肩たたきがうまい子
小さいころからおばあちゃんっ子で、よく祖母の家に言っては肩たたきをしていた。
トン、トン、トン。右に左に、精一杯の力を込めて肩をたたく。小学校低学年の力などたかが知れているのだが、祖母はよく「肩たたき上手だね」とほめてくれた。
それが嬉しくて、またトントン、と祖母の肩を叩く。
ほめられるとついついもっとやってしまう。そんな子供だった。
それから四十年。立派な社会人になり、ほめられる伸びる性格を生かし、仕事は順調。あっという間に部長クラスまで出世した。
自分ができることを、ほめられればさらに継続し、怒られればその原因を追究する。
そんな向上心があったおかげで、ここまで来れたのだろう。
しかし、何かをやるたびに思い出すのは祖母のこと。
祖母が肩たたきをほめてくれたから、ここまで来れたのだと、肩たたきのことを常に頭に描いていた。
ある日、部下に肩たたきをする機会があった。
「部長、肩たたき上手ですよね」
その部下の肩に、そっと手を置く。
「ああ、俺はこれで、ダメな部下を十人は葬ってきたからな」
ツイッターでふと思いついた。誰でも思いつきそうなネタですけどね。