第六十八話 闘技会2日目
次の日、スミス爺さんの店に向かって鍛冶屋街を歩いていた。
「なぁベル」
「ん?」
「あのルビー級の男の変な幻術『見て』覚えたら、結構役にたつんじゃないか?」
「ふん、ベルにゃらたしかにあの幻術は相性が良いかもにゃ」
「そうなの?」
「そうにゃ、ベルが使う風魔法なら、幻術は相性が良いにゃ。相手に幻を見せる事も可能だし、ベルの風刃をより見えなくする事も出来るにゃ」
「ほほう、それは凄いな、覚えた方が良いね」
「じゃぁ『見て』覚える」
「見たら覚えられるんですか?」
と言うのはマティスだ。
マティスはベルの『見える』能力を知らない。
面倒だから教えないけどね。
さて、そろそろスミス爺さんの店なんだが、
ん?
なんか様子がおかしい。
人が集まってる??
俺達は慌てて店に向かった。
「なんだこの荒れようは?!スミス爺さん!フォルン!」
「フォルンー!」
「スミスさーん!」
「こっちにゃ!」
ルースの指す方に、
スミス爺さんが倒れていた。
「おい!大丈夫か爺さん!」
スミス爺さんを抱き起こすとルースが直ぐに治癒魔法をかけてくれた。
頼りになる。
「おぉ、ダイサクか、フォルンが、攫われた」
「なんだって?!」
「多分人質だ…」
「そうかアイツらだな。人質にとって俺に勝とうって事か」
「ここまでするとは思わなんだわ、どれ」
よっこいしょとスミス爺さんは起きて、
奥の作業場から俺の刀を持って来た。
「え?まさか直したのか?」
「そうじゃ、お前さんには勝ってもらわんとな」
「いや、それじゃぁフォルンはどうなる?」
「それまでじゃよ、もしこれでお前さんが負けたり、死にでもしたらフォルン自身が生きていけないじゃろ。ワシならそうするし、戦って勝って欲しいと願う」
まったく、この世界の住人はどんな価値観なんだよ。
「おいルース!」
「解ってるにゃ」
ルースはそう言って俺に触れて、
けっこうな魔力を吸って出て行った。
「なんじゃ?あの猫娘がどうした?」
「ルースに任せれば大丈夫なの」
「むしろ相手が気の毒かもな」
「「うんうん」」
俺は広い所で刀を抜き、
刀身を確かめる。
亀裂は見事に消えていた。
「すげ〜」
「解ってると思うが、流す魔力はくれぐれも気をつけるのじゃ、見た目は綺麗に治ってても、あくまでも応急処置じゃからな。無理をすればすぐ折れるぞ」
「ん、解りました。」
そろそろ時間だな。
「じゃみんな行ってくるよ。終わったらここに集合で。あ、スミス爺さん、フォルンはルースに任せておけば大丈夫だから、心配しないでくださいね」
「よほどあの猫娘を信頼しとるんじゃな、お主達は」
「だってなぁ」
「「ねー」」
「ま、見ててくれよ、必ず勝つから」
最後はラスティとベルに向けて言った。
そして俺は闘技場に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
闘技場の控え室。
これから戦う16人が大きな控え室に、
それぞれのスポンサーの武器防具を装備して、
順番を待っている。
俺はその控え室に入るなり奴を探す。
居た、直ぐに見つかった。
控え室の真ん中で仲間を連れて踏ん反り返ってやがる。
俺は真っ直ぐ奴の前に進んだ。
「よう、逃げずに来やがったか、それとも逃げられなかったのか?ぐふふふ」
やはり確定だな。
ゲスな奴だ。
「なんで俺が逃げなきゃなんないの?意味がわからない、それとも勝つ自信がないから、俺が来ない事を祈ってたのか?けけけけ」
「なんだとてめー、自分の立場分かってんのか?」
「俺の立場?それは社会的地位って事か?心配すんな、お前よりは確実に地位は上だ」
「減らず口を…!!」
「あ、兄貴、こいつなんでこんなに余裕なんだ?」
こないだフォルンにのされた男か、
頭悪そうだな。
「余裕に決まってるだろ、もう問題は解決したからな」
「ばかな!そんな筈はねぇ!ちゃんと捕まえてるんだぞ!」
はい馬鹿確定。
「何を捕まえてるって?剣が直って問題が無くなったという意味だったんだが、くふふふ、お前馬鹿だろ、もう少し頭使った方が良いぞ。」
「くっこの野郎!!」
兄弟揃って怒鳴りだした。
「おい!そこの!喧嘩は闘技試合でやれ!ここでの喧嘩は即失格だぞ!」
監視員が俺達に声を上げる。
控え室とは言え、
敵同士がいるんだから、
いざこざがあるのだろう。
俺は監視員に挨拶して、
その場から離れた。
ルース、頼んだぞ。
間もなくすると控え室の扉が開き、
出場者が2人呼ばれた。
俺の順番はまだのようだな。
しばらくするとまた出場者が2人呼ばれて出て行く。
そして俺が呼ばれた。
さて、行きますかね。
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白村
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