不気味な
男の不気味な笑みに動揺しながらもこちらをじっと見つめてくる。
突然の奇襲(?)に動揺したが、頭で冷静に考える。
こいつ、あの傷ありの一味…このタイミングってことはそっちの方が妥当か。妖術はほぼ爆破させることでいいのか、
【狼】を一撃って考えると相当な火力になるな…
男の一挙一動を注視していたが、めんどくさそうにだらけ始めてる。
「あのさ?こないの?こっちからいくよ?」
不気味な笑みを浮かべて見下すような視線…
「おしゃべりしにきたのか?」
「うーん、それもいいかもねぇ。でもこっちも上に言われてんだよねぇ」
男が突然ふらっと上半身を動かすと、掌をオレに向けて吹っ飛ぶように突っ込んでくる。
さっき、爆ぜた男の惨状を思い出して、寸前で交わすことができた。
男はそれに少し驚いた顔をしたがすぐに方向転換でまた突っ込んでくる。
しかし、二回目には見慣れて少し動きがわかる。
再び避けると次は脇腹らへんに蹴りを打ち込む。
男は少しふらついたけど、すぐにけろっとしている。
頑丈だな
「いいねぇ…やっぱりこれが一番楽しいなぁ。うちの奴らのほとんどが納得してくれないからさぁ?ひどくない?」
「知るかよ。それよりあんたか?オレのこと追ってるやつって」
「んー?そうだよ?俺達のボスがお前のこと求めてんだ。」
ボス…傷の男か?
「なんで?」
「あれ教えられてない?」
あっけに取られたような声で聞き返してくる。
「教えられるって誰に」
「まあ、いいや。早く続きをや・ろ・う・ぜ!」
男は次に突っ込んでくることはなく、手を合わせる。
「【黄昏】」
瞬間、合わせた手のひらから閃光弾のように光が広がる。
「くっそ」
目がやられる前になんとか防いだが、視界が塞がれた
その一瞬をつかれて腹に手を添えられる。
「【夕立】」
腹に太鼓を叩いた時の何倍もくる衝撃が走る。
「っ!」
「お、結構喰らった?」
なんとか戻ってきた目で少しずつ認識できるようになってきた。
男の影らしきものが近づいてくるのがわかる。
くっそ、やってやる。
血反吐を吐きながら体から力を湧き上がらせる。
「【烏】!!」
呼び出した黒く塗られた鳥が男の視界を遮る。
その男の腹を蹴り返す。
しかし、今回は予期してたのか少しもよろめかなくて代わりに足を掴まれた。
「油断したか?もー一発!【夕立】!」
また爆ぜる!
男の手が熱くなってきた時、呼び出した烏で男の腕をくちばしで貫く。
それでようやく離れた手から少し距離を置く。
「流石だなぁ。2年でここまで使いこなすとは。」
「…オレの妖術についてなんか知ってんのか?」
「ん?さぁ?どうだろうねぇ?ぶん殴って聞いてみたら?」
「それもそうだな。お前はぶっ潰す。」