02 異世界は目前に2
1つ目のスキルで攻撃手段を得た俺は、頭の中にある参考書を頼りに自分に必要な能力について考える。
ここはやっぱり魔法の才能だろうか?それが一番丸い気がする。物理と魔法の二刀流はカッコいい。だが、どちらも中途半端になってしまう可能性だってあるし一つの道を極める方が良いと考えてしまう。
『『才能があっても磨かないと意味ないよねぇ』』
そうなんだよなー、2つの才能は俺の手には余る気がする。魔法とか明らかに難しそうだし。
やっぱり別のスキルにするか。
俺は異世界モノの基本について思い出しながら考える。
彼等は異世界で何に困っていた?何に助けられていた?
そこで俺に一つの考えが降って来る。
そうだ、アレだ…。
『『決まったのかい?』』
スキルって今もらうことは出来るか?
『可能だよ』
じゃあ俺に知識をくれ。
『『知識?』』
あっちの「常識」を俺にくれ
そう言った俺に神は眉を潜めながら答える
『『別に良いんだけど、そんなのでいいのかい?一つ能力の枠を使うんだよ?』』
ああ、全然良い。
何故なら俺は知っているからだ。異世界転生者がよく騒動に巻き込まれるのは、「あれ?俺何かやっちゃいました?」が原因であることを。常識が無いからよくやらかしてしまうのだ。
よっておれはこのスキルが必要だと考えた。
『『じゃあ脳内に直接刻み込むからね』』
あぁ、やってくれ。
直後に俺の視界が歪む。めっちゃ気持ち悪い、身体があったら絶対に吐いてた。
俺は酔いを我慢しながら異世界について理解していく。全知ってこういう事なんだなぁ。
でも俺これから常時この状態?めっちゃキツイんだけど。
『『よし、定着したかな』』
すると情報の波は止まり酔いが段々引いていき、それと同時に異世界の情報が脳内に浮かんでいく。
ん?おい待て、これって…
『『これで2つ目だね。残りはどうする?』』
これまじかよ…
『『ねぇ、話聞いてる?』』
3つ目は容姿にしてくれ。異世界で好意的に見られるやつで頼む。
『『速っ!?もう決まったのかい!?』』
あぁ、全知様々だぜ。なかったら多分とんでもなく目立ってた。勿論悪い方にな!
そうなのだ、どうやらあちらの世界の住人は誰も彼も顔面偏差値が高いらしい。俺も自分でマシな方だとは考えていたが、あれは勝てない。そこら辺の農家らしいおじさん達でも渋いジェントルマンってどういうことだよ…
俺そのままであっちの世界に行くの怖いよ…
『『それはまぁどうでも良いんだけど、キミの考える好意的な容姿ってどんな感じなの?』』
どうでもいいとは心外な。
んー、あっちで浮かなくてちょっと有利に働く感じの容姿でよろしく。
『『注文が難しいなぁ、じゃあ3つ目ね』』
不満気に神は言った。あと2つ…。はっきり言って何も思いつかない、困ったな…