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トンネルを抜けたら異世界だった  作者: 白村
第二部 旅路編
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第五十八話 冒険者


思わぬ掘り出し物を買った俺達は、

目的である食材が売っているエリアに入っていた。


「すげぇ、なんか新鮮だな」


「ベルもこういうの初めてなの」


いろいろな出店にさまざまな食材が所狭しと売られている。


アメ横を思い出すな。


今はどうか知らないが、

以前の年末のアメ横はかなりの人が買い物に来ていた。

シャケやカズノコなど、様々な物が売られていたっけ。


俺は旅に必要な食材を見繕って買っていく。

収納魔法があるから、

保存食以外でも大丈夫だ。


やっぱり肉を大量に買うべきだな。


バーベキューみたいに出来たら楽しいだろう。

後で鉄板も買うか。


そんなこんなで買い物をしていたら、

声を掛けられた。


「あのぅすいません」


「はい、なんですか?」


見ると冒険者風の少年だった。

歳は18くらいかな。

胸当てや肩のガードと言った装備に、

腰には剣を下げている。


「あなた方も冒険者ですよね?」


冒険者では無い。

あまりにも美少女三人が目立つので、

冒険者風にして目立たないようにしているだけなのだ。


もっともルースは特にカモフラージュはしていないのだが。


しかし、なんと答えようか。

カモフラージュですぅ。

なんて言っても大丈夫かな?


「えっと、私達は冒険者の格好してますが、冒険者登録もしてないので、冒険者では無いです」


答えたのはラスティだった。


「冒険者って登録するんだ?」


「うん、冒険者ギルドって所で登録しないと、冒険者として活動出来ないんだよ」


「冒険者の活動?」


冒険者と言うのは、冒険者ギルドに登録して初めて冒険者になり、

主にギルドの依頼を請けて報酬を得ているという事だった。

冒険者って、ただ冒険すれば冒険者になれる訳ではなかったんだと、初めて知った。


「それは冒険家だよ」


「あそっか、あははは」


「あ、あのぉ…」


あ、冒険者のお兄ちゃんをほっといて、身内でばかりで話していた。


「あぁ、ごめんごめん、なんだっけ?」


「ですから、あなた方が冒険者だと思っていたのですが、これから登録するのですか?」


「いやぁ、どうなの?」


俺はラスティに聞いてみた。


「え?!あたし?ま、まぁ旅をするなら冒険者登録しといた方が、何かと良い事あるかもしれないけど、登録する?」


「良い事って?」


ラスティが言うには、

冒険者にも貴族同様に、

冒険者の登録プレートがあるそうだ。

冒険者のランクが一目で分かるようになっていて、

ランクが高いとそれなりに信用度も高く、

周りから信頼されるそうだ。


貴族のプレートは身分を表すが、

貴族だからと言って、

信頼されるかはまた別の話し。


冒険者プレートなら、

その本人の強さの指針にもなり、

また、魔物を退治したとしても、

ギルドに証拠を持ち込めば、

報酬だったり、買い取りだったりと、

お金にもなる。


なんにせよ冒険者登録しといて、

とりあえず損は無いそうだ。


「じゃぁ登録しとくか。あ、君は登録してるんだよね?」


俺は冒険者のお兄ちゃんに確認したところ、


「これが登録プレートです」


ドッグタグのようなプレートだった。

それを見たラスティが言う。


「銀のプレートですね」


ラスティに見られて、

お兄ちゃんはちょっと赤くなっている。


おいおい、この美人は俺の妻だぜ。

惚れるなよ。


「はい、銀ランクです。あのそれでもし良かったら、一緒にパーティー組んでもらえませんか?」


「「「「ん?」」」」


「ルース、それってどうなの?」


「なんで私にフルにゃ?!知らんよ。好きにすればいいにゃ」


「ん〜」


「あの、だったらせめて王都まで同行出来ないでしょうか?王都に行きたいのですが、パーティーから外されて一人になってしまって、行きたくても行けないんです」


「そうなの?」


「ダイサク、普通は一人旅は危険なんだよ。」


「え?だってラスティは実家から一人旅じゃなかった?」


「あそこは特別、普通は魔物とかいて危険なんだけど、リピアの街とサクラの街は、世界的にも魔物が居ない地域で有名なの。でもこの先からは多分魔物も出てくると思うから、一人旅はよほど強くないと出来ないよ」


「「へぇ」」


俺とベルはラスティの説明を聞いたが、

へぇとしか出て来なかった。

でもまぁ、一般人には危険なんだな。


「まぁそう言う事なら、俺は同行しても良いけど、ラスティとベルはどう?嫌だったら断るよ」


「そんな本人の前で言わなくても…」


ラスティが気まずそうに言う


「あー、そうだ、俺はダイサク。君は?」


「あ、すいません申し遅れました。僕はマティスと申します」


「私はラスティオです」


「あたしはベル」


「ルースにゃ」


「はい、皆さんよろしくお願いします。」


「みんなどうする?」


「私は良いよ、困ってるみたいだし」


「ベルも良いの、でもマティスさんは何でパーティーから外されたの?」


「はい、僕以外のメンバーは、みんな金ランクに昇格したのですが、僕だけ銀ランクのままになってしまって。パーティーの決まりだったんです。昇格が同時に出来なかったら、外されるって」


「ふうん、なんか薄情な話しだな、ルースも良いか?」


「構わないにゃ。でもこやつは守護対象外にゃ」


「あぁしょうがない」


「守護とは?」


「うん、こいつはこう見えてとても強いんだ。俺達の使い魔で守護してくれてる」


「えっ?!そうなんですか?!こんな可愛い獣族の猫ちゃんが?」


「そう言えば、ルースは冒険者登録するのか?」


「しにゃいにゃ、多分ランク試験にゃる物があると、大変にゃ事ににゃるにゃ」


「あ、確かにそれは言える」


ラスティが同意する。


「じゃぁ使い魔らしく、ギルドには仔猫で行こうか」


「仕方にゃい」


ルースはそう言って俺の足に触れた。


あ、魔力吸われた。


そしてルースは仔猫に変身した。


「うわっ、猫ちゃんが仔猫になった?!」


それ同じ猫だよ。


思わずマティスに心の中で突っ込んだ。


「驚かせてすまない、こいつ魔獣なんだよ、て言うかルース、今魔力持ってったろ、仔猫に変身するのに必要か?」


『ふんっ言ったろ、私はあの姿で定着したのだ。今後はあの姿が元になるのだ』


「あらそう」


ルースの生態は謎だ。

ま、猫髭美少女は可愛いから良い。


ルースとはいえ、

可愛いは正義だ。


まぁ髭が残念ではあるが。


「んじゃ冒険者ギルドに行くか」


俺達一行は冒険者ギルドに向かう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


冒険者ギルドは町や都市、

人が集まる場所ならどこにでもある。

国家とは離れた組織で、

国の法律とは別に独自のルールで動いているそうだ。


ギルド本部は別の国にあるそうだが、

各国の各街や都市などに、

大小様々なギルド支部がある。

ここの宿場町も例外ではなく、

ギルドはある。

サクラの街にも冒険者ギルドはあるが、

そもそも魔物など、

冒険者の獲物が居ない地域なので冒険者もほとんど居ない。

そんなサクラの街の冒険者ギルドは、

小さい物だった。


ではこの町はどうかと言うと、

サクラの街の冒険者ギルドよりは規模が大きい。

まぁそれだけ冒険者の人数も多いのだろう。


俺達はギルドの扉を潜ると、

広いロビーのような空間が広がり、

その奥にカウンターがあって、

受け付けにはお姉さんがいた。


ロビーには何人かの冒険者と思われる人達がいる。


「おい見ろよ新人だぜ。」

「なんだ?あの曲がったレイピアは」

「すげ〜美人だな」


などなど聞こえてくる。


「気にしないで下さい、みんな新人に興味があるだけですから」


マティスがそう言ってくる。

俺も特に気にしてる訳ではないが、

ラスティとベルはちょっと気まずそうだった。


「こんにちは、冒険者ギルドへようこそ。今日は登録ですか?」


受け付けのお姉さんが声をかけてくれた。

美人だ。

よく見ると耳が尖がってるし、

なんだろ?人間とはちょっと違った雰囲気がある。


『エルフ族だ。珍しいな』


『へぇこれがエルフ族』


「エルフは珍しいですか?」


つい見入ってしまった俺に、

エルフのお姉さんが言ってきた。


「あ、いや、ごめんなさい。美人さんなのでつい」


「あら、それは嬉しいお言葉ですが、説得力ありませんね、お連れの方々はお美しいですし、失言ですよ」


お姉さんは笑顔で忠告してくれた。

俺がラスティとベルを見ると、

ジト目で見られていた。


「えっと、すいません、ほんと言うと仰る通り、物珍しくて見ていました。俺は実は異世界人でして、俺がいた世界ではエルフ族は想像の世界にしか居ない種族なのです。それが目の前に現れたと思うと、つい。すいません失礼しました」


お姉さんは目を丸くしていてが

驚いていたのはマティスもだった。


「えっ?!異世界人ですって?!」


大声で驚いたマティスの声に、

ロビーが騒つく。


「おい、異世界人って、例の街の?」

「成り上がりが冒険者?」

「本当か?!」


などなど聞こえてくる。


俺は思わずジト目でマティスを見てしまった。


「あっす、すいません!」


「まぁまぁ、私も驚きましたので、穏便にお願いします。そちらの方々も少々うるさいです。お静かに」


お姉さんがピシャリと言った。

場が静かになった。


「すいません、ここギルドは身分よりも実力が重要なのです。どうかお許しください」


「へぇ実力主義ですか、それはワクワクしますね」


俺の発言にお姉さんは、

きょとんと驚いたあと、

笑顔になった。


「なるほど、あなた様が異世界人なのだと、なんとなく分かった気がします」


ラスティとベルが、うんうんとうなずいている。


解せぬ。


「では、こちらに記入をお願いします。書き終わったら、ランク試験を行います。よろしいですか?」


「はい、お願いします」


それぞれ記入が終わり、

次はランク試験だ。


俺達はギルドの裏にある試験場に来ていた。

体育館みたいな所だった。


ギャラリーも集まっている。

ロビーにいた連中だ。

領主がどんな実力か見てやろうと言うのだろう。


試験場の中央からやや外れた場所に、

受け付けのお姉さんが出て来た。


「あれ?いつもの試験官じゃないのか?」

「リオさん自ら相手するのか?!」


などなど聞こえてくる。


試験と言うのは、

模擬戦で行われるようだ。

ギルドの職員が模擬戦を行い、

ランクの査定をするらしい。


しかしこのエルフのお姉さん何者だ?

ただの受付嬢じゃないのか?


「申し遅れました、私はここのギルドマスターをしております、リオと申します。よろしくお願いします。では、早速始めましょうラスティオさん、お願いします」


ギルドマスターと言ったか?

実力主義の冒険者ギルドでギルドマスターという事は、

かなり強者なのではないだろうか?


これは驚いた。


『ルース、あのお姉さん、リオさん強いのか?』


俺は念話でルースに聞いてみた。


『強いのではないか?そもそもエルフは人間よりも遥かに長命で、魔力量も多い、よほどでない限りエルフに勝てる人族は少ないだろう』


「なるほどぉ、ベル、あのお姉さん何色?」


「黄色だよ。最初に見ちゃった」


何気ない会話のつもりだったが、

リオさんはこちらを見て驚いているようだ。

いや、ベルを見てるのか?


今の会話が聞こえたのかもしれない。


ラスティが位置に付いた。


「いつでも初めて下さい」


リオがラスティに声をかける


「はい、では行きます」


ラスティは買ったばかりの短剣を抜いて構えて詠唱を始めた。


実は俺もラスティの実力は知らない。

確か得意は水系の魔法だったかな。


「おい、短剣構えて詠唱してるぞ」

「魔剣か?!」


ギャラリーがうるさいな。


俺はラスティの魔法を注視する。

ラスティの周りには次々と氷柱(つらら)が形成されていく。


「アイシクルショット!」


ラスティの号令で氷柱は一気にリオ目掛けて飛んで行く。

リオは無表情のまま、

短杖を構えて何か唱えた。


次の瞬間、リオの前に到達したラスティが放った氷柱は、リオに届く前に砕けて散った。

まるで透明な壁でもあるようだ。


『魔障壁だな』


ルースの解説が入る。


ラスティは氷柱を発射し続ける。


リオはそのままゆっくりと間合いを詰めている。


「おい、あのねぇちゃん凄くないか?」

「何であんなに連続で魔法が撃てるんだよ」

「リオさんが障壁出したままなんて初めてみたぜ」


などなど聞こえてくる。


『なぁルース、ラスティって凄いのか?』

『ふん、なかなかやりおる。詠唱する魔法使いは、普通は断続的に魔法は撃てないものだ。』


「そうか!ラスティがんばれ!」


「ラスティお姉ちゃんがんばって!」


『しかし、すぐに魔力が尽きるな。まだまだ無駄が多い』


ルースが言うようにラスティには疲労の色が見えてきた。

そしてすぐに片膝を付いて氷柱魔法が止まった。


「これまでね、あなたその魔法をどこで?」


「はぁはぁ、自分で考えて出来るようになりました。はぁはぁ」


「分かりました。では交代、次はベルさんです」


戻ってきたラスティに、

ルースが治癒魔法で体力を回復させた。


「凄い、あんなに疲れてたのに、ありがとうルース」


「にゃん」


念話とのギャップがパネーわ。

と、ベルを見てやらないと。


「なぁ、使い魔は参加しなくて良いのかな?」


何気ない俺の言葉にリオが反応した。

離れているのに、

ずいぶん耳が良いんだな。


「ベルさんはテイマーなの?それとも魔法使い?」


「んー、少なくともテイマーではないかな」


「なら、ベルさん一人でお願いします」


「分かりました」


「では始めます。いつでもどうぞ」


ベルは短杖を構える


「それは…ユニコーンの杖?!」


「はい、そうです、行きます!」


ベルは杖を真っ直ぐリオに向けて言った。


「かっちゃまん!」


杖から炎の柱が現れ、

火炎放射のごとくリオに伸びていく。


「おいっなんだ今の詠唱!」

「詠唱なのか?!」


驚いたギャラリーが騒ぐ。

しかし一番驚いたのはリオのようだ。

一瞬のうちに自分に迫ってくる炎に、

魔障壁を出す暇など無かった。


リオは咄嗟に横っ飛びに炎を躱す。

ベルは狙いすましたように杖を横に振った。


「えい!」


炎を躱し横に飛んだリオは、

何かに切りつけられる衝撃を食らった。

吹き飛ばされ地面に転がる。


「あ!だ、大丈夫ですか?!」


ベルが慌てるが、

飛ばされたリオは手を挙げて大丈夫アピールしてる。


「おい、俺リオさんがダメージ受けたの初めて見た」

「あのチビ何者だ?!」

「ていうか何が起きたかわかんねーぞ」


「ふぅ、油断しました。まさか無詠唱なの?」


ベルが炎の後にリオを狙って放った魔法は、

風の刃の魔法だ。

名付けて『ウインドカッター』


風は見えない。

見えない刃が襲ってきては手の打ちようが無いのだ。


ベルたん恐るべし。


まぁ俺達はルースに魔法の指導を受けている。

できて当然なのだが、周りは衝撃を受けたようだな。


でも待てよ、

リオにはダメージが無いように見えるが。


『身体に魔鎧を纏っている。派手に飛ばされたがダメージはほとんど無いだろう。あのエルフも侮れないぞ』


「リオさんもすげ〜んだな」


「さすがはユニコーンね。では今度はこちらから行きますよ」


そう言うと今度はリオがベルに向かって突進していく。


「えい!えい!」


ベルはウインドカッターを放つが、

どれもリオの動きを捉える事が出来ない。


「ベル!」


思わず声が出た。


ベルは短杖を仕舞って構えた。

合気道の構えだ。


リオは間合いに入る寸前に止まってベルと対峙した。


良い判断だ。

あのまま突きを放ってたら、

ベルに投げ飛ばされていただろう。


「あなた体術もできるの?危なかったわ」


「おい、リオさんが止められたぞ」

「すげー」


などなど聞こえてくる。


「かかって来ないの?」


リオがベルに聞いている。

そりゃぁそうだ、

合気道は受けてこその武道。

攻撃手段は無い。


「えっと、あたしが習っている体術は、受けてこそ威力がある武術だそうです。だから、攻撃手段は無いんです」


「そうなの、分かりました。ここまでにしましょう。あなた強いのね」


「ありがとうございます」


「では、最後にダイサクさん、お願いします」


「はい」


俺はゆっくりとリオの前に歩き出す。






【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

https://mypage.syosetu.com/1555046/


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