番外 ここまでの作品解説
『シーリーコート伝承』も、丁度区切りがいいところなので、少しだけ短編について簡単な解説したいと思います。
多少のネタバレがありますので、今までの内容を読んでくださっていた方は箸休め程度で気軽に読み流してください。
「グリーン・ミストレス」
本来のシーリーコートの短編としては、三作目にあたります。
この当時はスティーブン・キングと遠藤周作の影響を受けているからか、他の作品と比べて妙に描写がくどいです。
これを「伝承」のトップに持ってきたのは、世界観の紹介のためとシーリーコートが普通に仕事している話の方が掴みとしてはいいのではないか、という考えからです。
初期の「妖精と芸術家」というコンセプトにマッチしていたことも理由の一つです。
ケーアフィリィの緑の婦人はマイナーなので、ほとんど知られていないのが問題でしたが。
「りんごの木の爺さん」
おとぎ話世界のシーリーコートのお話です。
ショートストーリー系はだいたい妖精と付き合うためのルールを元にしているため、短いくせに話を作りにくいという難点があります。
短いため矛盾がごまかせないというズル禁止なので、何度も推敲する必要があります。
シーリーコートは実は健啖家なので、自分がりんごを食べたいがために特に親切で行ったというわけではないことに注意。
「ラナウン・シー」
第二作目です。
初稿ではもっと「愛」が強いのですが、年を食うとあまり愛にこだわれなくなるので少し抑え目になりました。
レディンの音楽家としての設定と描写をもっとリアルにしたかったのですが、このぐらい非現実的でもいいかと開き直って書いたことを覚えています。
ちなみにこれは恋愛ジャンルにいれていいかと悩み中です。
「チェンジリング」
確か、第六作目です。
この前に「妖精の騎士タム・リン」があるはずです。
しかし、「タム・リン」は聖バーソロミューの虐殺をテーマにしたちょっとした歴史作品の序章・第一話みたいな内容になってしまっていたため、資料を読みまくっていた当時ならいざ知らず、今はまともに書けそうもないので「伝承」には組み込まないことにしました。
私個人としては「チェンジリング」自体は実はかなり好きな話です。
二人のカートの個性も意外と書き分けられましたし、最後の部分も叙情的で自画自賛してしまう感じでした。
文章が以前と比べて、ちょっと読みづらくなっている点にリメイク中に気づきまししたが、かなり変な部分はともかく当時の自分のためにもあまり改変せずにすませました。
シーリーコートは初稿、二稿と今回で少しずつマイナーチェンジしているおかげか、意外とリメイクに手間取っているのですが、最初からわかっていればなんとかなるものだと勉強になりました。




