第八十四話 ベルの短刀
翌日、
言われた通り俺たちはスミス爺さんの店に来た。
今日は珍しく静かだ。
「おーい、爺さん、フォルン!来たよ」
「はぁぁぁい…」
なんだ?この陰気な返事は。
奥から出てきたフォルンは、
なんだかふらふらだ。
いつもの丸ゴーグルをしてるんだが、
何故だろう。
クマが見える。
続いて出てきたスミス爺さん。
これもまた目の下のクマが半端ない。
「よぉく来たなぁ…」
「でぇきてるよぉお」
いやいや、怖いから。
これじゃ客も逃げるわ、
今日の店が静かな訳が分かった気がする。
二人の様子があまりにも変なので、
後ろの美少女3人は固まっている。
「これだぁ、みぃてくれぇぃ」
出された短剣は、
いや、短刀だ。
「いろいろ考えてさぁあ…」
「ちぃせぇ刀にしたんだぁああ」
「うへ、ぐふふ」
「ぶふ、ふへへ」
何故笑う。
しかも不気味だ。
「ぐっぐへへへへ!」
「ひひひ、ぐっばはは」
おいおい、大丈夫か?!
と思った次の瞬間。
「「ぐはっ」」
と、二人とも血反吐を吐いて倒れてしまった。
「お、おい!!」
「大丈夫?!」
「ルース!!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「う、うーん…、あれ…?サクラさん?」
「気が付いたか!」
倒れた二人をルースに回復魔法で回復してもらい、
しばらくしたら二人とも目を覚ました。
「わしらどうしたんじゃ?」
「いや、二人ともおかしかった、いきなり倒れたからビックリした」
「そうじゃ、わしら刀を打ってて完成させたんじゃ」
「うん、その辺りから覚えてない」
「覚えてないの?なんだか様子がおかしかったよ」
「ふん、おそらく龍の鱗に生気をすわれたにゃ」
「え?そうなの?」
「魔力持ちなら魔力を吸われてお終いにゃ、でもこやつらは魔力が無いから生気を吸われたにゃ。刀を見たら解るにゃ」
「そうじゃ刀じゃ!見てくれ」
カウンターに置きっぱなしだった短刀を持ってきて、鞘から抜いてみた。
「これは…」
俺のオリハルコンの刀も見事だったが、
この短刀もどうしてどうして、
見事だ。
「ふむ、やはりにゃ、自己再生しようとして生気を吸い、そにょ刀に生まれ変わったと言うところにゃ」
「そうなのかぁ、しかしたった1日でよく作ったなぁ、あ、そうそう、そのくらいの刀は、『短刀』って言うんだよ」
「うむ、フォルンと二人で打ったが、確かに良い出来じゃと思う」
「これはベルが持ってて良いのかな?」
「え?ベルが?」
「うん、元々ベルには普段持てる短剣を用意しようと思ってたからね、これはベルが持つと良い」
ベルに短刀を渡すと、
大事そうに眺めている。
「ベルよ、魔力を流してみるにゃ」
「え?あ、うん」
短刀は、元々が鉄っぽい色だったが、
ベルが魔力を込めると青色が加わったような、
鮮やかな色に変化した。
「綺麗なの…」
「凄〜い、魔力って不思議」
「ほんとに凄いな」
「残りの鱗はどうしたらいいんじゃ?」
「ん?爺さん使えば良いだろ」
「しかし毎回生気を吸われたんじゃ身が持たん、事実、死にそうになったわけじゃし…」
「ふん、残りを持ってくるにゃ」
スミス爺さんは言われるままに龍の鱗を持って来た。
3センチほど欠けている。
「ふむ、使い過ぎたにゃ、この3分の1で通常の剣だにゃ」
とすると、ベルの短刀は、通常の3倍の量を使い、さらに短刀自体が小さいから、かなりの濃度ど言えるな。
「そんな少くて良かったのか」
「そもそもにゃ、お主達、身体の異変に気が付かなかったにょか?」
「「あ」」
この二人は夢中になると周りが見えなくなる。
だみだこりゃ。
「次からは時間をかけ、丁寧に打ち込むにゃ、異変を感じたら休めば治る。お主らにゃら、魔剣もできるにゃ」
「「魔剣も!!!」」
フォルンと、スミス爺さん、
二人の目の色が変わった。
あ、この目はやばい。
「こらこらこらこら!夢中になり過ぎるんじゃない!」
「「あ」」
「すまん」
「ごめん」
「ベルよ、短刀を貸すにゃ」
ルースはベルから受け取った小刀で、
龍の鱗を切り出した。
「うお!」
「なんと!」
「「えー!」」
ルースは豆腐でも切るように掌の上でスパスパと鱗を切りだす。
とんでもねー切れ味だ。
「これでいいにゃ、ダイサクこれを」
4センチ角ほどの立方体3個を俺に差し出すルース
「これは?」
「これで龍石にするにゃ、魔力操作の訓練に使うにゃ」
「なるほど、爺さんお金払うから譲ってくれよ」
「あ、おぉ、分かった」
俺はオリハルコンの刀と、ベルの短刀、シイの短剣2本と龍の鱗の代金を支払い、
二人にはくれぐれも夢中になり過ぎないように言い残し店を後にしたのだった。
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白村
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