最強を目指して
2080年、この世界は突如として現れたモンスターによって崩壊を迎えようとしていた。だがそれに適応するよう人類も進化していた。一部の人間はスキルと呼ばれる力を手に入れたのだ。その力を手に入れた者たちを英雄者と呼ばれる。
俺、柳雪もその英雄者の1人だ。英雄者は5段階の階級に分かれている。手に入れたスキルの強さによって階級が決まり、その後の活躍に応じて上下する仕組みだ。そしてこの階級制度を考えたのが英雄協会だ。英雄協会は日本で設立された組織で日本に存在する英雄者の9割近くは英雄協会に入っている。俺も英雄協会に所属している。ちなみに俺の階級はAである。最低がDで最高がSであることを考えるとAはまあまあいい方だ。
俺が今日もゆっくり朝の散歩を楽しもうとした時に時間は起きた。悲鳴の声が耳に入る。甲高い女性の声だった。俺は急いでその悲鳴の方向に走った。そこに着くと大型モンスターが暴れていた。
「…BかCだな…」
モンスターにも階級分けがされている。英雄者と同様で5段階評価で強さや被害規模によって上下する。今回のモンスターはBかCというところだ。
「助けて…」
逃げ惑っていた人たちの1人が、こけてしまい今にでも踏み潰されんとしていた。俺は一瞬で間に入り片手でモンスターの足を持ち上げる。
「さっさと逃げろ」
「あ、ありがとうございます!」
女性はそう言うと走って逃げていった。そして俺はそのモンスターと対峙する。四足歩行、高さは4,5メートル、横幅も同じくらい、奥行きは10はあるだろう。一般人が相手なら一瞬で殺されてしまうだろう。
「あんまり戦いは好きじゃないんだがな…」
俺は足から手を離す。するとモンスターはすぐに俺との距離を離してくる。
「他は殺すのに自分は死にたくないとか…舐めてるな」
俺もそれに合わせて距離を詰める。俺はすぐにモンスターを手で触れる。
「《スキル:収納》」
俺がそう唱えると触れていた箇所がブロック状に消え去る。モンスターは大声で鳴き叫んでいる。
「うるせぇ…さっさと死ね…」
「待ちなさい!」
「はぁ…」
聞いたことのある声が響く。俺はその声の主を見る前にスキルを発動する。
「《スキル:収納》」
今度はモンスターの全身がブロック状になっていき、その場から消え去った。
「ふぅ…で、なんのようだ?麗美」
「貴方を逮捕します」
こいつは坂本麗美、英雄者専門の警察のようなものである英雄協会犯罪取締課に所属している俺の幼馴染だ。
「はぁ…念の為聞くが…理由は?」
「公共の場で無許可のスキル使用です!」
「市民の安全が第一のはずだ。」
「それでも英雄協会への一報は必須です」
「それができるほどの余裕はなかった」
「いえ!貴方ならその余裕があったと思います。」
「買い被りすぎだ。俺にそんな力はない」
「…だとしても、無許可のスキル使用は犯罪です。大人しく捕まって下さい。」
「お前なぁ…本当のことを言え」
「…」
「話し方も気持ち悪いし…」
「…はぁ…わかったわよ。これでいいでしょ」
「で、本当の理由は?」
「協会本部からS級とA級でも上層部が指名した者たちを招集することが決まったのよ。それで呼びにきたの」
「はぁ…そのためにこんな芝居を打ったのかよ。」
芝居ということは初めからわかっていた。協会所属者は英雄者じゃないものも多い。だからその分市民を守りたいという気持ちは英雄者以上にある者が多い。




