第五十九話 冒険者ランクとパーティー名
俺はすれ違うベルに声をかけた。
「よくやったな!凄いぞベル」
「うん、ありがとう」
少しはにかんだベルは、
やっぱり可愛い。
可愛いは正義だ。
「あなたは剣士ですか?」
対面した俺にリオが質問してくる。
「えっと、魔法も使えるし、剣も使えるし、体術もいけます。俺は何に分類されますか?」
「一番得意なのは何ですか?」
「体術ですね」
ギャラリーが騒つく。
「おいおい、何でも出来るとか、ハッタリもいい所だぜ」
「あんなヒョロい奴が体術だとさ」
「どうせ女に守られてるお貴族様だろ?」
などなど聞こえてくる。
ま、気にしない。
リオも全く気にして無いようだ。
「その魔力量で体術が得意ですって?あなた方は面白い人達ですね」
ん?俺の魔力量が分かるのか?
「魔力量が分か…!!」
会話の途中のつもりだったがいきなりリオが攻めて来た。
咄嗟に合気道で受け流す。
リオの突きは速く、
普通なら受けられなかった。
『魔筋強化マジックドーピング』発動。
動体視力から身体能力までを、
体内魔力操作で強化する。
俺は型を空手に変えて突きを放って牽制した。
リオは間合いを取って距離を取る。
「体術が変わりましたね」
「凄いですね、分かるんですね」
「私も体術はそこそこ自信がありますので」
そう言ってリオは距離を取って短杖を構えた。
おいおい、今体術自信あるって言ったよね?
それでいきなり魔法かよ。
詠唱が始まり空気が熱くなる。
火魔法か?
俺も短杖を構えた。
リオの詠唱が終わると同時に言う。
「かっちゃまん!」
カチッと言う音と共に火炎が出る。
同時にリオからも火炎が上がり、
お互いの火炎がぶつかる。
「うおー!なんだよこりゃぁ!」
「すげー!」
「リオさんも本気なのかぁ?!」
などなど聞こえてくる。
火炎が治まるかどうかのタイミングで、
リオはいつのまにか剣を上段に構えて炎の上から切りかかって来た。
なんだよその波状攻撃は?
今度は剣技かよ。
俺は刀を抜いて剣を受ける。
ガキーンと言う音が響いた。
「なんだ?あのレイピアは?」
「あんな細くて曲がった剣なんて初めて見たわ」
俺は間合いを取るべく、
受けた大勢からリオの腹に蹴りを放って距離を取った。
意外とあっけなく蹴りが入ったが、
魔鎧のせいだろうか、
手応えを感じなかった。
しかし距離を取るのには成功した。
俺は刀を上段に構えてリオに向き合う。
「あんな構え初めて見たぞ」
「なんなんだあいつは、いや、あいつらは」
リオはしばらくこちらを伺っていたが、
ゆっくりと剣を下ろした。
「隙がないわね。ここまでにしましょう。あなた本気じゃないみたいだし」
ばれてーら
「そんな事はないですよ。翻弄されっぱなしでビビりました」
「これはあくまでもランク査定です。本気を出さないと正しい査定は出ないですよ」
リオは微笑みながら言った。
「それにしても、その剣は何?凄い切れ味ね」
リオは刃こぼれした自分の剣を見ながら質問してきた。
俺は刀を鞘に収めながら答える
「これは俺がいた国の『刀』と言う剣です。こっちの世界には無いので、俺が鍛冶屋に頼んでお遊びで作ったんですよ。今度本格的に作ってみようと思ってます」
「お遊びでこの切れ味なの?作り方が分かれば誰でも作れるのかしら?」
「腕の良い鍛冶屋と、良い鋼、あと良い砥石があれば、これよりもっと凄いのが作れますよ。」
「そう、世界を変えるかもしれないわね」
「ダイサク、お疲れ様」
「おつかれなの」
「ありがとう、ラスティ、ベル」
ルースはつまらなそうにアクビしてる。
「この使い魔は強いのですか?」
「えぇ、この中では一番強いですよ」
多分世界一強いかもな。
「ご冗談を。実力を見ましょうか?」
『ふんっエルフ風情が何を言うか』
「おいおいルース、穏便に頼むよ、強いのは本当ですよ。でも査定はしなくて良いです」
「そうですか、残念ですね」
エルフって戦闘民族じゃないよな?
「てかさ、なんか忘れてないか?」
あ、マティスが気を失ってる。
「こいつ忘れてたな。いつから寝てるんだ?」
「さぁ?気が付いたら寝てたの」
「一体何にショックを受けたのかな」
「救護室に運ばせましょう、あなた方はロビーで待ってて下さい」
俺達はロビーに行き、
適当に空いてる席に座った。
周りは静かだ。
最初に来た時のような好奇の目線は無く、
どちらかと言えば怯えてる感じがするのだが、まぁ気のせいだろう。
俺は暇なので、掲示板の依頼募集を見てみた。
ふうん、ランク毎に依頼が分けられてるんだ。
すると一人の男が話しかけてきた。
「なぁあんた、依頼を請けるのかい?」
「いや、今暇だから見てるだけで、特に依頼は請けないよ。俺はこの世界に疎いしね。今回は登録だけさ」
「そうか、あんた意外に話しやすいな、安心したよ」
「そうかい?」
いつもの調子で話してるだけなんだが。
「あんた達のパーティー名教えてくれよ」
「すげー強いんだな、驚いたぜ」
などなど、口火を切ったがごとく、
周りから急に話しかけられてきた。
てか、パーティー名?
「パーティー名って?」
「知らないのかい?」
「俺はこの世界の事に疎いので、知らない事だらけなんだよ」
「パーティーは分かるかい?」
「一緒に冒険する仲間でしょ?」
「ああ、そうだ。普通はそのパーティーにも名前を付けるんだよ。」
「なるほど。どんな名前が多いの?」
「俺達は『黒の剣』だ。かっこいいだろ」
「私達のパーティーは『光の槌』です」
ふむ、何何の何何と言う感じが普通みたいだな。そう言われてみると『闇の城』もパーティー名みたいだな。
「なるほど、みんな個性的で良いね。自分達のは考えてもみなかったな」
俺は席に戻りみんなに聞いてみる
「パーティー名だってさ。どんなのが良い?」
「ベルは、大ちゃん青いから、『青』って入れたい」
ベルにとっては俺のイメージが青なんだろうな。
俺は白が好きだな。
「あ、あたしは、ダイサクに貰った服の色が好き」
白じゃん。
意見が同じだ。
「ルースは?」
『私は黒いぞ』
だよねー
「ルースはなんて?」
「黒だってさ。てか好きな色を言うんじゃなくて、パーティー名な」
「あ、そうだった」
てへっとするラスティも可愛い。
萌え死にしそうだ。
いっその事『萌える軍団』にしようか。
「ルースはあたし達の守護魔獣なんだよね、だったらいっその事、『黒猫』で良いんじゃない?」
宅配業者みたいだな。
「ラスティそれは良いんだけど、俺の世界ではクロネコって有名な商会があったからちょっと微妙だよ。でもそうだな、リュンクスにあやかってみても良いね」
「へぇあんた異世界人なのにリュンクス様は知ってるんだな。良いじゃないか」
俺達の話を聞いていた外野から声がかかる。
「ああ、機会があってね。お伽話を聞かされたんだよ」
以前、マミちゃんが話してくれたっけ。
そのリュンクスがここに居るんだけどね。
「お待たせしました、ダイサクさん、ランク決まりましたよ」
おっと、パーティー名が決まらずにリオさんに呼ばれた。
「はい」と返事をしてカウンターに行こうとしたら、
「そちらに行きます」と言われ、
俺達は座ったままリオの話を聞く事になった。
周りの冒険者達も静かにリオの言葉を待っている。
そこへマティスが気まずそうにやってきた。
気が付いたようだ。
「あの、なんかすいません…」
マティスは俺達に一礼すると、
壁際の椅子に座った。
リオは静かに口を開く
「まずはラスティオさん。あなたのランクは『金』です」
「おお、いきなり金だぜ!」
「ラスティオちゃーん!」
などなど外野が騒ぐ。
「お静かに。ラスティオさん、あなたの魔法には創意工夫が見られました。あの断続的な魔法は評価に値します。良い師匠に付けば大魔法使いにもなれるかもしれませんよ」
「ほんとですか?嬉しいです、ありがとうございます」
ラスティは嬉しそうに、
リオから金の冒険者プレートを受け取った。
おお、パチパチパチパチ
拍手されてる。
可愛いは正義なんだな。
「次にベルさん。一つ質問があります」
「はい、なんでしょう?」
「このわたしは、何色ですか?」
あ、やっぱりバレてる。
「えっと、あの」
「良いよベル、答えて」
「うん、リオさんは黄色です」
「正解、ベルさんは黄緑ですよ。『同じ』ですね」
ベルはもちろん、俺も驚いた。
「『見える』のか?」
「ええ見えますよ、最初ダイサク様を見た時は悪魔かと思いましたわ」
悪魔とは失礼な。
「ベルさん、あなたのランクは白金です。」
「すげー、白金なんて10年かかるって言われてるのに…」
「あの若さで…」
「可愛いなぁ」
などなど聞こえる。
「その若さでその魔力量、凄いの一言です。魔法はほぼ無詠唱でしたね。体術まで会得されてるようですが、護身術ですか?」
「合気道という俺の故郷の体術です。護身術と言えば、そうなのかも知れませんが、襲って来た相手にはめっぽう強い体術ですよ。」
「そうですか、現状では白金以上は間違いないですが、歳を考慮して白金に留めました。どうぞ。」
そう言ってリオは冒険者プレートをベルに手渡す。
「ありがとうございます」
「は、白金以上って…」
「最年少じゃないのか?」
「可愛いのにすげぇ」
などなど聞こえる。
「では最後にダイサクさん。あなたのランクはサファイアです」
「いきなりサファイアかよ!」
「そんな戦いに見えなかったけど」
「初めて見た」
周りが騒つく。
「恐らくあなたはまだ能力を隠してますね。無詠唱といい、体術といい、剣術も隙がありませんでした。文句なくサファイアでしょう」
「ありがとうございます」
俺は冒険者プレートを受け取る。
俺のプレートだけは、
中央にサファイアと思しき宝石が嵌められている。
「あとは、パーティーランクですが、銅ランクからのスタートになります。」
「最下位スタートですか?」
「そうです。個人の冒険者ランクは、強さの指標になりますが、パーティーランクは強さと同時に信用度の指標になります。いくらお強くても、信用できない人に依頼は出せませんので」
「つまり、依頼をこなして信用されればパーティーランクも上がると言う事ですね」
「はいその通りです。まぁあなた方なら、直ぐにパーティーランクも上がるでしょう」
「銅ランクパーティーにサファイア級冒険者がいるって、あまり聞かないな」
誰かの呟きが聞こえてきた。
「では、パーティー名を教えてください。パーティー名を登録して終わりになります」
あーそうだったな。
「無敵のサクラと言うのは?」
ラスティさん、センスないよ
「うん、却下で」
「確か、サクラって花があるんだよね?」
「あぁ、桜ね。うん…、なら、『さくら組』というのはどうだ?」
「変わってるけど良いかも」
「ベルもそれが良いの」
「決まりだな。ではパーティー名『さくら組』でお願いします」
「うふふ、変わったパーティー名ですが、響きが素敵ですね。はい、『さくら組』確かに承りました」
「さくら組か!変わってるけど良いな!」
「あんたら、名を上げてくれよな!ここに居合わせた俺らも鼻が高いからよ!」
などなど外野が騒ぐ。
名を上げるつもりはないんだがね。
そもそも冒険者登録したのは、
メリットがあったからであって、
冒険者稼業をしたい訳ではないからな。
「あ、あのう、すいません」
マティスだ。
忘れてた。
影の薄い奴だな。
「みなさんがこんなにお強いとは思ってもみなくて、ショックで気を失って、ご迷惑をお掛けしました。その、僕はどうしたら?」
「王都まで一緒に行きたいという話しだったね。どうする?」
「あたしは構わないよ」
「ベルも良いけど、車だよね」
「口を挟んでごめんなさい」
リオが割り込んできた
「マティスさんでしたか?王都に行きたいなら、さくら組のみなさんに護衛依頼してみては?今なら銅ランクなのでお安いですよ」
「なるほど、さくら組のみなさんはそれで良いですか?」
「そう来たか」
「さくら組のみなさんも王都には行かれる事ですし、ついでに初依頼を請けてみては?」
「まぁじゃぁそれで良いか」
「では決まりですね。ギルドとしても手数料が入るので丁度良いです。ありがとうございます。では手続きしますのでお待ちください」
そう言ってリオは奥に引っ込んでいった。
「なんかすいません」
「あぁ良いよ。ついでだし、旅は道連れってね」
「そんな言葉初めて聞いた。異世界の言葉?」
「うん、旅は道連れ世は情けって言うんだ。意味はよく分かんないけどね」
「ダイサクさん、用意できました。依頼を達成しましたら、王都のギルドにこのカードを出して下さい。マティスさん、料金はこの金額です。依頼料として収めて下さいね」
「はい、では今日は失礼します。リオさんいろいろとありがとうございました。」
「さくら組のみんな元気でな!」
「美人姉妹も達者で!」
「またな!名を上げろよ!」
などなど外野が騒ぐが、
ラスティとベルは姉妹ではないよ。
まぁ良いか。
「皆さんもありがとうございました」
こうして俺達はギルドを後にした。
パーティー『さくら組』の結成だ。
【読者の皆さま】
いつも読んでいただきありがとうございます。
小心者の私に、
↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。
よろしくお願いします!
白村
↓ 作品一覧はこちら ↓
https://mypage.syosetu.com/1555046/




