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トンネルを抜けたら異世界だった  作者: 白村
第一部 ギオールの街編
33/87

第三十三話 噂

8月30日


炊き出しから1週間経った。


俺は相変わらずマルコス様邸に忙しい。


しかし、その忙しい中でもちょっと思い付いた事があり、

俺は商人アルバと会う約束をした。


そしてちまたでは何故か今になってマミちゃんが若返ったという噂が流れ始めていた。


「雑貨屋のばぁさん居なくなったと思ったら若返ってて気が付かなかっただけだったらしいぞ」

「婆さん死んだ訳じゃ無かったのか?」

「え?!あの飴玉婆さんが巨乳になったのか?!」


などなど、突如としてマミちゃんは時の人になっていたのだった。


俺は今アルバと商店街を歩いている。

雑貨屋の前に人だかりが出来ていた。


みな噂の真相を確かめる為に集まっているようだが、

マミちゃんは商売の邪魔だと怒鳴っていた。


しかし今頃になってこんな噂が立つとは。

不思議でしょうがない。


「サクラ殿、この店です」


「これはなかなか良い感じですね。」


俺は商人アルバととある飲食店に来ていた。

飲食店と言っても今は経営をしていない、空き店舗だ。

これからここを買い取って、

焼肉食べ放題の店をオープンさせる予定だ。


そう、『食べ放題』の店だ。


俺はラスティを見ていて思った。

食べ放題のお店があったら、

ラスティがどんなに喜ぶだろうと。


この世界には食べ放題の店は無かった。

そこに目を付けて、

商人アルバに提案した訳だ。


当然アルバはノリノリだった。


俺の経験上、

食べ放題の店ってのは、

普通どんなに食べても元は取れない。

そういう仕組みになっているからだ。


だって、そういう仕組みにしないと、

店はたちまち赤字で潰れてしまう。

若い頃は食べ放題店に行って、

それこそ死ぬほど食っては、

『元取ったんじゃね?』

などと言っていたが、

それは気のせいであって、

早々元が取れるものではないのだ。


考えても見ろ。

自分でスーパーで肉を買って、

ホットプレートで焼肉をした方が、

遥かに安く済むではないか。


そういう事なのだ。


アルバは直ぐに動いて空き店舗を探し出し、

もう既に開店の準備に動いている。

さすが行動が早い。


俺には経営ノウハウなんてものは無い。

あとはアルバの手腕任せだ。


開店予定は来月。


無事に開店する事を祈ろう。


あとは、ラスティがこの店に来て、

思う存分に食べてくれたら嬉しい限りだ。


そうなのだ、俺がアルバに提案したのは、

他ならないラスティの為だったのだ。


もぅ俺の恋は実らないが、

これで少しでも幸せを感じてくれれば、

俺はそれで良い。


ラスティならば確実に元は取れるだろう。


とりあえず今回は焼肉店にしたが、

ビュッフェ形式の店とか、

パン食べ放題とか、

食べ放題店をたくさんオープンさせたら、

きっと喜んでくれるに違いない。


「アルバさん、ひとつお願いがあります」


「何ですか?」


「魔法道具屋の店員さん知ってますよね?」


「ああ、ザカローラさんですね、大食い魔女の。彼女は厄介ですなぁ。様子を見て別料金とりますか?」


大食い魔女の二つ名を知っていたならば話は早い。


「あー家家、それはダメです。いくら食べも別料金を取ったら食べ放題じゃなくなりますから。もし赤字になったら、俺が払いますので、彼女も普通に受け入れて下さい」


「分かりました、サクラ殿にも良い人が出来たようですな」


「違うんですよ、彼女とはいろいろあって、俺はフラれたんですが、その、それでも喜んでもらいたくて」


「そうなんですか。サクラ殿、男ですな」


「他言無用でお願いしますね」


「大ちゃん、ラスティお姉ちゃんに言ったら許してくれるかもよ」


「ベルちゃん。男には格好付けたい時もあるんだよ。だから内緒ね」


「ふううん、大ちゃん格好良いけどなぁ」


『面倒な奴だ』


ルースうるさいよ。


こうしてまた一日が過ぎていった。



【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

https://mypage.syosetu.com/1555046/


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