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事後

「体調はどうだ?変なところとか」

 

「いえ、大丈夫です。それよりあの男から何か情報取れました?」


「いや、死体からはあいつの肉体的情報しか集めれなかった。すまん、せっかくの情報源なのに。」


「いえ、調べてくれてありがとうございます。」


 しかし、楓は内心、穏やかではなかった。

 

 くっそ、せっかく見つけれた情報なのに…


 オレを探している。その言葉の意味を考えた。


 まず、なんでオレの事を見る今更になって探し出している?あの時じゃダメだったのか?


 あの傷の男は"ここにもなかった"と言ってたな。てことは多分、あの2年前の時点から探しているのがオレに?いや、だったらやっぱりあそこで。2年前と変わったことはなんだ?


 考えを巡らせていると、雪宮さんが肩に手を置いてくる。突然のことでビクッと驚くと笑いながら、


「顔がこええぞ。なにかあったか、?」


「マジですか。そんな顔してました?」


「うん。今にもオレ殺されると思って怖かった」


 涙目で楽しそうに煽ってくる。この人ほんとに…


 少し呆れていると、雪宮さんの胸元から電話音が鳴り響く。


「なんだなんだ?」


 携帯を確認すると、嫌な顔をしていた。めんどくさそうに電話に出る。


「今日は休みだろ?仕事は断るが?」


『いや…開口一番でなんでそうなんのよ…』


 雪宮さんの応答に呆れた様子で電話の主は受け答えする。この人ほんとにブレないな。


「で、なんだよ。あのうるさいジジイどもの会議なら参加する気はねぇぞ?だいたいよ」


『はいはい、そんなことはどうでもいいから。それよりも…』


 そこからは声が聞こえづらくなってきた。雪宮さんは黙って聞いていたが、少しこちらをチラッて見た後


「わかった、すぐいく。」


 と、伝えて電話を切った。そして、オレのことを見ながら、


「わるい。少し大事な用が来ちまった。また連絡するから、お前は少し自由にしとけ。」


 そう言って彼はすぐにどこ変えてと走っていく。


「自由にって…」


 こういうのって自由にが一番困るよ。


 しょうがない。そこらへんで少しでも気休めになるようなところ行くか。


 街を歩いていると、昨日とはまた一味違った光景が広がってくる。昨日の祭り騒ぎの場所とはまた違う、たくさんの食事処が並んでいた。


 そこに漂う食欲をそそる匂い。

 …そういえば昨日まともに食べてなかったな。


 思い出したかのように腹の虫が鳴る。よし、ここで何か食べるか。


 街に並んでいるのは蕎麦やうどんといった和食のほかに、中華なんかもまちまちと建てられている。


「どれにしようかな。」


 …ここにするか。


 そこは、人が少ない少し老舗のうどん。メニューが外の看板に書かれており、"おすすめ! 天ぷらうどん"と、でかいかき揚げがのったうどんが書かれていた。


 ドアに入ると、鈴が鳴る。店員がそれに気づいたて振り向く。


「いらっしゃいませ。こちらの席にどうぞ。」


 案内された席は、4人掛けのテーブル席出入り口に近い。人は誰もおらず、ここに案内されたのだろう。


 そう思っていると、先ほどの店員が水を持ってきてくれた。


「ご注文はお決まりですか?」


「あ、じゃあこの天ぷらうどんをください。」


「はい、天ぷらうどんですね。お時間少しいただいてもよろしいですか?」


「ぜんぜん。お願いします。」


 そう言って、店員は奥へと引っ込んでいった。


 少し待っていると、扉から先ほども聞こえたカランコロンと鈴の音。入ってきたのを見ると、3人の男が少しあたりを見回していた。店員も音に気づいたのか、顔を出すと3人組に気づいてオレと同じ接客で席に座らせていた。注文をとっているのを他所目にさっき頼んだうどんを待つ。


 すると、すぐに湯気をたたせたうどんを運んできてくれた。上には器一面のかき揚げをのせている。

 

「いただきます。」


 麺を啜るとかみごたえ抜群腰の強さと優しい出汁の味が広がってくる。かき揚げも汁に浸って味が深くなっている。

 うまい!


 夢中で食べていると、すぐに空っぽになった器。腹の中はかなりの満足感で満たされていた。


「さてと、」


 代金を払って、すこしかためのとびらを光が差し込む。少し手で遮りながら出ていくと、周りにほとんど人が見えない…


 よし、これなら…


 そう思っていたら、後ろの扉が突然開く。


 出るや否やの状態で男の顔面に入る蹴り。


 蹴られた男は予想外の一撃に吹っ飛ばされた。


「お前ら、やるか?」


 楓の啖呵に答えるような殺意を示す2人の男。

 

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