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トンネルを抜けたら異世界だった  作者: 白村
第一部 ギオールの街編
34/87

第三十四話 噂の真相

9月13日


ここは商店街にある雑貨屋、

マミ・タナカの店である。


最近ではマミ婆さんが若返ったと言う噂も落ち着き、

店先に人だかりが出来ることは無くなった。


マミは今は店の奥にある部屋にいる。

10畳ほどの部屋に執務机があり、

マミはそこに座り、

目の前に居る男と向き合っている。

部屋にはマミと男の他に、

男1人女2人の3人がいる。


「首尾はどうじゃ?」


「はい、そろそろバンジスの耳に噂が届く頃と思われます。」


そう言ったのはシンクロ四人組の1人、

アガンだった。


四人組はいつもの雰囲気とは全く違う空気を纏い、マミの前に並んで立っている。

目つきも真剣そのものだ。


「そうかい、餌に食い付いてくれると良いねぇ」


「でも良かったんですか?」


そう言うのはアガンの妻、メーデンだった。

続けてメーデンは言う。


「わざと噂をばら撒いて()()()を攫わせるように仕向けるなんて」


「仕方あるまいよ、そうでもしないといつまでもバンジスを野放しのままじゃ」


「うん、この数年調査して来たけど、闇の城とバンジスが繋がってるのは間違いないのに、裁けないんだからさ。権力って厄介ね」


そう愚痴るように言ったのは、ティノだ。


「くそっ俺この街気に入ってたんだよなぁ、ベルちゃん達と別れたくないよ、サクラさんも良い人だしさぁ」


そしてグラードも、別れを惜しむような言葉を口にする。


「彼らのおかげで貧民街も救われる、バンジスにも罠を仕掛けられた、私らは仕上げといこうじゃないか。しかしリュンクスが現れたのはほんとに嬉しい誤算じゃったな」


「そりゃマミ様は若返ったから良いよね」

からかうような軽口はグラード。


「ふん、恐らくこれからわしは酷い目に会うんじゃ、それくらいは良いじゃろ?頼りにしとるからの、殺される前に何とかしておくれな」


「縁起でもない事言わないで下さい。事が起きたら迅速に動きますから、耐えて下さい、そもそもこんな無茶な事考えたのマミ様なんですから」

グラードがマミの言葉に不平を言った。


「ふん、お主らやサクラ達を信じとるからこんな無茶を思い付いたんじゃ、それにこうでもしないと貧民街が全滅じゃ、お主達、頼むぞ。」


「「「「御意!」」」」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


それから数日だったある日、

雑貨屋に訪問者があった。


「あんた、噂で若返ったって言われてるけど、それほんとかい?以前ここに婆さんが居たけど、あんたその孫とかじゃないのかい?」


この訪問者は初めてマミと話すにも関わらず、太々しい態度で言いたい事を言ってきた。全く遠慮のない話し方だ。


この訪問者は町娘風の女の子だったが、

その好感の持てる風貌とは真逆の態度と話し方だった。

その訪問者はイレーン。

闇の城のギオール支部幹部であった。


イレーンは一人でなかった。

数人の厳つい男達も一緒だった。


全員で5人。

威圧感を放ってイレーンの後ろに立っている。


マミは一人で店のカウンターにいたが、

相手が何人だろうとお構いなしに、

いつもの雰囲気を崩そうとはしない。


「なんじゃお主らは、礼儀を知らん奴らじゃな。商売の邪魔じゃ、帰れ」


イレーンはそんなマミの態度に苛立ちを覚えた。


「おとなしく質問に答えな。お前は若返った婆さんなのか?」


「だとしたらなんじゃというのじゃ、お前さんらには関係ないじゃろうが。さっさと帰れ!」


「そういう態度をとるなら容赦しないよ。若返った秘密を吐かせるまで、どんな事だってしてやる。覚悟はあるのかい?」


イレーンは凄んで見せるが、

マミは馬鹿にしたような態度で答える。


「はんっ小娘が何を言っとる。一人じゃ、か弱いばばぁの相手もできない小心者のくせに、覚悟があるのはどっちか、こっちが教えてやるわい」


「この野郎、下手に出てりゃ調子に乗りやがって。何もしないと思ったら大間違いだ。お前らやっちまいな」


「な、何をするんじゃ!わしは襲われる覚えなどないわい!」


マミは男に囲まれ、あっという間に拘束されてしまった。

本来ならばマミ程の魔法使いなら、

こんな簡単には捕まったりしないだろう。


しかし、今回に限っては、()()()()()()()のだった。


シンクロ四人組は異変を察知している。

時刻は深夜だったが、

直ぐ行動に移した。


マミが連れて来られたのは、

闇の城のアジトになっている薬屋だった。

商店街とは離れた所にあり、

裏手にはバンジスの屋敷がある。


表向きは薬屋だが、

その内部は犯罪組織の拠点だった。


マミ達が事前に調査した時も、

この薬屋が拠点だろうと目星をつけていたが、確信が無かった。

しかし今回のマミ誘拐で、

間違いなく薬屋が組織の拠点だという事がはっきりした。


マミはそこの地下室に拘束されてしまった。


「あんなに威勢が良かった割には、ずいぶんしおらしくなったじゃないか?洗いざらい吐いてもらうよ」


「ふんっ誰が話すものか。」


「ふふふ、いつまでそう言ってられるか楽しみだね。おいっ」


「へい」


おいと、呼ばれたのは怪しげな男、

背中は曲がり首を前に突き出したような姿勢をしている。

そのせいのもあるのか、

身長は低いが、決して小柄ではない。

ボロいシャツに毛皮のベストを羽織り、

下は履いているのかどうか分からないが、

シャツが太ももまであり、その下は足がむき出しな格好をしている。


まるでダルマに足が生えたようだった。


男は下卑た笑みをマミに向ける。


「コイツぁたまんねぇなぁ、げっげっげっ」


マミはあからさまに嫌な顔をして、

次にイレーンを睨み付ける。


イレーンはそんなマミの眼光に一瞬気圧されそうになるが、

鎖で磔にされているマミに何か出来るわけもない。

イレーンは一瞬でもマミの眼光に怯んだ事に腹を立てた。


「やれ!」


イレーンのその一言で、

ダルマ男は鞭を取り、


マミに向けて振るった。







【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

https://mypage.syosetu.com/1555046/


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