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トンネルを抜けたら異世界だった  作者: 白村
第一部 ギオールの街編
35/87

第三十五話 罠


イレーンは不愉快だった。

今は地下室から離れ、

応接室のような部屋に来ている。


それにしても、

あのマミの眼光は何だ?


くそっ

普通なら、あの状況になったら、

許してくれと懇願してくる。

懇願しないにしても怯えた目をするものだ。


なのにあのマミの目は何だ?


くそっ


「どうしたイレーン、やけに不機嫌じゃないか」


そうイレーンに声をかけたのは、

冒険者風の男、ミゲロだ。


「うるさい、何でもない!」


「怖い怖い。雑貨屋のマミと言ったか?美人なんだって?俺が拷問しようか、ふふふ」


「もうダルマにヤられてるよ」


「それは残念。あいつがやると使い物にならなくなるんだよなぁ、マミも気の毒だな、ふふふ」


コンコン、

「姉さん、戻りやした」


ドアが叩かれイレーンを呼ぶ声がする。


「入れ」


ドアを開けて入って来たのは、

雑貨屋に襲撃に来た内の一人だった。


「何か見つかったかい?」

イレーンは男に向かって問う。


「いえ、隅々まで探しやしたが、これと言った物はありやせんでした。」


「そうか、ならやっぱり本人に吐かせるしかないねぇ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


およそ1時間ほど経っただろうか。

イレーン達が居る部屋のドアが再び叩かれた。


コンコン、


「入れ」


「失礼しやす。マミがゲロしました」


「なに?!吐いたってのかい?」


「は、はい」


報告に来た男はイレーンの意外な返答に戸惑った。

いつもはこういう時、イレーンは当然の態度でいるからだ。


しかし今回は違った。

 

それもそのはずで、

イレーンはマミが白状するとは思って無かったのだ。

白状したと言う報告こそが、

イレーンにとって意外だったのだ。


(あの眼光はなんだったんだ?!)


「おい、イレーン、何を驚いてんだ?1時間経つんだ。頑張ったほうじゃねぇか。奴の拷問に耐えられる人間なんていねぇよ。普通なら数分、もって10分。1時間なんて、俺の知る限り新記録だぜ。どんな女なのか俺も見たくなったな」


確かにそうだ。

ダルマの玩具にされて白状しない奴はいない。

この目で確かめるしかない。


イレーン達が地下室に入ると、

マミは酷い状態だった。


服はあちこち破れ、

破れた隙間に見える肌は血が滲んでいる。

何度も鞭で叩かれた痕だ。

指先からも血が垂れている。

爪が剥がされいた。


マミの目は虚ろで、

顔も腫れ、口からはヨダレが垂れていた。


「げっげっこんな玩具は初めてずら、痛め付けても悲鳴すらあげねぇ、おらゾクゾクしただ。姉さん、これオラにくれ。げっげっげっげっ」


イレーンはうんざりした顔をした。

付いてきたミゲロも顔を顰めている。


つい1時間前、マミに睨まれたイレーン。

マミの眼光に怯んだイレーンは、

マミは死んでも何も言わないのではないかと考えていた。

しかし今のマミの状況を目の当たりにして、

そんな考えは消え失せていた。


「話した内容を言え、それからだ」


「これでげす」


手渡されたメモを手に取り、

イレーンは内容を確認した。


「これは…。嘘は言ってないんだな?」


「げっげっ、オラこいつを使っただ、それも直に飲ませた。嘘なんて言えねぇずら」


ダルマ男は小瓶をイレーンに見せた。

イレーンにはそれが何だか一目で分かる。


魔薬だ。


通常魔薬は粉を火に入れて使う。

魔薬は燃えると紫色の濃い煙を発生させる。

その煙を吸う事で効果を得るのだが、

魔薬は直接飲むと自我を失う。

こうなるとほぼ何も出来ない廃人なのだが、

ダルマ男は絶妙な分量で、

人間を何でも言う事を聞かせる、

自我のない人形にする事が出来た。

当然嘘など言える筈も無かった。


イレーンはその事を分かっていた。


「けっ、だったら最初から使えゲス、用事が済んだら好きにするといいさ、ただしそれまでは何もするな」


「げっげっげっげっ分かってるずらよ」


イレーンは振り返り、

使いパシリの男に言った。


「おい、バンジス卿に伝えろ、()()()は手に入ったが、こちらに来ないとダメだとな」


「へい」


男は足早に地下室を後にする。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


どれほどの時間だったろうか、

1時間も経たない時間が長く感じられた。


イレーンとミゲロは地下室の椅子に座り、

バンジスが来るのを待っていた。


扉の向こうから足音が聞こえた。


(来たか)


イレーンとミゲロは立ち上がり扉に注目する。


扉が開き、

いかにもな格好をしたタヌキ男、すなわちバンジスが現れた。


「若返りの薬が手に入ったと言うのは本当か!」


口を開くなりバンジスはそう言った。


「はい、あちらの魔女がそうです」


「なに?魔女だと?」


バンジスはイレーンの指す方に目を向けた。

貼り付けのまま、虚ろな表情をしたマミがいる。


「この者が薬を持っておったのか?」


「いえ、この者の血が薬になるのです」


「何?この者の血が?本当なのか?」


訝しむバンジスに向けて、

イレーンは説明する。


「この者は、1000年前の戦争の生き残りだそうです。その時にリュンクスの血を飲んだと言ってます。そして老いるたびに自分の血を飲んで若返りをしてきたそうです。」


「何と!嘘などではないな?」


「魔薬で吐かせました。間違いないでしょう」


「なるほど、正しく魔女じゃな。この血があればわしは…。ぐふふふ、よし、この者の血を全て取り尽くせ」


「それが一つ問題が、この者から直に血を飲まないと効果を得られないのです」


「なに?!ならば仕方ない。この者に奴隷契約をさせよう、しかしその前に、まずわしが頂く。これでわしは国王も夢ではないぞ、ふふ、くふふふ、わはははは」


「バンジス卿、まず解毒します、少々お待ちを」


「うむ」


「おい、解毒のスクロールを持ってこい」


「へい」


使いパシリの男は足早に地下室を後にし、

しばらくすると戻ってきた。

手にはスクロールと呼ばれる魔法が封じ込められた巻物を持っている。


「ん?何だその猫は」

イレーンは使いパシリの男の足元にいる仔猫に気が付き、男に言った。


「へい、なんか店にいまして、妙に懐っこくて付いて来ちまったんです」


仔猫は地下室を見渡す。

マミを見つけるとマミの頭にぴょんと飛び乗った。


「うわっなんじゃこの黒猫は?!殺せ!」


黒猫仔猫はマミに向かって鳴いた。


「にゃぁ」


その瞬間、虚ろだったマミの瞳に光が戻って行く。

そしてマミは呟いた。


「ふぅ、やれやれ、やっと来おったか」


そしてマミは俯いたままだったが、上目遣いの鋭い眼光で、目線だけでイレーンと他の者達を睨みつけた。


「「なっ?!」」


イレーンは驚愕していた。


あり得ない?!

魔薬を飲まされて何故正気に戻る?!


マミは地下室にいる者を視線で威嚇し、

最後にバンジスを睨んだ。


「おや、バンジス卿が何でこんな所にいるのかのぅ、これは国王陛下に報告しなくてはならんのぅ、『闇の城』とバンジス子爵は繋がっておるとな」


イレーンを始めミゲロや他の男達、バンジスもこのマミの言葉に驚愕している。


「てめぇ!何で闇の城だと分かった!」


使いパシリの男が叫んだ。


マミはニヤリと笑い言った。


「はい、自白頂きなのじゃ」


「えっ?!」

男は自分のミスを悟り動揺する。


イレーンは使いパシリを睨んだが、

少し冷静になった。

こんなはりつけの女に、

何を振り回される事があるか。


「ミゲロ!」


「おうっ」


イレーンはミゲロを呼んだ。

ミゲロも自分の役目を分かってる。


ミゲロは腰の剣を抜いてマミに向かって行った。


余裕の表情でマミは、

頭の上の猫に向かって言った。


「ルースや、わしの魔力は美味いじゃろ、頼むのじゃ」


マミの頭の上の仔猫は、

軽やかに床に降りた。


そしてみるみる姿を変える。


何事が起きたのか理解出来ずに、

地下室の一堂は固まっていた。

マミに向かって行ったミゲロもまた、

目の前の出来事に理解が追いつかないでいた。


姿を変えたルースは、

猫髭娘ではなかった。


一言で言うならば真っ白な獣。

その獣は熊よりも大きかった。

頭に生える耳は長く、

真っ赤に燃えるような真紅の目は鋭く吊り上がり、

強烈な威圧感を放っていた。


「な、何が起きてるのじゃっ?!何だこれは?!」


「黙れ人間」


地の底から響くような声だった。


「ひっ」


バンジスはその場で尻もちを付いた。

その尻の下から、

黄色い液体が出てくる。


「ま、まさか…、そんな… 幻獣だ…と?!」


イレーンは声にならない声を何とか口にした。


「嘘だろ?!幻獣がなんでこんな所にいるんだよ?!」


イレーンの呟きを聞いてミゲロが叫んだ。


とそこへ地下室へ飛び込んでくる人影があった。


「「「「マミ様!」」」」

「マミちゃん!」

「お婆ちゃん!」


それぞれに呼びながら、

マミの元に集まる。


「うおっ何だこれ?!」

「おっきいうさぎさん?!」


「ふんっ我の真の姿だ」


「ルースなのか?!まーじーでー??」


「「「「サクラさん驚くのは後ですよ」」」」


四人組が奇跡とも呼べるシンクロで言う


呆気に取られているのはイレーンを始めとする犯罪集団。

突然おかしな連中がやってきて騒いでいる。


そもそもあの獣は何だ?!

ほんとに幻獣なのか?!

マミの仲間なのか?!


マミは鎖から解放された。

そこにすかさず治癒魔法がかけられ、解毒がかけられる。

ルースの無詠唱魔法だ。


マミは身体が治った所で、

自身に魔法をかけた。


収納魔法の応用で、

『早着替えクイックチェンジ』だ。


マミは数秒光りに包まれ、

光が収まった時には、

まるで聖騎士の様な格好になっていた。


白と青のコントラストが美しい衣装に、

やはり白が基調となった格好の良いマントを羽織り、腰には細剣レイピアをさしていた。


「えっ!?マミちゃん?!」


「お婆ちゃん綺麗!」


驚き騒ぐ2人にマミは微笑みかけ、

直ぐに厳格な顔に改める。


レイピアを抜き、

へたり込むバンジスの鼻先に向けた。


「ひっ、な、なんじゃ、貴様らは!!」


バンジスはいきなりの事に思考がついて行けてないが、

身の危険だけは分かったようで、

マミから無様に後ずさる。


続いてイレーンは短剣を抜き、ミゲロは剣を抜き臨戦体制に入る。


その他の男達も戦う気十分だった。


シンクロ4人組もそれぞれに剣、短杖を構え敵を睨みつける。


しかし、バンジスの他にも思考が混乱してる者がいた。


ダイサクである。


マミ救出に来たつもりが、

そのマミがいきなり綺麗な騎士みたいになった。

それだけでも驚きなのに、

凛と振る舞うその姿に別人だと思うしかない。

さらにルースもだ。

何だよその凶暴な姿は?!

こっちも別者じゃねーか!


そんなダイサクの思考にもお構いなくマミは言った。


「バンジス・ジ・ギオール、貴様の悪行はこのマミ・アストライア・タナカがしかと見た。覚悟しろ!そして闇の城の者共、貴様らも大人しく武器をすてろ」


威厳のあるその物言いをする者は、

マミ・アストライア・タナカと名乗った。


ダイサクはどこかでその家名を聞いた事があったが、それを忘れていた。

しかしそれを思い出させてくれたのが、

バンジスだった。


「ア、アストライアだと?!まさか、何故王族がこんな所に?!いる訳ないだろ!わしは騙されんぞ。おかしな獣に驚いたが、とんだ茶番だ。おい、イレーン、ミゲロ、マミ以外は全員皆殺しにしろ!」


「さぁ死にたいのはどいつだ?このミゲロ様が相手してやる」


「では私が、貴様に名乗る名は無い、さっさと片してやるから来いゴミ」


そう言って前に出たのは4人組の一人アガンだ。

アガンもいつのまにか剣を抜いていた。

そしてミゲロと対峙した。


「嬲り殺してやるぜ」


ミゲロはアガンの挑発に怒りを露わにしていた。

そして剣を振り上げてアガンに襲いかかる。


次の瞬間、ミゲロの剣は弾かれ、

怯んだミゲロにアガンは当身を入れて、

いとも簡単にミゲロを無力化してしまった。


「弱いな」


イレーンは唖然としていた。

ミゲロが子供扱いだ。

ミゲロは決して弱くはない筈だ。


闇の城は実力主義。

弱い奴は上にはあがれない。

現にイレーンだって、

数多くのライバルを実力で跳ね除けて幹部になった。

そのイレーンよりミゲロは強かった筈だ。


これは逃げた方がいい。

イレーンの勘がそう叫んでいた。


しかし驚いてるのはイレーンだけではない、

ダイサクもまだまだ絶賛驚き中だった。


この人達は何者なんだ?雑貨屋と愉快な仲間達じゃないのか?それにあの偉そうなデブ。マミちゃんはバンジスと呼んでいた。あれが黒幕か?見てるだけでムカつく顔してる。俺も何か言ってやる。貧民街の改革を邪魔しやがって!


「おい!そこのブタ野郎!てめぇ貧民街の改革邪魔しやがって、大人しく捕まれアホ!」


「貴様は何者だ?!」


「俺はサクラだこのブタ野郎、ブタはサッサと食われろアホ」


「サクラだと?!あぁ貧民街に金をばら撒いてくれる愚か者は貴様の事だったか」


「なに?!」


「ぐふふふ、良い顔するじゃないか、貴様は貧民共に働かせて金をばら撒いて良い気になってたみたいじゃがな、貧民共はその金で魔薬を買ってたんじゃ。おかげで儲かったぞ。ぐははは!貴様がばら撒いた金は全部わしの儲けじゃ。ざまぁないのぅ、ぐっふふふふ、ぐはははは」


ダイサクは唖然とした。

なんて事だ。

そして怒りが込み上げてくる。

ダイサクは握り拳をわなわな震わせて、

バンジスに向かおうとした。


が、その時声がかかる。


「佐倉大作。落ち着け。ブタの挑発にのるな、ブタはブタじゃ」


マミはいつもの調子でダイサクに言った。

ダイサクもマミのこの言葉を聞いて少し冷静になれた。


ふううぅぅ。危ない危ない。もっと心を鍛えなきゃだな。


そしてマミはバンジスに向けて言う。


「間抜けめ。己からベラベラ喋ってくれるとは、尋問の手間が省けた。」


そのマミの言葉でバンジスは顔を真っ赤にして怒りを露わにした。


「ぐっ、き、貴様こそ王族の名を語り、わしを陥れようとしよって、貴様らこそ大罪人じゃ!ここで皆殺しにしてくれる!」


バンジスはそう言うと、近くの男から剣を奪いマミと対峙する。

そして剣を振り上げた。


「うがーーっ」


声を上げてマミに迫るが、

マミとバンジスの間に割って入る者がいた。


アガンだ。


「邪魔だ!どけえーい」


バンジスはアガン目掛け剣を振り下ろすが、

アガンは呆れ顔で剣を受け流す。


「ブタの動きなど、剣を使うまでも無かったなぁ」


「なっ?!貴様」


と、その時だった。

ダイサク達の後方から小さな悲鳴が上がった。


「きゃぁっ」


ダイサクの後ろに隠れるように様子を見ていたベルだった。

ベルは、後ろから近付いてきたダルマ男に捕まってしまった。


「げっげっげっげっ動くなずら、新しい玩具が手に入ったずら、げっげっげっげっ」


「しまっ…」


しかし次の瞬間、

捕まった筈のベルが透けていき見えなくなっていった。

いや、正確には顔や腕、足だけを残して消えている。


「ずら?」


そして、ダルマ男は宙に浮いてから、激しく床に叩きつけられた。


「汚い手で触んないで!」


ダルマ男は気を失った。


その間にバンジスが動いた。


「血を寄越せぇえー!!」


バンジスは真っ直ぐマミに斬りかかって行く。


ガキッ


しかしバンジスの剣は獣の爪によって止められた。


そしてバンジスは後頭部から頭をルースに鷲掴みにされ、無理矢理上を向かされた。


バンジスはジタバタしている。


「そんなに血が欲しくばくれてやる」


ルースは片方の爪でバンジスの下顎を引き口を開かせる。

そして自らの唇を噛み切り血を垂らした。


垂れた血はバンジスの口に入った。


『ゴクリ』


「どうだ、不老不死になった気分は?」


ルースが言うとバンジスはみるみる少年の姿に変わっていく。

しかしデブはデブのまま。

むしろもっと醜い姿になっている。


「醜い奴だ。未来永劫苦痛と共に生きるが良い」


ルースは肥大したバンジスの腹に爪を刺す。

ブスりと。


「ひぎゃぁぁ、痛い痛い痛い痛い痛い、やめてくれぇ!」


ダイサクはベルを抱っこして、

自分の胸にベルの頭を抱えるようにしている。

子供に見せる物でないとの配慮だ。

ベルは自分で耳を塞いでいた。


さらにルースは人差し指の爪を伸ばした。

どういう仕組みなのか、

任意で伸ばせるようだ。


鋭く尖った爪を、

ジタバタするバンジスの心臓目掛けて、

ブスリと、ゆっくり刺していく。


「痛い痛い痛い痛い痛い、ごめんなさいも、もうしません!ひぎゃぁぁああ!」


ゆっくり刺される爪はやがて心臓に届く。

手を緩めず、

ルースはそのまま心臓を貫いた。


「ぎゃぁああ!死んだから、もう死んだから離して…えっ?!」


「死なないと言うのはどう言う気分だ?」


「い、痛いのです、許してください」


バンジスの顔は鼻水と涙でぐしゃぐしゃだ。


「す、素晴らしいずら、オラそれ欲しいずら」


いつのまにか目を覚ましているダルマ男がいた。

ダルマ男はバンジスを見て、

恍惚な顔をしている。


「なんだ?この者は」


ルースの疑問に答えるのはマミだった。


「拷問官じゃ」


「ふんっくれてやる、好きにして構わんぞ。何をしても死なんからな、ただし逃すでないぞ」


「こんな素晴らしい玩具、逃す訳ないズラ!」


「ふんっ」


ルースは無造作にダルマ男の前にバンジスを投げた。


「ぐぎゃっ痛い痛い」


変な落ち方をしたバンジス。

今ので足首が折れたようだ。


そのバンジスの髪の毛を鷲掴みにして、

ダルマ男は嬉々として隣の部屋に消えていった。

扉が閉められ、暫くすると悲鳴とうめき声が聞こえてきた。


その光景を一同無言で見ていたが、

皆、顔を顰めていた。


無言を破ったのはマミだった。


「おや、どうやら逃げられたようだね」


地下室を見回すと、イレーンの姿は無かった。

残されたのは数人の男達と、

気絶して倒れているミゲロだけだった。


男達は戦意喪失で、

観念した者、

ルースに怯える者とがいた。


「役目は終わったな」


ルースはそう言うと、

しゅるしゅると黒仔猫に戻った。

とんっとダイサクの頭に乗る。


すると通路から複数の足音が聞こえてきた。


扉が開かれ、

衛兵隊が流れ込んできた。


隊長らしき人物が、マミの前で跪く。


「マミ様、全て制圧致しました」


「はい、ご苦労さん」


マミは気安く返答していた。




【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

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