気づくと私は女王でした
私の母は幼いうちに死んだ。私は父、兄、妹と共に過ごしていた。だけど、10歳の誕生日、私のスキルが判明した時だった。私のスキル《闇の心臓》を見た瞬間、兄も妹も父すらも私をゴミのように扱っていた。暴力は何度も受けた。父や兄の性のはけ口にされた時もあった。そして12歳の時に私は家を飛び出し1人で過ごしていた。だけど私はスキルを上手く扱えず、そこでもゴミのように扱われ、最後はパーティーメンバーに見捨てられダンジョンに置き去りにさせられた。
「なんで私がこんな……こんな目に会わないといけないの!」
眼前には何匹ものモンスターがいる。私じゃ勝てない
死を覚悟したその時だった。地面から黒い光が輝き空間全てを黒が包み込む。そしてその暗闇が明けると先程までいたモンスターは全て消え去り、1人の男性がいた。その男性の顔立ちはとても整っており、服装は貴族のような黒服を着ている。身長は175くらいだろうか。髪の色は黒く瞳の色も黒い。その黒は私の全てを包み込んでしまうようにすら感じさせている。
「君が僕を呼んだのかい?」
「えっと……」
急なそんな問に私はオドオドしてしまう。
「……ふむ……」
そう言って彼は私の顔に自分の顔を近づけてくる。
『いい匂い……かっこいい……綺麗な目……綺麗……凄い……』
そんな言葉しか出てこない。心臓がドクドクとなっているのが分かる。それほどまでに私の鼓動はうるさくなっていた。
「なるほど……召喚者はやはり君だ。たまたまの召喚だったそうだね」
「な……なるほど?」
「どうしようか……1度召喚されると帰るまでに24時間を必要としてしまうんだ……」
「あの!帰らずに残るというのは出来ないんですか?」
私は咄嗟にそんなことを言ってしまう。彼はキョトンとした顔で見てくる。
「できなくはないよ。あくまで今は召喚されただけだから帰ると言うだけで契約をすれば帰らずに残ることも可能だよ」
「契約ってのは?」
「召喚者の求めるものと召喚者が差し出す代償、これの交換。ここでの契約はこれだね」
「なるほど……それは釣り合っていなければいけないの?」
「そうだねー。君のして欲しいことと僕のして欲しいことが釣り合っていればいいよ。」
「じゃあ……好きです!付き合ってください!」
私は頭が回っていなかった。だって仲間に捨てられたと思ったら目の前から絶世の美少年。
「あ、ご、ごめんなさい!別のに!」
「ん?それでいいよ。」
「えっほんとに?」
「僕は召喚された側、君は召喚した側、その時点で契約内容を決める権利は君にある。」
「で、でも、その場合あなたの気持ちは……」
「僕はなんでもいいんだよ〜僕は所詮君より立場が下。断る権利は僕にはない。そう教えて貰ったから……」
その言葉に私はモヤモヤする。
「なにそれ……」
「?」
私は思いっきり彼の肩を掴み引き寄せる。
「気持ちを言葉にするのに!上下関係なんて関係ない!気持ちは人間関係を築く上で1番大事なものなんだから!」
今まで私は気持ちを考えられたことなんてなかった。家族にも仲間にも今まで知り合った人誰からもゴミ扱い。だから気持ちを無下にしている彼にどこか苛立ちを覚えていたのかもしれない。
「……それでも、僕はその契約でいいよ」
「……それは本音?」
「うん。だって僕的には早く契約して楽しみたいから……そしたらみんなに自慢できるし、君と恋人関係になるってのも面白いからね」
「そう……じゃあお願いします」
「うん。それじゃあ代償は〜とある人物の召喚で!」
「それは誰なの?」
「後の楽しみだよ。別に悪い人じゃないから大丈夫」




