弟子が最強になってました
俺は柳雪、とある村で剣術を教えている剣士だ。
「そこ、もう少し力を抜け。それじゃあ次のカウンターに間に合わん」
「はい!」
弟子は少ないがその分全員に全力で剣術を教えている。そんな生活を続けていたある日だった。
「ん?何だ?」
1つの馬車が、現れた。中から4人の男女が降りてくる。かなりちゃんとした装備をつけている。冒険者だろうか…
「やっとついたぁ」
「いやぁ疲れたなぁ」
「そうですね。それで冬夜さんのお師匠さんはどこに居られるんですか?」
「前と同じならあっちに…あ」
俺と1人の男性の目が合う。顔を見た瞬間誰か理解した。
「もしかして…冬夜か?」
「師匠!!」
それは数年前に俺の弟子を卒業した河凪冬夜だった。
「久しぶりだなぁ。他の3人は仲間か?」
「そうです。右から原口奏、桜場翔斗、飯田奈々美です。」
全員俺に頭を下げてくる。俺はそれに合わせて頭を下げる。
「美男美女パーティだな」
全員顔が整っている。
「見た感じ、奏さんがヒーラー、翔斗くんがタンカー、奈々美さんが魔法使いって感じかな?」
「そうです。ちなみに僕は剣士です。」
「それは聞くまでもないな。で、ランクは?冒険者なんだろ?」
冒険者は冒険者ギルドに所属している者たちの事を指す。ギルドには色んな場所から多種多様な依頼が集まる。ゴミ掃除や猫探しから護衛や調査などだ。そして冒険者にはランクが存在している。依頼の達成度合いからギルドが判断してランクを更新してくれる。ランクはA~Dそして最高ランクのSの5つのランクに分けられている。
「えーと…一応Sですね」
「最高ランクじゃないか!連絡してくれたらお祝いに行ったのに!」
「あー…それで一つお願いが…」
「ん?」
・・・
「んー」
「お願いします!師匠!」
一旦俺の家に移動した。そしてお願いとやらを聞いたのだが…
「まだ卒業していない弟子たちもいる。お前たちのためだけに王都まで行くのは…」
内容はこのパーティを鍛えてほしいというものだった。だが彼らにも仕事があるため、こんな田舎に来るのは難しい。だから俺に王都に来てほしいとなったのだ。
「行ってくればいいじゃん」
「美鈴…」
柳美鈴、俺の妹だ。美鈴もかなりの腕の持ち主で、普通に強い。
「美鈴が行けばいいんじゃないか?王都に行ったこともあるだろう」
「ダメ!そもそもお兄ちゃん、めっちゃ強いのにこんなところにずっといるのがダメなの!」
「俺は最低限働いてダラダラ過ごせるこの環境が好きなんだよ」
「あのー…なら今日だけでも僕たちのパーティの強さを見てくれませんか?」
・・・
と話の流れ的に戦うこととなった。場所を変えて村から離れた開けた森の中だ。
「ほんとに4v1でいいんですか?」
「構わん…全力で来い」
「じゃあ遠慮なく」
奈々美さんがそういうと即座に魔法陣が展開される。さすがS級、展開が早い。だが
「その速度なら止めれる」
脚に力を入れて一気に地面を蹴る。狙うは奈々美さん本人。だがその攻撃は途中で塞がれた。
「それをさせないための俺なんでね」
「知ってたよ。元から君狙いなんでね」
翔斗くんが防いでくるのは予想できていた。この状況になれば翔太くんは奈々美さんを守るか見捨てるかの2択、タンカーとしてやるなら守る一択だ。
「戦いってのは不利な2択を迫ることにあるんだよ!」
「ぐっ!」
俺は飛び蹴りで盾ごと翔斗くんを吹き飛ばす。
「聞いてた通りの化け物具合だけど…もう終わったわよ」
魔法は完成していた。残りは発動させるのみ。
「メテオ」
彼女がそう唱えた瞬間、頭上に隕石が現れる。
「あれ程度なら斬れる…」
俺が隕石を斬ろうと飛びあがろうとした瞬間だった。
「スロウネス!」
急に身体が遅くなる。今度は奏さんからの妨害魔法…
「取りましたよ!師匠!」
冬夜がその隙をついて攻撃しにくる。俺は何とか身体を曲げて避けるが多少斬られてしまう。
「避けられるのは想定内です。でも、もうあれを避ける余裕はないですよね。」
頭上には既に隕石が間近まで来ていた。
「くっ!」
・・・
ドゴーンと大きな音を立てて隕石が師匠に当たった。
「意外とすんなり終わったわね」
「というか大丈夫でしょうか…」
「まあ大丈夫だろ。あんな蹴りをしてくる人だし」
「みんな!油断しないで!ここからが本番だよ!」
「「「???」」」
僕は知っている師匠の本気はこんなものじゃないことを…
「ふぅ…なかなか効いたぞ」
煙が晴れると中から1人の男性が現れる。髪色はどんどんピンクに染まり、髪は伸び始め、瞳の色もピンクに変わり始める。
「少し本気で相手してやろうか」
瞬間とてつもない緊張感が走る。
「戦闘準備!今まで戦った奴らとは比にならない敵だと思え!」
奈々美と奏はすぐに魔法陣を展開する。だが…
「魔法は既に見た」
パリン…そんな音を立てて魔法陣は破壊された。
「なっ!あり得ない!」
奈々美と奏はあり得ない状況に焦りを隠せていない。師匠はそんな隙を逃すほど優しくない。俺は咄嗟に奈々美たちの方に走る。そして師匠は一瞬でその場から消え去る。次に現れた時には俺の眼前…!
「それもさっき体験済みだ」
そのセリフが聞こえたと同時。腹部に強烈な一撃が放たれる。木々を何本か倒しながら飛んでいく。内臓がぐるぐるしている感覚がする。かなり気分が悪い。口から血も出てきている。喉が痛い。だがそんなのを気にしている暇はない。俺は全力でさっきの場所に走る。だが戻った時には既に遅かった。奈々美と奏はもう戦闘不能、翔斗は師匠に踏まれている。
「遅かったな」
「はぁ…はぁ…これでも全力だったんですけどね…」
師匠の怖いところはこれだ。師匠が本気を出せば同じ手はもう使えない。攻撃力と速さもさっきまでの比じゃない。




