第六十話 宿場町出発
12月14日
さて、今日は宿場町を出発する。
マティスとの待ち合わせで、
王都への街道入り口に来ている。
「お、お待たせしてしまい申し訳ありません」
マティスが来た。
「大丈夫ですよ。では乗って下さい」
俺は愛車のスライドドアを開けて、
奥に座るように言った。
「な、何ですか?!この乗り物は?!」
あーめんどくさいなぁ。
「これは、異世界の乗り物だよ。早く慣れてくれ」
出口で衛兵に貴族プレートを見せる。
「王都に行くのですね、最近盗賊が出るらしいので、お気をつけて下さい。良い旅を」
「はい、ありがとう」
さぁ次に寄る街は王都の手前の街、
『ロマーシア』だ。
「さぁ次はロマーシアと言う街だ。どんな街かなぁ」
「ロマーシアは大きな街ですよ」
とマティスが言う。
「へぇ大きいんだ」
「……」
「ってそれだけ?!」
「あ、ごめんなさい」
「「あははは」」
旅は順調だ。
「ねぇ大ちゃん、何かかけて欲しいの」
「ん、そうだな」
iPadをポチッとな。
♪むむ、ちょこざいな小僧め!
名を名乗れ!
ちゃっちゃちゃーちゃっちゃちゃっちゃー
剣を取ったら日本一に♪
「これ何て言って…」
「うわー!!何ですか?!この声は?!他に誰かいるんですか?!?!」
あーもー
「「「「うるさい!!」」」」
しゅんとなったマティスはほっとこう。
静かになった。
♪夢は大きな少年剣士♪
「これは少年剣士になりたいって曲だよ。まぁライバルに負けるなって歌詞もあるね」
「剣士かぁ、せっかく魔剣もあるし、ダイサク達強いし、あたしも強くなりたいな」
ラスティは俺が守るよ。
とは言えず。
「旅の途中でも組み手しようか。ラスティにも合気道教えるよ。剣道もね」
「ベルちゃんと同じ体術?」
「そうだよ」
「あと、ダイサクとベルちゃんは無詠唱だよね?あたしにも出来るかなぁ」
「そう!そうですよ!無詠唱なんて聞いた事ありません、どうやってるんですか?」
マティスが息を吹き返した。
「うん、あれはちょっとしたコツがあるんだ。ルースが一番凄い。ラスティも出来るようになるよ」
「やっぱりあたしは魔法を極めたいな」
俺とベルの魔法の最初の師匠はマミちゃんだ。
今はルースだが、
ルースは気が向いた時にお手本を見せてくれるだけなので、
師匠とは言い難い。
マミちゃんか、どうしてるかな?
最初に魔石に魔力を流すところから始めたんだっけ。
あれで体内魔力操作を覚えたんだ。
うむ、体内魔力操作か。
「なぁラスティ、ラスティは体内魔力操作は普通にできるの?」
「普通って分かんないけど、んーどう表現したら良いかな」
あ、そうだ。
俺は思い付いて、
マミちゃんに貰った、
最初の魔石を収納魔法から取り出す。
「例えばこの魔石は、今は黒いけど、魔力を出し入れして色を変えられるんだ。こんな感じ」
俺は片手ハンドルで魔石に魔力を出し入れして見せる。
最初はあんなに手こずったのに、
今じゃ運転しながら片手間でできるようになってる。
魔力を流すと色が付き、
魔力を抜くと黒くなる魔石は、
まるで点滅してるかのようだった。
「ちょっとダイサク、あなたそれ普通にやってるの…?!」
「ん?あぁ普通にできるようになったよ」
「ちょっと貸して」
俺は魔力を抜いてからラスティに魔石を渡す。
「ふんっ」
ラスティが力んでいる。
魔石はゆっくりだが、
徐々に色を帯びていく。
しばらくして、やっと暗い赤に変わった魔石を持ったラスティだが、
心なしか疲れてるようだ。
「ふぅ、疲れた。ダイサク、あなた異常よ。何で顔色変えずにあんな事できるの?信じらんない」
「え?そうなの?ベルもできるよな?」
「大ちゃんほどじゃないけど、ベルもできる。と思う」
「その魔石は何ですか?」
やりとりを見てたマティスが聞いてきた。
「竜石にゃ。魔力の鍛錬にはもってこいの魔石にゃ。ダイサク、言っておくが、人間でお主ほど魔力操作が出来るもにょはにゃかにゃかいにゃいにゃ」
「えっ?!そうなの?魔法使いなら出来る物だと思ってた」
「そもそも魔力量からして反則にゃ」
「そうだよねー?ダイサクの魔力量はズルいよ」
「むぅそう言われてもなぁ、魔力量って訓練してると増えるんだろ?」
「増えるけど、そんな簡単には増えないよ。長〜い修行の間に増えていく物だから」
「ふむ。ダイサク、竜石は2つあったにゃ」
「あぁ俺とベルのとで2つあるよ」
「にゃらば、2つ同時にやってみるにゃ」
二つ同時か。
俺は一旦車を停めて、
もう一つを取り出す。
両手に竜石を持ち、魔力を込める。
「あれ?!何だこれ?!」
うまく出来ない。
「ふふふ、貸してみるにゃ」
ルースに竜石を渡すと、
ルースは両手同時に魔力を出し入れして見せた。
しかも速い。
「すげー」
「ベルもやりたい!」
ベルもやってみた。
「ん、あれ?なんだこりゃ??できにゃいの」
ベルさん、
ルースのにゃぁにゃぁ語が移ってますよ。
「ベルちゃん可愛い、ふふ」
俺も思ってた。
ラスティと心が通じた、むふふ。
「どうしてなの?」
「普通、魔法は一点から魔力を出すにゃ。それに慣れると簡単にゃんだが、二つ以上同時にとにゃると更に高度な魔力操作が要求されるにゃ。これが出来れば魔法に使う魔力量を更に効率よく操作できるようににゃるにゃ。因みに私は7個同時にできるにゃ。さて、お前達はにゃんこ同時にできかにゃ?」
「そう言う事か。俺達はまだまだ魔力操作が甘いんだな。でも魔力量が上がれば効率はあまり考えなくても良いんじゃないのか?」
「ふん、魔法戦において、魔力量は重要にゃ。しかし同じ魔力量の者同士の戦いにゃらどうにゃる?」
「駆け引きとかじゃないのか?」
「違うにゃ。確かに駆け引きも大事だが、勝敗を大きく分けるにょは、魔力操作にゃ。ラスティは無駄が多い、私にゃらあにょ氷にょ魔法を半分以下にょ魔力で撃てるにゃ」
「なるほど、魔力操作が上手くなれば、実質的に魔力量が増えたのと同じと言うことか」
「まぁそんなところだにゃ。魔力操作は基本で武器にもなるにゃるし、魔力操作を鍛えれば魔力量も増えやすくにゃるにゃ。とりあえずラスティオは魔力操作を鍛える事にゃ。お前達は2つ同時が課題にゃ。できるようににゃったらベルにょ能力も格段に上がるにゃ」
珍しくルースが課題をくれた。
どういう風の吹き回しだろうか。
「僕も魔法がつかえたらなぁ」
マティスがボヤく。
「お前には魔力がにゃいから無理にゃ」
「ですよねぇ」
この世界の魔法は、
魔力を持って産まれた者にしか使えない。
誰でも使える訳ではない。
ベルは豊富な魔力量の他に、『見える』能力を持って産まれた。
かなり稀な人間。
俺は異世界から来て、さらに魔力も相当な量だ。
俺もかなり稀だ。
ラスティは魔力こそ持って産まれたが、
俺やベルみたいに稀という訳ではないらしいが、
魔力無しからするとかなり羨ましいらしい。
魔力を持って産まれる人間は、全体のおよそ3割程度らしいが、魔法使いになれるのはさらにその1%程度らしい。俺達はそう言う意味では全員稀な人間のようだ。
ラスティは早速竜石を使って魔力操作の練習を始めた。
ベルもとりあえず一個の竜石で練習している。
「うーん、何かコツみたいな物ってあるの?魔法学校でも習ったけど、なかなか上達しないんだよね」
「ラスティは魔力を送る時力んでるよね?俺とベルはリラックスしてやってたよ」
「そうなの?力入れないの?魔法学校では力を入れるように魔力を送るって習ったから、自然と力むようになったんだよ」
「ルース、その辺どうなの?」
「力は必要ないにゃ。体内にょ魔力に向き合うにょに、筋肉にょ動きは邪魔にゃ」
「そうなんだ。ルースが言うんだから間違いないよね。習った事が間違ってたなんて思わなかったよ」
「ラスティ、魔力操作だけじゃないよ、魔法って龍語以外使えないって習うんでしょ?多分それも間違い。龍語以外でも使えるし、それが理解できたら無詠唱もできるよ」
「ほんと?!龍語以外は無いって、確かに言われたわ。無詠唱なんて賢者様でも無い限りは出来ないって言われたよ。あーあ、習った事無駄だったんだなぁ。最初からやり直すしかないのかな」
「いや、無駄ではにゃいにゃ。魔法にょ経験が有ればイメージしやすいからにゃ。その魔法を詠唱ではにゃくイメージで発動するにょだ」
「イメージ?できるかなぁ」
「大丈夫、ラスティならできるよ。でもまずは魔力操作だね、俺も頑張ろう」
俺は車を走らす。
マティスはいつのまにか寝てしまっていた。
まぁ車は何故か眠くなるからな。
静かで良い。
陽が落ちる前になるべく進んで、
適当な場所で最初の野営の準備だな。
【読者の皆さま】
いつも読んでいただきありがとうございます。
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白村
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