01 異世界は目前に
『『さぁ、これからの話をしよう』』
目の前で優雅に座る神はそう言うと、現在の状況について説明し始めた。
『『まずはキミが今どうなっているかを話そう。現在キミは魂だけの状態で肉体は完全に破壊された後だ。』』
まぁそりゃそうだろうな、見るも無残な挽き肉だもの。
『『それで、本来ならキミは記憶を消去して魂を輪廻転生させるはずだったんだけれどどうせならちょっとボクのことを手伝ってほしいなって思ったんだ。それでこの状況、ここまでは分かったかい?』』
ということは異世界で勇者になって魔王を倒す、とか?
『『違うよ』』
??じゃあ何故?
『『あっちの世界は現在も王が治める君主制でまぁ有り体に言うと考え方が古いんだよね。魔法があるから科学も全然進んでないし、だからキミたちが新しい考えを入れてくれたらすごい助かるんだよ』』
なるほど、確かに魔法であるなら科学も必要ないもんな。世界全体がその考えになっているから技術の進歩が遅くなってしまっている。そこに地球の知識を持った俺が手を加えることで、異世界の成長を促すということか。
『『いや本当に理解が早いな!?』』
というか、今なんて言った?キミたち?
『『うん、前からこうやって死んでしまった子の中でも異世界への願望があるチューニビョウって子達?にはこうやってお願いしているんだよ』』
ウッ…魂だけなのに殴られた感覚がする、これが本当の精神攻撃か?
『『まぁ、自分の生活が便利になる程度にやってくれたらそれでいいから。それに今なら好きな能力5つあげちゃうよ?どうだい、異世界に行く気は出てきたかな?』』
なんか怪しいネットショッピングのセールスコピーみたいだな、勿論行きます、自分、行けます!
『『ありがとう、助かるよ!じゃあ早速ほしい能力を5つ教えてくれ、どんな能力でもいいよ!』』
うーん、どんなスキルがいいかな?何でもいいと言われると優柔不断になってしまう。
『『剣の才能とかどうだい?剣聖とかなってみたいんじゃない?』』
確かに剣の才能とかすごいいい、剣聖とか呼ばれてみたい。だが、これでも普通の高校生だった俺は剣を振ったこともなければ触ったことすらない。いくら才能があったとしても扱えるかというと不安があった。
『『格闘術とかどうだい?』』
…
…
…そ・れ・だ!
ビルぐらいの巨大なモンスターが俺の一撃で吹き飛ぶのを想像するだけでクるものがある。よし、それにしよう!
『『圧倒的な格闘術の才能・それを叶える肉体が1つね、残り4つも考えてね』』
残り4つか…というかこれだけでも充分なのにあと4つもくれるのかよ、最強じゃん。
なぁ、今更なんだけどもらう能力じゃなくてモノとかでもいいのか?
『『さっき能力って言ったけど、基本的にボクが許可できるものだったらなんでもいいよ』』
なるほど、必ずしも能力じゃなくてもいいのか、覚えておこう。