第二十七話 バンジス・ジ・ギオール
時は少し遡り11月21日
ここはバンジス・ジ・ギオール子爵邸の裏手にある建物。
そこは『闇の城』のギオールのアジトだった。
表向きは薬屋となっているが、
その実は『闇の城』のギオール支部であった。
「おいウラ!てめぇ勝手に動いて貴重な戦力を失うたぁどういう事だ?」
ウラに向かって叱責してるのは、
小柄な女の子だった。
見た目は街娘風で、かわいらしい格好をしているのに、
この言葉使いが全く似合わない。
対してウラは床に座らされている。
「す、すいやせん!まさかこんな事になるとは、もっと楽勝だと…」
バキッ
「うぼっ」
少女の爪先がウラの腹にめり込む。
ウラは苦悩の表情を浮かべ、
必死に呼吸をしようと足掻いている。
「おいおい、イレーン、その辺りにしとけ」
このイレーンと言う少女を宥めるのは、
フルプレートに身を包んだ冒険者風の男だった。
「だけど、ミゲロ、こいつのせいで貴重な奴隷のガキと戦力を奪われたんだ、しかも4人も始末する羽目になったんだぞ、てめーどう落とし前つけんだ、このやろー!」
再びウラはイレーンの制裁を受ける
バキッ 「うぇっ」
ゴキっ 「おぁっ か、勘弁して」
ズドッ 「すいません」
「ぁぅぅ…」
「やめろ、死んじまうぞ」
「面倒事起こしやがって、二度とあたしの手を煩わすんじゃないよ!」
ウラは気を失っていた。
他の下っ端がミゲロに促されてウラを運んでいく。
「イレーン、後始末は済んだんだね、僕に声をかけてくれれば手伝ったのに」
そう声を掛けたのは、
いかにも金持ち風の服装をした青年だ。
「ラウダート、あんたに借りは作りたくないんでね。」
「何を言うんだよイレーン、僕と君の仲じゃないか、貸し借りなんて関係ないよ」
「ふん、あたしは騙されないからね」
「それより、ウラが連れて行った殺し屋どもを簡単にねじ伏せたっていう奴が気になるんだがな」
ラウダートと呼ばれた金持ち風の青年と、ウラを蹴り飛ばしていたイレーンの会話に割って入ったのは、冒険者風のミゲロと呼ばれた男だった。
「ふん、そんなの信じられないね、ウラが自分の失敗の言い逃れするのに、でっち上げた嘘に決まってる。ウラのクズはいつもそうなんだよ」
イレーンは吐き捨てるように言った。
「そうかなぁ、僕には嘘を言ってるようには見えなかったけどね」
「それは詐欺師の勘なのか?」
「まぁそんな感じかな」
「ふんっそんなのはどうでも良い、捕まえてくれば分かる事だ」
イレーンはやる気満々だ。
と、そこへ奥の扉が開き、
声がかかる。
「それはやめて置いてもらおう」
イレーン、ミゲロ、ラウダートは揃って声の主を見る。
そこには豪華に着飾った腹の出たデブが立っていた。
歳は40代くらい、肉は肥え身長も高いとは言えない。偉そうな似付かわない髭を生やし、顎髭を指でなぞるように触っている。
「これは、バンジスさん、こんな所に来るなんて、誰かに見られでもしたら大変ですぞ」
そう、この偉ぶったデブは、
何を隠そうこのギオールのNO.2の子爵、
バンジス・ジ・ギオールだったのだ。
突然の来訪者に3人は驚いたものの、
直ぐに冷静さを取り戻した。
「報告ならしてるはずです、ここに来る用事は何ですか?」
「うむ、そうなんだが、マルコスの奴がふざけた事を抜かしとったので、何か対策をと考えてたのだが、報告を聞いて気が変わったのだ。」
「どういう事ですか?」
「報告にあったサクラという愚かな職人だが、手を出すな、生かしておけ。訳はこれから話す」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
2時間ほど時間が経っただろうか。
バンジスは闇の城の拠点となっている薬屋と、自分の屋敷を繋ぐ秘密の地下通路を、屋敷に向かって歩いていた。
いやらしい笑みを浮かべている。
「ぐふふ、サクラとかいうガキめ、せいぜい私の為に役に立っておれ。ぐふふふ」
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白村
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