第八十話 叙爵式
唐突ですが、東京マラソン走ってきました。
なんとか完走できました。
更新遅くなって申し訳ありません。
今日は1月15日昔の日本では成人の日だったな。
この世界の俺は本日叙爵式を迎え、
正式に伯爵様となる。
ただの大工の俺が、
この世界に来た途端にえらい出世だ。
しかも嫁もいるし、さらに嫁候補もいる。
もう日本には帰りたくないね。
昨夜、仕立て屋が慌てて来て、
出来た衣装を合わせた。
これぞ貴族!
という衣装だが、
それぞれにみんな良く似合ってて、
しばらく見惚れてしまった。
「なんか、あたしほんとに良いのかな…」
とはシイだ。
つい10日ほど前に出会ってから、
あれよあれよと環境が変わっていく。
戸惑うのも無理はない。
俺だってフワフワした感じで、
現実味をいまいち感じられないのだから。
今は、準備を整えて、迎えが来るのを待ってる状態だ。
コンコン
「はい」
「サクラ様、お迎えにあがりました、御出立の準備をお願い致します」
「よし、じゃぁ行くか」
「「「はい」」」
馬車に乗り込むとマミちゃんが既に乗っていた。
「あ、おはようございますマミ様」
「うむ、まだ今はいつもの調子で良いわい」
「あらそ、んじゃおはようマミちゃん」
「おはようなの」
「「おはようございます」」
「全く呆れたやつじゃ、あらおはようベル、ラスティにシイ、良く似合っとるよ」
「ありがとうなの」
「「ありがとうございます」」
この婆さん、俺以外には優しいんだよなぁ
「それにしても、マミちゃんが直々に迎えに来るとは思わなかった。王族なんだろ?」
「お主達はそれだけ特別なのじゃよ。良く聞きな、お主達の力は一国をも脅かすほどの力があると自覚するのじゃ」
「いや、マミちゃん、言っちゃなんだけど、ルースはぶっきらぼうだけど、ああ見えて凄く良いやつだよ。自分から進んで人間に危害を加えるなんてまず無い」
「アホタレ、危険なのはリュンクス様ではない。お主じゃ」
「えっ?俺?」
「そうじゃ、通常ではあり得ない魔力を持ち、幻獣様を従える人間。ダイサクが一番危険なのじゃ。もっとも王はリュンクス様をも恐れているがな」
「ルースはともかく、いくら俺に魔力があっても使い方知らなきゃ何も出来ない、今はそこそこレベルはあるけど、一国の脅威になんてなれないよ」
「うーむ、わしはな、いろんな人間を見てきた、お主と同郷の雅之もじゃが、お主ほど魔力操作ができる奴は他に見た事ないのじゃ、ましてや無詠唱などと、これが脅威でないと言えるか?言い方を変えれば、お主は頭で考えるだけで恐ろしい魔法を行使できると言うことじゃ」
「な…」
言葉が出なかった。
「ルースよ、其方の見解はどうじゃ?」
「ふん、あながち間違いではにゃい、確かに此奴には自覚が足りないにゃ。ダイサク、お前の魔力量は今の私より多いにょだ。これがにゃにを意味しているか解るか?」
「ど、どういうこどだよ」
「ふん、口惜しいが、戦いにおいて、お前は私に勝てる可能性があるという事にゃ」
「はぁ?!?!?!そんな訳あるかよ!」
「大ちゃん」
「ん?」
「ルース、嘘言ってないの…」
「あ、そうなんだ、まじですか…」
「ふん、だがまだまだ負ける気はしにゃいがにゃ」
「どうじゃ?少しは自覚したか?」
俺は言葉が無かった。
俺が何か想像しただけで、
何かを壊すなんて、
考えた事も無かった。
「マミよ、時が来たら明かすつもりだったが、私は偶然に現れた訳ではにゃいにゃ。今後、大きな戦いがあるかもしれにゃいにゃ。その為にダイサクとベルの側にいるにゃ」
「なんじゃと?それは本当か?」
「え?!どういう事?!」
無言で聞いていたラスティもシイも驚きを隠せないようだ。
「それ以上はまだ言えにゃいが、そう言うわけにゃ、此奴の自覚は確かに足りにゃい、しかし私がいる限り安心して良いにゃ」
目を丸くして驚いてるマミ。
少し間を置いて落ち着いたように話す。
「なるほど、どうやら御伽噺が始まってるようじゃな、ではこの話は終わりじゃ、ただしダイサク」
「はい」
「今まで通りの行いで良いが、自覚だけしておけ。あと、今日の行事もいつもと違う特別扱いじゃ。その事も知っておけ」
「分かりました」
また意味深な事を。
俺はただの大工だぞ。
せっかく家族も出来たのに、
大きな戦いってなんだよ?
でも、かも知れないってルースは言ってた。
て事は確定じゃないんだよな?
人殺しとか勘弁だぜ。
悶々としてるところに、
扉がたたかれる。
コンコン
「着きました」
着いた??
「えっそういえばこの馬車動いてたのか?」
「魔法で揺れなくなっとるのじゃ、降りよ」
マミちゃんに続いて俺達は馬車から降りた。
マミちゃんの案内で、
謁見の間に入る前の控え室に入る。
厳粛な雰囲気のある控え室だ。
「なんだか緊張する」
「ベルも」
「あ、あたしほんとに良いのかな??」
「ふん」
「ってかルース、お前王様には会わないんじゃなかったか?」
わざわざ人間の王に会いに来る事はしないと言っていたルースは、
結局俺たちに付いて来ている。
「にゃにを言うか、儀式が終わった後の宴が目当てに決まってるにょだ。王などには会わんにょだ」
「あ、そういう事」
さっきまでの真面目な話が嘘みたいだな。
まぁ要約すれば自覚だけしとけば良いって事だしな。
マミちゃん達がせっかくマナーを教えてくれたんだ。
ここはヘマしないように、
叙爵式に集中しよう。
俺は頭の中で、
教えられた順序を思い出す。
とりあえずイメトレだ。
「サクラ様、間もなくです。ご準備を」
控え室に入ってきた時の扉の反対側の正面に、
大きめの観音扉がある。
その脇に控えていた執事風の男性が、
俺達に声をかける。
「よし、みんなフォーメーションZだ」
解説しよう。
フォーメーションZとは、
ダイサクを先頭に、
右後ろにベル、
左後ろにラスティ、
ダイサクの真後ろにシイ
と言うダイヤモンド型の隊形の事である!
と、心の中でアニメのナレーションみたいに思ってみる。
少しは緊張が解けるかと思ったが、
そうでもないらしい。
とりあえずフォーメーションを整えて待つ。
すると観音扉が開き始めた。
いよいよか。
扉が全開になるのを待って、
フォーメーションを保ったままゆっくり歩き出す。
俺たちは控室を出たが、ルースはそのまま控室に残り、
扉がゆっくりと閉められていった。
15メートルくらい先に、
数段の横幅いっぱいの広い階段があり、
段の上には王座があった。
階段の作りは、5段上がって踊り場、更に5段上がって王座というように、大きく2段になっている。
観音扉から階段までの中央は、
赤い絨毯が敷かれ、その左右は薄いグレーの絨毯が敷かれている。
グレーの絨毯には、王都の貴族や金持ちなどの権力者達が綺麗に並んで立っていた。
俺達はその連中の間を、
ゆっくりと通り、階段を上がって行く。
最初の踊り場まできて、そこで跪いた。
「王のお出ましである、ひかえよ」
俺は跪いたまま頭を下げて待つ。
「表を上げよ」
顔を上げ王様の顔を見た。
いかにも王様って感じだけど、
優しそうな印象を受けるな。
「其方がサクラ・ダイサクか、思ったより若いではないか、此度の活躍、大義であったな、これからもこの国の為に尽くすと誓うか」
「はい、誓います」
「うむ、ではこれより叙爵の義を行う。」
なんだかめんどくさいな。
早く終わって欲しいものだ。
叙爵式は進み、
最後に王様からレイピアを受け取り終了となる。
俺はレイピアを受け取り、
初めて謁見の間にいる権力者達に向き合った。
もっとも俺達は踊り場の高い位置にいるので、
見下ろす形になる。
「あ」
シイが小さく声を上げた
ん?
あ!
シイの父親がいた。
物凄い青い顔でこちらを見ている。
俺と目が合ったかはわからないが、
俺の視線を感じて俯いてしまった。
まぁあんたが人の話をまともに聞かなかったのが悪いよね。
「ここに新たに伯爵の誕生である」
それから王様が謁見の間より退出するのを見送り、
司会の人、事務次官とか偉い人かな?
が言った。
「異例であるがこれより宴の間にて祝杯の宴を行う、王も出席するゆえ、そのつもりでいるように」
「ではこれで叙爵式終了とする」
俺達はまたフォーメーションZのままに、
控え室に戻る。
後ろで観音扉が閉められた。
「ふうぅ、終わったぁ〜」
「ふん、人間とはいちいち面倒だにゃ」
待っていたルースが退屈そうに言った。
執事風の男性が声をかけてきた。
「サクラ伯爵様、お疲れ様でございます。宴までしばらくお時間があります。宴の間の隣にお休みいただける部屋がございますので、そちらでお寛ぎくだい。ご案内いたします」
「あ、はい、くるしゅうない」
「それどういう意味?」
「わからん」
「「ふふふふ」」
「くすくす」
こうして俺は、正式に伯爵になった。
【読者の皆さま】
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白村
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