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トンネルを抜けたら異世界だった  作者: 白村
第一部 ギオールの街編
55/87

第五十五話 初の旅路

龍暦1847年12月8日


さて、改めて出発だ。

俺の屋敷にはアルバを始め、

マルコス卿、タルタスが来ている。


そしてセバスチャン、ロッテンマイヤー、

メイド達が勢揃い。


他には新たに雇った執務官と執事も居る。


「では、行って参ります!」


「三度目の正直ですな」


「もう心残りはないですね?」


「「「早目に帰ってきて下さい」」」


そう、5日の朝に出ようとしてやめて、

6日の午後に出たと思ったら帰ってきて、

今日、8日が出発。


確かに三度目の正直だわ。


メイド達は素直に出発を惜しんでくれるが、

アルバとマルコスは苦笑気味だ。


「もぅ心残りは無いですよ」


そう言いながら、助手席のラスティを見やる。

はにかんだ笑顔がとても愛らしい。


ラスティってこんなに可愛いかったっけ?


()()ですからね、道中気をつけて」

と、アルバ。


「はい」


そう、俺とラスティは再会して次の日に結婚したのだ。

12月7日が結婚記念日となった。


そして8日の今日、

王都に向けて出発である。


「ありがとうございます、新婚なので気をつけます」


思わず顔が二ヘラっとしてしまう。


だって、やっと夢が叶ったんだもの。

しかもこんな美少女と結婚できたなんて、

夢のようだ。


俺は身体だけは若返ってるが、

実年齢55歳。

ラスティは19歳。

歳の差36歳だったが、

そういう事は全部再会したその日に打ち明けていた。

元々隠すつもりも無かったし、

その上でお付き合いしたかったからだ。

既に異世界人である事を分かっていたラスティは、

俺の実年齢を聞いてもさほど驚いた様子はなかった。

むしろ「だからだぁ」などと納得した様子だった。

それよりも、ルースが実は幻獣で、

血を舐めたら寿命が300年くらいになったと言った時の方が驚いていた。

「あ、あたし幻獣様と勝負してたの…」


え、驚くのそっち?!


そして一通り話し終わった時に、

ラスティは言った。


「あたしもベルちゃんと同じようにダイサクさんとずっと一緒に生きたい」


それを聞いて俺は、


「じゃぁ結婚するか?」


と、半ば冗談みたく言ったら、

ラスティは赤くなって俯いてしまった。


ほんとはルースに寿命の件をお願いする場面だったんだが、

思わぬ展開になってしまった。


しかし、言うチャンスでもあるな。


「ごめんラスティ、冗談で言う事じゃなかった」


「えっ違うの?」


と、ラスティ。


「ベル、俺、結婚しても良い?」


「良いに決まってるの。でも、次はベルの番なの」


「ん、分かった。ありがとうベル」


俺は改めてラスティに向き直り、

片膝を付いて言った。


「ラスティ、もう一度言うね。」


ちょっと驚いた様子のラスティも、

改めて俺と向き合ってくれた。


「は、はい!」


ちょっと緊張してる?


こんな風にころころ変わる表情も、

今の俺には全て愛おしく思えるから不思議だ。


俺はラスティに言う。


「俺は、いつからラスティの事が好きだったのか解らない。でも気が付いたら凄く君が大切な存在になっていたよ。ずっと側にして欲しいと心から思う。結婚して欲しい」


ラスティの目から涙が溢れた。


「はい」


「わぁ、おめでとう!ベルにも言って言って!」


『ふん、そう言う事は二人きりの時にせよ』


「あのなぁ、二人きりになんてなれないだろ。ここ数年トイレと湯浴み以外で一人になった記憶無いぞ」


「うふふ、ずっと一緒にいるもんね、これからはラスティお姉ちゃんも一緒だね」


「結局二人きりになんてなれないじゃん」


「あははは」


と言う感じで、

取り急ぎではあるが次の日に各所に報告し、俺達はひっそりと『婚姻の契約』を交わした。


この世界には戸籍と言う考え方はない。


婚姻には、名付けの時にも使った『契約の石版』を使う。


そもそもこの契約の石板は、

この世界ではある種の契約や約束事などに使われ、

結婚や名付けなどにも使われるが、

契約するとある種の呪いがかけられ、

契約違反をすれば、

程度に合わせて『正しく』呪いが発動する。


以前、アルバが契約に反したら命にかかわると言っていたけど、

それは違反の程度にもよるようだ。

まぁ違反しなければ全くの無害なので、

意外と幅広く利用されている。

但し、誰でもこの石版を持てる訳ではなく、

商人をはじめ、冒険者ギルドや役所など、

限られた職種、施設にのみ持つ事が許されている物だ。

 

今回婚姻に利用したのは庁舎にある契約の石版だ。


お互いが手を乗せて誓い合う。


それで婚姻成立である。


それからは追加の食料、ラスティの旅の準備を経て、

晴れて今日、出発である。


皆に別れを告げ、

西領門へと向かう。


門では衛兵達に挨拶され、

特に確認されるでも無くほぼスルーで門を通過した。


「凄い、簡単に通れた」


と、助手席のラスティ。


門は出る時より入る時の方が厳しいらしいが、それでも出る時もチェックはあるそうだ。

こんなに簡単に出たのは初めてだと言っていた。


それと言うのも、

俺が領主として伯爵(仮)に任命された日に渡されたプレートだ。

身分を表すプレートを俺は身に付けていた。


そのプレートはバンジスが使用していた子爵位のプレートだった。

直ぐにプレートは用意できないので、

仮にバンジスから取り上げたプレートを使うようにマミちゃんに言われていたのだ。


王都で正式に国王から伯爵位のプレートを賜る予定だ。


このプレートを各所の門で見せれば、

門を通過しやすくなるとの事だった。


バンジスの子爵位ってのが気に入らないが、

王都に行くまでの辛抱だ。


というわけで、

俺達は門を抜け、


ワンボックスは一路王都へ。


「おお、これが外の世界かぁ」


「出た事無かったの?」


「無い」


「ベルも無いの」


「ラスティは?」


「王都の魔法学校に3年ほど」


「すげー!魔法学校なんてあるんだ!」


ラスティの話しによれば、

魔法の才能がある者は誰でも通える学校があるそうだ。

そこで才能を開花できれば、

さらに推薦で魔法都市にある魔法学院で、

さらに高度な魔法が学べたり、

研究できたりするそうだ。


へぇ、魔法都市なんてのもあるんだな。


「ちょっと行ってみたい気もするなぁ」


「ダイサクさんとベルちゃんなら、直ぐに魔法学院に入れると思う」


「俺そんなに魔法の事知らないよ。なぁ、ルース」


『ふんっ愚かなお前に教えてやろう。基本をすっ飛ばして、己の魔力操作のみで身体強化する奴など、普通はおらん。まして無詠唱などは居るものではない』


「えっそうなの?」


気軽にルースに同意を求めたが、

俺の予想に反した答えだった。


『おそらく人間共に言わせれば、お主とベルは破格の才能を持ってると言えよう。私から見ればまだまだだがな』


「ベルも、なんとなくそう思ってたの。でもね、大ちゃんと居るとそれが普通になってくるの」


「あ、あの…」


ラスティがバツ悪そうに言う。


「前から思ってたんだけど、猫ちゃんのルースは何か言ってるの?」


「「あ」」


俺とベルが同時に声を上げた。


そう言えばそうだった。

使い魔の契約を交わしている俺とベルはルースと念話が出来る。

しかしラスティは契約していないから、

ルースの念話は聞こえないのだった。


「ルース、ちょっと変身して話そうぜ」


「ラスティお姉ちゃん、あのね、猫ちゃんルースの時は、いつも念話で話してるの」


「ラスティごめん、うっかりしてたよ」


「念話で話してたんだ。びっくりしちゃった」


「これで良いにゃ?」


ルースは猫髭娘に変身した。


「間近で改めて見ると驚きですね」


「ルース、ラスティも仲間に入れてくれよ」


「私は3人の使い魔ににゃるのか?」


「だめぇ?」


ちょっと甘えた感じで言ってみる。


「気持ち悪いにゃ。しかたにゃい、契約を上書きするしかにゃいにゃ」


「んじゃ王都に着くまで猫髭娘な」


「魔力が持たんにゃ」


そう言うとルースはベルと変わらない年齢くらいに縮まった。

猫髭幼女だ。


「ルース可愛い!」


「ほんと!可愛いです!」


「えっ?!なんで?」


「こにょ姿にゃら魔力を節約できるにゃ」


「ルース!なんで最初からその姿じゃ無かったんだよ」


「これだとバカにされるから嫌にゃんだ。良い子良い子とか嫌にゃん!」


既に隣のベルが良い子良い子してた。

ビクっとして手を引っ込める。


「わたしも良い子良い子したい…」


「ルース、良い子良い子はバカにしてるんじゃないぞ。」


「にゃらにゃんだ?」


「可愛いは正義なのだ」


「「何を言ってるのかわからないよ」」




俺達の旅は始まったばかりなのだった。





第一部 ギオールの街編 完




第一部が完結しました。

ここまでいかがでしたでしょうか?


次の更新は未定ですが、

たぶん年明けです。


では皆様、明けましたらおめでとうございます。

来年もどうかよろしくお願いいたします。



そして↓の★★★★★を押して私にお年玉を下さい。


何卒よろしくお願い申し上げます。




白村

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