13 冒険者登録!
俺は今、全知の能力をほんのちょっぴりだが実感した…。
い…いや…実感したというよりはまったく理解を超えていたのだが……
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
おれはナムレグ語のことを考えていたらいつのまにか文字を読めるようになっていた…。
な… 何を言ってるのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった…てかなった…。
催眠術だとか超ハイスペック脳だとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ…
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
と、俺の中のポル〇レフがそう一行に話しているが本当にとんでもない能力を手に入れていることを実感した。
知りたいことの正式名称さえ分かればその全てを理解出来る能力とか悪用し放題だろ…。
つまり…
「もちろん話せるようになってるよなぁ…」
俺はそう小さく呟いた。
「可愛すぎるだろ…」
「あの子と一緒にいたのってあの「白銀」?」
「もしかして…」
ザワザワした周りの会話もしっかりと聞き取れるようになっている。
そして、やはり注目されていることが分かった。
まぁそりゃこんなTシャツ一枚の幼女を連れてここに来たんだもんな、事案すぎる。
ていうか「白銀」って何?あのイケメン君のこと?
銀色の鎧着てるから白銀…安直すぎだろ…。
そうこうしているとイケメン君とおっさんが帰って来た。
そしておっさんが
「おい、嬢ちゃん」
と声を掛けてくる。
傍から見たら幼い少女にメンチを切っている8のモノになってしまっているこの状況。
さて、返事をしようか?
俺は脳内をフル回転させ、考える。
せっかく異世界に来たのだからどうせなら何か信念を持ってロールプレイしたい。
黒髪ロング…。
よし決めた!俺はミステリアスな無口クールでいく!
何故無口かと言うと男の部分を出したくないからだ。ボロが出たら困るし。
だが人と会話はしたいので口数少なめでいこう。
よし、やるぞ…。
「…なに?」
うおぉぉぉ!いい感じだ!
俺は興奮しつつ、それを完全に抑えそう言い放つ。
「は…話せたんだね…」
ショックそうなイケメン君。
「…しんようできなかったから」
これは半分本心だ。いい人そうなヤツ程怪しいのは異世界転生ステレオタイプなのだ!
「あぁ、僕が君の立場でもそうしているから分かるよ」
クソッ、こいつ顔がいい!後光で眼が焼ける!
「…おい、話は終わったか?」
忘れさられていたおっさんが眉にシワを寄せながら口を開く。
「さっさとやるぞ、面倒くせぇ」
…マジで見た目怖いなコイツ。今のところ魔物と比べても1位なんだけど。
するとおっさんは鉄のプレートとナイフを取り出し、俺の前に出す。
「ガキンチョ、名前を言…「ライズ」
「…」
やべぇ、やっちまったかもしれねぇ。
海に沈められちまうかも…。
「…まぁいい、次はコイツにテメェの血を垂らせ」
鉄のプレートに視線をやりながらおっさんは言う。
…もしかして、このナイフで?
嘘だろ…
だが、ここで止まっていては何も始まらない。
ええい、ままよ。
そうやって俺は指の腹にナイフを押し当て、その指を鉄のプレートに押し当てる。
するとプレートが光り輝き、カードに文字が刻まれていく。
この日、俺は冒険者になったのであった。