07 失ったものは大きい(自己申告)
どうやら、ステータスという概念は存在しない世界だったらしい。べっ、別にがっかりなんて思ってないんだからね!
勿論アイテムボックスなんてものも無く、魔物の素材も放ったらかしである。
まぁ、どれだけ後悔したってもう遅いのだが。
それよりも俺の声、高くなかったか?さっき感じた身長の低下は間違えでは無いらしい、速く鏡が欲しいものだ。
イケメンになった顔を見るのが今にも待ち遠しい。
俺はそんな事を考えながら森を歩く。
というか俺の服装、Tシャツ一枚なんだよな〜。かなり大きいサイズのを着てるから半ばワンピースみたいになっていて、下は履いていない…
…履いていない?
というか、ちょっと待て。余りにも違和感が感じられなかったから気づかなかったが俺に有る、いや付いているハズのモノの感覚が無い。
俺はゆっくりとTシャツをめくる。
そして、俺は知る。
天を仰ぎ、大声で叫ぶ。
「性別まで変わってんじゃねェか!!!!」
そう、俺は女になっていたのであった。
考えれば分かることだったのだ。いや、考えないようにしていたのかもしれない。無いことへの違和感が今になって気になり始める。
そうか、俺…女になっちゃったのか…。
軽く絶望しながら膝から崩れ落ちる。
ヒドイわ!1回だって使ったコトなかったのに!!
この世界に男女という区別がないとか、そんなトンデモ展開が無いことは全知で分かる。
嗚呼、哀しいかな、我が一振りとの今生の別れとは。
そうしていると、気づけば周りには大勢の魔物。あぁ、さっきの叫び声で寄せてしまったのか。
「それじゃあお前ら、悪いけどストレス発散させてもらうよ」
うーん、なんとも可憐な声だこと!
ヤケクソ気味に自分を嘲笑しながら、俺は目の前の魔物の顔面に膝を入れる。今回は手を使わずに戦って見よう。
イライラはするものの動きは至って冷静で効率的。惚れ惚れしちゃうね。
これ、傍から見たらどういう風に見えるのだろう?
自分の身長の倍近い魔物をボコボコにする13歳程度の女の子。
うーん、怖い。俺なら近づきたくないね。
片手間ジェノサイドしながらそんなことを考えていると、魔物が何かを纏っていることに気付く。
「それ」には個体差があり、ちょっとしか纏ってないヤツもいれば凄い纏っているヤツもいた。
そして、それの量が多い方が強かった。
まぁ全員一撃なのだが。
これって、多分オーラとかそんなものだよな〜、異世界モノでよく見るヤツ。
しかし、オーラというものは全知には反応しない、じゃあ気配察知?…違うな。うーん、【闘気】とか…
そこで全知が反応し、情報が入ってくる。
きっ、キター!!闘気っていうのか、これ!名前カッコいいじゃん!
えーと、なになに…。
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【闘気】
使用制限:生命ある者
力をその部位に集めることでその部位を強化する
闘気を視認し、理解することで使用可能
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なるほど…
条件は闘気を視れることとそれが闘気と理解することか…。
ん?
俺、もう使えんじゃね?