09 ぐっどおーとこみゅにけーしょん!
「ーーーー!?ーーーーーーー?」
心配そうに近づいて来るイケメン君。あぁ〜顔がいいなぁ〜おんにゃのこだったらな〜。
異世界ハイが完全に冷めてネガティブな気持ちになってくる。あと、言葉が通じ無いのもキツイ。変えるのは容姿だけだから言語は使えないってか?はじめに説明してよぉ〜。
《???視点》
…完全に油断した。
最近増加傾向にあるらしいハウリングウルフの討伐依頼を受けたものの、思ったより個体数が少なかったので森の奥まで進んだのがマズかった。
そして僕は進んだ先でロックゴーレムと戦闘に入った。
鉱石系統の魔物は僕にとっては天敵だ。片手剣なのであまりダメージにならないし、魔法の効きも悪い。
しかし何故ここにロックゴーレムが?生息地は岩山や洞窟でこんな森には現れないハズだ。
しかもあれらの場所のゴーレムと違い、灰色より黒色に近いことも気になる。
とはいえ、もうすぐ魔力も底をつく。出来るだけ情報を取って再度討伐に来るか…。
そう考えていた時だった。
突如として森の中から少女が飛び出して来た。
「え!?」
漆黒の髪と眼、それとは対象的な色白な肌をした令嬢といわれても遜色の無い美しい少女がそこにはいた。
しかし、何故こんな森に?
さらに彼女の服は大の大人、それも男物の服を着ており下は履いてすらいなかった。
考えるのは人さらいの類か…
…だったら早くこの森から出て親御さんに会わせてあげないとな。
僕はそう決心し、少女に声をかける。
「ここは危険だ!隠れていてくれ!」
しかし、彼女は止まらずにゴーレムに向かって走り出した。
そして次の瞬間、音もなくゴーレムの体の大部分が消失した。
???
自分が視認した情報に納得が出来ない。
今、何が起こった?
魔力を使用した痕跡はない。単純な力で殴ってああなるのか?あの華奢な腕で?ありえない。
特殊なスキル持ちと考えたほうがいい。そしてそういうスキルには大抵反動がある。
とりあえず彼女の無事を確認しよう。
「大丈夫かい!?ケガは?」
すると彼女は僕を見つめたあと、
「ーーーーーーーーーーーーー!!!」
悲痛な声を出し地面に崩れ落ちた。
当たり前だ。自分よりも遥かに硬いものをも消し飛ばせるようなスキルだ、反動が弱いわけがない。
今度は僕が助ける番だ。
彼女に助けてもらった身として、僕は彼女を無事に元の場所に戻す義務があるのだから。
そうして僕と彼女は出会ったのだった。
他人視点ってむずかしいのね…。




