを空けた。

 菜月がどうもと言い、空けたスペースに座る。

「で、なんで凪沙くんはここにいるの?」

 菜月が俺に訊ねた。

「昼寝」

「今、体育館で入学式と始業式やってるんじゃなかったけ?」

「うん、やってるぞ」

「知ってて、昼寝しているてことはサボリかな?」

「サボリだな」

 ゴンッ。

「痛っ!」

 菜月が俺の頭を鞄で叩いたのだ。

 てか、ゴンッてなったぞゴンッて、一体なに入れてんだ菜月のやつ。

「凪沙くんのバカ。なんでサボリだと分かっていながらサボるかな」

「それはこんな天気のいい日につまらん話を聞くのがバカバカしいから」

「それだと天気のいい日はサボるて聞こえるけど」

「そう言ってるんだが」

「もし、同じクラスだったら首に縄つけてあげる」

「冗談はよしてくれよ。そんなことされたら変な噂されちまう」

「………………」

「………………」

「………………」

「…………冗談だよな?」

「冗談だと思う?」

 そう言って菜月は俺をまっすぐ視た。

 気のせいだろうか、目の奥で火がメラメラと燃えていた。

 こいつマジでやる気だ。

「ごめんなさい、サボらないので許してください」

「冗談だよ、冗談。まさかそんなことするわけないでしょ学校では」

「それは学校じゃなかったらやるてことか?」

「もちろん」

「………………」

 これからサボらないようにしよう。いや、サボらない。俺はそう胸に刻んだ。

「ねえ、凪沙くん」

 菜月は俺の手に自分の手を重ね、体を俺の方に寄せて俺を視る。

 金色の瞳が潤み、頬がほのかに赤く染まっている。

 菜月の甘える時の表情だ。

「菜月ここじゃマズい」

「なんで?」

「誰かに見られるかも知んないだろうが」

「それは大丈夫だよ。だって、今みんな体育館にいるから」

「でも、遅刻してくるやつもいるかもしれない」

「その時は……見せつけちゃおうか」

 そう言って菜月は俺にキスをしようとする。

 だが、俺は寸前のところで菜月を引き離す。

「ごめん……」

「なんで、なんでダメなの凪沙くん」

 菜月は今にも泣き出しそうな声で言った。

 これで、このやり取りは何回目になるだろうな……。

「何度も言ってると思うんだけどさ、俺もう男じゃないから」

「そんなことどうでもいい! 凪沙くんが男じゃ無くなっても、凪沙くんは凪沙くんだよ!」

「ごめん、そう言って貰えるのは嬉しいんだけど……」

「凪沙くんのバカ」

 菜月はそう言い残して、走り去った。

 俺はそれをただ見届けることしかできない。

 俺と菜月は幼なじみで彼氏彼女の関係だった。

 そんな中、あんな出来事が起こった。

 男が女になった原因不明の出来事。

 それ以来俺は女になってしまった。

 そして、俺と菜月の間には溝が生まれてしまった。

 1年たった今でも、俺と菜月はその事を気にしている。

 いや、違うか。

 おそらく、気にしているのは俺だけだろうな。

 新作です。

 おそらく、次の投稿にはしばらく掛かります。

 あと、感想とかくれると嬉しいです。

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