表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トンネルを抜けたら異世界だった  作者: 白村
第一部 ギオールの街編
52/87

第五十二話 帰らないラスティ

11月に入った。

ラスティが帰って来るのは今月の予定だ。


魔法道具屋に行って、

何日頃になるか聞いてみよう。


俺は魔法道具屋に行き、

扉を開ける。

手にはプレゼントを持っている。


11月に入ってすぐラスティがいるとは限らないが、念のためだ。


わずかばかり期待したが、

やはりいたのは店長のおやじだった。


「あ、こ、これは領主様。この間は大変なご無礼をして、してしまうまで、も、申し訳ありません」


しどろもどろの店長。


「あーもーいーよ、それよりラスティって、何日頃に帰って来るかわかります?」


「そ、それが、11月に戻るとだけ手紙に書いてあっただけでして、何日頃になるのか分からないのです」


えー、そうなんだ。


「そうなんですか…。分かりました。また来ます」


俺は魔法道具屋を出た。


まぁ今日は居ないとは思ったが、

何日頃かもわからないとは。


なんだろう、この胸騒ぎは。


「大ちゃん大丈夫?まだ早いんだよ」


不安げな顔をしている俺に、

ベルが声をかけてくれる。


「そうだよね。ありがとうベル」


☀︎✴︎


次の日の夕方、

魔法道具屋に行った。

まぁ、まだだよね。


また次の日も、

その次の日も。


そして2週間が経った。


夕方、もういつもの時間。

魔法道具屋の前にいた。


すると扉が開いた。

中から店長が出てきた。


「領主様、今日も帰って来てません」


「そうですか、ありがとう」


項垂れて帰ろうとする俺に、

店長が声をかけて来た。


「あの、領主様、俺なんかがこんな事言ったら無礼かも知れませんが、いや!無礼を承知で言います!あんた男だ!俺は領主様の一途に惚れやした!今晩付き合って下さい!」


「えーーー?!?!、ごめん店長、俺にそう言う趣味は無い!」


道ゆく人達が俺達を見る。

「領主様ですよね?」

「異世界人の趣味でしょうか?」

「まさか男色とは…」


そんな声が聞こえてきた。

そもそも俺に言いよって来たのは店長だろう?


「ちょっとまてーい!俺が好きなのはラスティだ!店長ではなーい!」


周りに聞こえる勢いで言ってしまった。


「あ、しまった」


「おおぉ」


と言う声が聞こえて、

何故か拍手される。

ベルも拍手してた。


解せぬ。


「あ、あの領主様。申し訳ありあせん。今晩、一杯どうですか?と言う意味です、俺にも女房子供居ますです」


店長が申し訳なさそうに言ってきた。


「そう言う事はさぁ、ちゃんと言ってよ」


俺は今はお忍び。

フードを被ってはいるが、

ベルとルースを連れている時点で、

街のみんな、特に商店街のみんなには、

俺が領主である事はバレバレだ。

それでも商店街では暗黙の了解で、知らん顔してくれている。

会話する時もなるべく素知らぬ感じでいてくれる。

俺もそれが良いのだ。


なので、魔法道具屋の店長も、

そんな暗黙の了解でいるのだろう。

気安くされるのはありがたい。


俺は焼き肉食べ放題店に、

店長と一緒に入った。


酒と言えば焼き肉だ。


そこで、店長といろいろ話した。

主にラスティの事を話すのが多かったが、

第一印象の悪かった店長だったが、

意外に良い奴だった。


「へー、この食べ放題って異世界にある物なんですねぇ、ラスティオが喜んでましたよ。いくら食っても300マネだってね。」


「ほんとですか?それは嬉しい、この店はラスティの為に考案したようなものだから」


店長は驚いた顔をしていた。

そして真面目な顔になった。


「旦那、ラスティオをお願いします。あの子はちょっと変わった子ですが、ほんとに良い娘なんでさぁ、何度も縁談があったのに食うだけで嫌われちまって、でもいつも笑って言うんです。財布と心の小さい男には用はねぇって。旦那には本当に失礼した。またラスティオが傷付くかと思っちまって、ついあんな事言っちまいやした、旦那ならラスティオも幸せになれるはずだ。頼みます」


言われるまでもない。

でもね、ラスティが帰って来ないと話も出来ないんだよ。


それにしても、店長。

あんた良い奴じゃないか。


「俺がフラれない事を祈ってて下さい。」


「あのね、店長さん、ラスティお姉ちゃんと大ちゃんほんとは仲良しなの。あたしもラスティお姉ちゃん大好きなの。早く帰って来て欲しい」


「ベルさん、あんたも良い子だなぁ」


こうしてその日は終わった。


☀︎✴︎☀︎✴︎☀︎✴︎☀︎✴︎☀︎✴︎☀︎✴︎☀︎


切ない、寂しい、逢いたい。


期待と不安が入り混じる。


しかし、日が経つにつれて、

不安がどんどん大きくなる。


ほんとはこのまま帰って来ないんじゃないか?

もう逢えないんじゃないか?


街の名前が俺の名前になった。

もうそんな街には居たくないんじゃないか?

そこまで嫌われてしまったのではないだろうか?


不安が思考をマイナスに導く。


今日こそはと、


今までそう思ってた。


必ず帰って来てくれる。


そう信じてた。


そして11月30日


とうとうラスティは帰って来なかった。


魔法道具屋からの帰り道。

ベルと手を繋いで歩いてた。


ベルも元気がない。

きっとベルもラスティに会いたいんだろう。


俺達がサクラの街を発つまであと5日。


せめて一目でも逢いたい。




【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

https://mypage.syosetu.com/1555046/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ