烏
俺はそもそもこいつを捕まえたいわけじゃない。
漢として殴り合いたいだけだ。
それをうちのやつらは(綾斗を除いて)全員反対してきやがる。
楓に蹴られながら考えていた。
溝うちや脇腹、股間を確実に狙ってくる。
あぁ、雪宮が教えたかもと言ってたな。
これは、これはいぃ!!!!!
こいつ、硬すぎる、
さっきからずっと蹴っては確実にダメージを与えれてると思っていたが、微妙だにしない…
あの爆弾野郎と違って確実に入っているはずなのに…
「あぁ、もっと。もっとだ」
こいつ、さっきからなに言ってんだ?
でも、隙だらけだ
顔面に蹴りを決め込もうとすると、それを片腕で防がれる。
「だが、」
男の右腕を見ると…膨らんでいる?
「こんなもんじゃないだろ?」
右腕を思いっきり振りかざそうとするとが見える。
やっべぇ!
思わず顔面を腕に固める。
瞬間、その防御すら貫通しそうなほどの衝撃が走った。
痛いってより、腕が飛んでいっていないかと心配が勝つ。
「雪宮に育てられたのならば、私に全力を見せてくれよ。」
「雪宮さんがどうしたって?」
「おや、知らないのか?」
男は以外そうな顔で聞いてきた。
「私たちの妖術士からしたら、彼を知らんものなど1人もいないほどの実力者だぞ?」
雪宮さんが?どおりで時雨さんを…
「そんなことはどうでもいい。お前があの雪宮に育てられたんだろ?なら、もっともっとくれよ。」
…きめぇ
ただ、流石にこの調子じゃ良くても殺されないくらいだな…
仕方ない
「やってやるよ」
男はそれを聞いてかなり興奮気味だ…
「【烏】」
ズルッと現れる黒い鳥、
いけるか?
あいつの妖術が不明な以上、下手に手は打ちたくねえ…
「それが畜生道か!さあ、さあ、はやくはやく!」
【烏】も下手に破壊されたくない。
「【烏 黒灯】」
【烏】の力と同時男に蹴りを決めようとする。
「突撃とはまた、乙なものだなぁ」
俺にその拳が振り落とされる。
その瞬間、男の顔面に【烏】が羽ばたく。
男はそれを避けようともせずに拳を振り落とそうとする。
振り落とされた拳。
しかし、その拳は俺に当たらず、すぐ隣に落とされた。
「お?」
男が疑問に思っているうちに怒涛の四連打を顔面から股間にかけて急所をねらう。
流石にダメージが入ったのか、少しよろける。
「…なんだそれ」
男の一言は少し怒りに満ちている…のか?
「なんだって?」
男は再び黙ってからまた口を開く。
「私がしたいのは殴り合いんだよ!お前が今やったのはおそらく幻覚とかなんだろ?それは!それは!」
男は声を荒げている。
「悪いな、そんくらいでしかあんたと戦えなさそうなんでね。」




