17 VSミュラー3
説明しよう!
なぜこの私がミュラーの攻撃を耐えられたのか。
それはギャルみたいな喋り方の神が言っていた組み合わせによるものだ。
俺の「拳帝」は理解した技を完璧に使用することが出来るようになるスキルだ。
しかし、今の俺は1つも型とか術を知っていない。
そこで、俺が持っている「全知」を利用したのだ。
え?「全知」は主に見たものしか使えないだろって?
そうだよ?だから見たんだ。
ミュラーの動きをなァ!!!
今の俺には、ミュラーの技…「自己流派中級拳術」があるんだよ!
俺はミュラーに今までとは違う、野生的ながらも鋭利な連撃を放つ。
やっぱチートだな、「全知」。防御してる姿しか見てなかったハズなのに攻撃まで出来るようになってる。
流石のミュラーも少し困惑した表情を顔に出す。
「…オイオイ、それって俺のマネか?」
へー、すごいな。やっぱりそういうのって本人は分かるものなのか。
「だめなの?」
「いいや、闘いってのは使えるモンは全て使うべきだ。だから嬢ちゃんは間違ってねェぜ」
「かっくいー」
「ハッ!ありがとよォ!」
そんな事を話しながら、俺とミュラーの拳はぶつかり合う。
さて、ここで問題。
単純なパワー比べになった場合どちらが勝つと思う?
正解は
「うりゃ」
自分でも可愛いと思う掛け声と共に、ミュラーが観客席の壁に向かってぶっ飛ばされる。
そして、そのまま壁に直撃しミュラーの体がバウンドする。
立ち上がりはするものの顔色は良くない。
「もうわたしのかちでいい?」
「…ハッ、抜かせ」
再び俺とミュラーの攻撃が交差する。
だが、明らかにさっきよりも威力が弱い。
勝てる!
と、その時、
俺は膝から崩れ落ちた。
え?
な、何が起こった?
俺はそんな致命的な攻撃を受けていなかったハズだ。
しかし、体はもはや力すら入れる事ができない。
もしかして「拳帝」に代償があったのか?
いや、「全知」で確認した時にはそんな説明はなかった。
「な、なんで…?」
思わず口に出た疑問に、ミュラーは答えを出す。
「スタミナ切れだ」
??
スタミナ切れ?あり得ない。だって…
「でも…でももりのなかではつかれなかったんだもん!」
「そりゃ危機的状態の時は疲れなんて感じねぇもんな、今までのシワ寄せが来たって事だ。肉体の限界だよ」
「やだ…まだやれる」
俺は死に物狂いで体を動かそうとするが、考えとは裏腹に肉体は筋肉の1つも動かせない。
「アレン、さっさとジャッジしろ」
「…うん」
静まりかえった闘技場にアレンの声が響く。
「ライズ戦闘不能により、ミュラーの勝利!」
そう宣言するアレンの声を皮切りに、どっと歓声が聞こえてくる。
だが、俺は悔しさで下しか見れなかった。
なんだあのザマは。
俺は神様に会ってズルをしてまでミュラーに負けてしまったのか。
ミュラーはおそらく、スキル名にもあったように己で磨き上げた拳術で戦いきってみせた。
その磨き上げたスキルを奪って、
かつ120%引き出せる力をもってして、
負けた。
言い訳が立たない。
森で体力を使っていたからなんだ。
もっと落ち着けば体力の消費は少なかったはずだ。
子供で、しかも女の子だからなんだ。
パワーではミュラーを越していたし、技だって「拳帝」の効果でミュラーよりも上だった。
俺の視界はぼやぼやして霞み、目から大量の水があふれてくる。
俺は初めて異世界で敗北し、教訓を得たのであった。
タイトルであるままならない部分を少し出せたことがうれしいです。
基本的にこの異世界は転移してきた人には初見殺しなところが結構あります。
ま
まだ言いませんケドね!