第六十九話 魔剣?
まずあのルビー級の馬鹿より俺が先によばれ、
俺は本日最初の相手と対峙している。
初日を勝ち抜いてきただけあって、
さすがに相手も強そうだ。
迂闊には手を出せない。
「さぁ開始からまだ2人は動かない、お互いに様子を伺ってるようだ」
実況がうざい。
とりあえず刀を抜くか。
俺はゆっくりと刀を抜き中段に構えた。
「おーっと剣を抜いたが、何だあの剣は〜、曲がってるぞー、スポンサーは鍛冶屋のスミス爺さんだ!、偏屈スミスと噂の鍛治士は、剣まで偏屈なのかぁ〜?」
どっと会場が笑いだす。
あーもー
「ちょっと黙っててくれるか?!」
俺は思わず実況に向かって文句を言ってしまった。
その隙に相手が何やら唱えだす。
ん?詠唱か?
じゃぁ悪いがお先に。
「かっちゃまん!」
俺は懐に入ってた短杖を、
予備動作なしで左手に「呼び出し」
炎の魔法をぶっ放した。
つまり、相手が何やら唱えてる間に、
2つの魔法を発動させていた。
一つは空間魔法の物質転移。
これは杖を買った次の日の朝に、偶然できた魔法だ。
今では杖に限ってだけど、直ぐに手の中に呼び出す事が出来るようになった。
もうひとつは、最初に覚えた魔法、
「かっちゃまん」だ。
杖の先に小さな火が点る様子がチャッカマンに似てるから、
最初はチャッカマンと唱えていたが、
ベルが言い間違えて、かっちゃまんになったんだ。
あの頃はまだ出会ったばかりだったな。
懐かしい。
おっと懐かしんでいる場合ではない。
試合に集中しよう。
突然現れた炎に、
相手は途中で詠唱をやめて炎を避けた。
「おわー!!何だ今のは!!いつのまにか握ってた杖から凄い魔法が飛び出したぞ!しかも変な事言ってなかったかぁ??詠唱だったのか〜」
会場がどよめく。
しかし、うん、これならどうだ?
俺は刀と短杖の両方をまとめて握り、
刀を上段に構えた。
「今度は何をする気だ?間合いはだいぶ離れているが、策はあるのかぁ〜」
うるせぇ実況だな、まぁあれも仕事か。
俺は刀を袈裟懸けに振り下ろし、
同時に水刃を放った。
当然ルース直伝の無詠唱だ。
「な?!」
刀は空を切るが、
その先に水刃が現れ猛スピードで相手に迫る。
というかこれなかなか良いかも。
刀を振る事で凄くリズムがとり易い。
相手は何が起こったかも分からずに水刃を食らって倒れた。
威力はだいぶ抑えてある。
本気で放ったら真っ二つに切れてしまうからな。
相手は上半身だけ起こして手を前にかざして来た。
ん?魔法か?
「参った、あんたの剣凄いな、降参だ」
あ、降参なのか。
ん?剣?
「うおおおーーー」
「なんか凄いもの見たぞー!!」
「勝者ダイサク!!ついに偏屈スミスは魔剣を作ったよーだー!!」
物凄い怒号のような歓声が上がる。
うるさすぎる。
っていうか、完全に刀が魔剣にされたな。
まぁ勘違いするような使い方を確かにしたしな。
まぁ良いか。
俺は勝ち進んだ者の入る控え室に案内された。
最初の控え室とは別室で、
個室だった。
ベスト8に残ったわけだから、
特別扱いになったって事かな。
ふぅやれやれだ。
ルースどうしたかな、
まだフォルンを助けてないのかな。
あまり時間が無いんだがなぁ。
しかし、今の戦い方なら間合いは関係なく攻撃できる。
こりゃ使えるな。
魔剣上等だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺は次の試合もまた次の試合も短杖と刀を一緒に振って相手を翻弄した。
呆気なく勝って今はまた控室で待機中だ。
決勝戦の相手は誰だろう。
やっぱりあの野郎かなぁ。
それにしてもルースは何をしてるんだ?
フォルンが助からないと、
奴が相手だった場合、
どう対処したら良いのか分からないぞ。
落ち着こう。
うーん。
コンコンと扉がノックされた。
「ダイサク様、決勝戦です、お願いいたします」
とうとう呼ばれた。
ルースは間に合わなかったか。
さて、どうしたもんか。
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白村
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