裏世界の人
俺は山口拓海、俺は最近ヤクザになった。ヤクザでの生活は厳しく1つのミスが命にかかわることだって多い。俺と同時期に入ったやつらのほとんどが死亡または失踪している。だがその程度で悲しんでいたらいくら時間があっても足りない。俺は今日も雑用をこなしていた。
「おー今日も精が出るねー」
「あ、春道兄貴!おはようございます!」
「おう、おはようさん。で、どうよ。うちには慣れたか?もう半年たつだろ?」
「そうですね。まあまあですね。まだ自分は戦場のような場所には行ったことがないので…」
「そうか。お前はまだそうだったな。と、今日は親父からお前をとある人のとこに案内しろって言われているんだったわ。時間ある?」
「あ、はい!大丈夫です!」
「そんじゃすぐ出ようか。」
そうやって俺は春道兄貴の言われるがままに車に乗った。当たり前だが運転は俺だ。俺は緊張しながらも安全運転を心掛けながら春道兄貴の言う場所に向かった。
・・・
数十分後やっと目的地に到着。そこは廃墟のビル、撤去しようとした痕跡はあるがもう数年は誰も関わっていないような雰囲気を感じる。
「よし、ついてこい。」
「あの…これから会う人って誰なんですか?」
「うーん。簡単に言うと裏世界のトップってところかな。サツの奴らですら手出しできない。見て見ぬふりをする。いわゆる自然現象と同じ扱いなんだよ。地震でいくら人が死んでも悲しむしかできないだろ?復讐なんて考えるバカはいない。それと同じであの人には誰も復讐しようなんて思わない。したところで返り討ちにされるからな。」
春道兄貴はうちの組でも相当な強者だ。武装した一般人20人程度なら倒してしまいかねないぐらいの強さだ。その人がそんなことをいうなんて、どんなに恐ろしい人なのだろうか。そんなことを考えながら春道兄貴の後ろをついていく。
「よし、この扉の先にその人がいる。くれぐれも怒りを買うようなことはするなよ。」
「わ、分かりました…」
俺は一度深呼吸をして扉を開き中に入る。
「「失礼します!」」
俺と春道兄貴が同時に挨拶をする。頭を下に下げているため顔が見えないが半年だけでもヤクザにいたので少しはわかる。目の前の人は手を出してはいけない人だと直感的に理解した。
「頭あげていいよ。」
そう言われたので俺は頭を上げる。そこには小柄な男性がいた。身長は165にも満たないだろう。腰には木刀、廃墟とは似合わない着物、桃色の髪に桃色の瞳、その瞳に特別な何かを感じ吸い込まれそうになる。瞬間春道兄貴が俺の背中を軽くたたく。それで俺は現実に戻る。
「わたくしは最近雷電組に入りました。山口拓海と申します!」
「ふーん、君がねぇ。」
目の前の男性は品定めをするかのように俺のことを見てくる。
「うん、僕は柳雪。適当にゆっきーって呼んでいいよ。」
「え、あ、はい。わかりました。ゆっきーさん。」
「さん付けウケるんだけどwいいよ呼び捨てでw」
「で、でも…」
俺が拒否をしようとした時、背中に冷汗が伝う。殺気だ。
「僕がいいって言ってるのに拒否するのかな?ねぇ春道ぃ、ちゃんと教育できてないんじゃないかなぁ?僕と雷電組で戦争したいってことでいいのかなぁ?」
「い、いえ!そんなことはありません!この後、こいつにはちゃんと言い聞かせますので!」
「後でってのは僕嫌いなんだよねぇ。君は死者が出るようなミスを犯した奴にも後で教育しなおすなんてことやるのかなぁ?何か起きた後でそれをやっても無意味なんだよ。起きる前に対策しないとさぁ。そうは思わないかい?」
「はい!申し訳ありませんでした!」
春道兄貴の方向を向くと春道兄貴の顔を雪さんが踏みつぶしている。春道兄貴の服には汗が染みていて緊張しているのがすぐにわかる。
「はぁ、もういいよ。今後そいつが僕の目の前に来ないことを条件に見逃してあげる。もし次目に入ったら、殺す。それでいいね。」
「はい!わかりました。」
「うん。それじゃあ帰っていいよ。」
そう言うと一瞬で殺気が消え身体が軽くなる。
「「失礼しました!」」
そう言って俺と春道兄貴は部屋を出た。
「春道兄貴、すいませんでした。」
「いや、いい。あの人はああいうものだ。それより自分の身の振り方を考えろ。もし次会ったら命はない。きっと俺や組の全員、親父もお前を見捨てることだろう。」
「わかっています。」




