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トンネルを抜けたら異世界だった  作者: 白村
第一部 ギオールの街編
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第二十五話 日雇い雇用開始

11月14日


解体開始から一週間経った。

瓦礫の山が邪魔で解体作業が進まなくなってきたので、

いよいよ今日から貧民街の労働者を投入だ。


商人アルバも来ている。


今日集まったのは15人。

その中にベルの両親もいた。

兄弟達は来ていないようだ。


俺は皆を集めて朝の朝礼だ。


仕事は瓦礫の運び出し。

瓦礫を荷車に乗せて運び、

一旦敷地の入り口近くに設置した瓦礫置き場に積み上げると言う、簡単な作業だ。


しかし簡単とは言え決して楽な作業ではないし、

危険も伴う。


朝礼では、作業内容の説明と、

怪我だけはしないように安全第一で作業をするようにと伝える。

また体調が優れない場合は遠慮なく申し出るようにとも伝えた。


作業には5人一組でチームを組んでもらい、

瓦礫を崩して荷車に運ぶチームと、

荷車に瓦礫を乗せて置き場に運ぶチーム、

そして置き場で荷車から瓦礫を下ろして積み上げるチームに分かれさせた。

チームにはそれぞれリーダーを決めて、

リーダーにはこちらの指示を伝え、

リーダーはそれぞれの作業員に指示をする。

何かあればリーダーが間に入ってこちらに報告すると言う体系にした。


それぞれの作業場所は、

ローテーションさせてチームを入れ替える方式にした。

全員に全ての作業を体験してもらう為だ。

全員が同じ作業量なら、

不平不満は出ないだろうと思ったからだ。


あとはそれぞれのリーダーにリーダー手当てを出して、向上心を植え付けて、各チームのメンバーの働きを見てもらう。

サボっていたら減点してその分日給から引く。

リーダーの働きはチーム員に見てもらって、ダメなリーダーはやはり減点して日給を下げる。あるいはリーダー交代をする。

逆も然り、働き者には加点して増額もありだ。

もちろん俺も何もしないわけではない。

ちゃんと現場に立って皆の働きを見つつ指揮するつもりだ。


とりあえずこんな感じで働かせてみて、

改善点を探しながら運営していく方針だ。


アルバは俺の話を聞いてなるほど、と納得していた。


休憩時間は、10時から30分

12時からお昼休憩で1時間

15時から30分

作業開始は8時からで、

終了は17:30とした。


作業場所の交代は休憩時間毎に交代して、

最後の作業場所は希望を聞いて決める。

希望が被るようならジャンケンが良いかな。


そう言えばこの世界にジャンケンてあるのかな?


そんな事を考えつつ、

最初の組み分けと作業場所が決まった。

グループ毎に誰がリーダーになるか話し合いで決めて貰って、

いよいよ作業開始だ。


最初は慣れない作業で皆戸惑いながらもやっていたが、

徐々に慣れてきてだんだん動きが良くなってきている。

ベルの父親も、身体が弱いと言っていたが、夫婦で一生懸命に動いている。

ベルはそれを遠目で見ていた。

複雑な表情に見えるのは、

手伝ってあげたいと思っているからだろう。

しかしここで手伝っては贔屓になってしまうので、ベルにはお手伝いはダメだと言ってあった。


ごめんなベル。でもそれが両親のためなんだよ。


10時の休憩が終わり作業場所を交代。

そしてお昼だ。


今日は雇用初日なので、

皆にお弁当を用意した。


「ベル、親子で一緒に食べてきて良いよ」


「うん、でも」


「ルースが一緒なら問題ないから、たまには家族してきな、ルースはベルの守護獣だから、一緒にいてやってくれ」


「うん、ありがとう大ちゃん」


『ふん』


俺はアルバと一緒に食うか。


「サクラ殿、なかなか順調なようですな。こんなふうに組み分けして効率よく人材を動かすというのは、素晴らしいアイディアです」


「え?こういうの無いですか?」


「ないですねぇ、なかなか勉強になりますよ。大体、労働力というのは奴隷が一般的で、『働け』と命令すれば良いだけですからね」


なるほどね、それじゃあまりにも効率悪いだろ。

今回のような仕事の場合、

一人一人がバラバラに動いてやるのは、

一人一人にかかる負担も大きい。

精神的にもキツくなる筈だ。


グループ分けっていうのは、

グループになる事で、

仲間意識が芽生える。

仲間意識があると、

自然と助け合ったりするようになるものだ。

それだけで大分気持ちも楽になる。


「そうなんですね、俺は例え彼らが奴隷だったとしても、このやり方にしますよ。労働力は貴重ですからね、それに、俺の国では、『職長』という者がいました」


「職長ですか、どういった役割ですか?」


アルバは熱心に俺の話を聞いてくる


「はい、今回のリーダーみたいな立場です、各職場に職長を配置して、新人が来ても指導できるようにする。そうすると俺達の負担も減るし、常に現場を見てる目があるのでサボる者も減るし、結構良い事あると思います。俺はそういう人材を育てていきたいと思っています。」


「人材を育てる!なるほど、目から鱗ですな」


「これは、日雇い派遣商会にも役に立ちますよ」


「そうですな。今後の計画に加えておきましょう」


俺とアルバは昼食を摂りながら、

仕事の話に夢中になっていた。


ベルが戻ってきて、

そろそろお昼休憩の終わりだと言ってきた。


あっという間だったな。


しばらくすると時の鐘が午後1時を知らせてきた。

ベルたん時計は凄いな。


俺は午後からもよろしくお願いしますと皆に声をかけて、

仕事を再開した。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


今後5時半。

俺はリーダー達を集めて、

今日のそれぞれの仕事内容を尋ねてみた。


『みんな頑張りました』


うーむ、

ここで問題発生か。


リーダーにしてみたら、

誰彼がサボったとか、

誰彼だけが頑張ったとかを報告するのは、

告げ口みたいに思うのだろう。


これは課題が残ったな。

今後考えて行かないとな。


一応今回は仕方ないが、

リーダー達には、

それぞれの働き振りを見るのは、

公平にする為で、

これは皆の為だと説明した。


しかし今回のリーダー達は皆疲れた顔をしている。

リーダー以外の人達も疲れているようだ。


まぁそりゃそうだよな。

慣れない重労働だ、

これ以上説明しても無駄だろう。


俺はグループ毎に並ばせて、

今日の日給を手渡していった。


「ご苦労様でした。また良ければお願いします。」


「ありがとうございます」


肉体労働の日給は、

日本の相場だと1万円ほどだろう。

なのでこの世界では1000マネほどだ。


いちおこの額はアルバにも確認済みだ。

少々高額ではあるが、

まぁ良いでしょうと言われた。


リーダーには1100マネを手渡し、

他は1000マネを渡した。


皆疲れた顔をしていたが、

渡された賃金を見て喜んでいた。

貧民と言われる者たちには、

良い収入になっただろう。


全体的な仕事内容としては、

15人で1日かけた割には、

正直進みは悪かった。

まぁ初日なんてこんなもんだろう。


これからどんどん覚えて貰って、

効率が良くなれば結果も付いてくるに違いない。


と、信じつつ、本日は終わった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


次の日、集まったのは初日と同じ人数の15人だった。

その中に昨日から続けてきた者は、

ベルの父親を含めて5人。

ベルの母親は残念ながら来れなかったそうだ。

いちお経験者5人の未経験10人と言う形だ。


昨日と同じく、組み分けしてリーダーを選出してもらい、作業を開始してもらう。


とりあえずやりながら改善点を見出して変えていくしかない。

まだまだ始まったばかりなんだ。

焦る事はない。


この瓦礫の処理も、ぶっちゃけて言えば、

俺の収納魔法でどうにでもできるんだよね。

それをあえてしないのは、

貧民街のみなさんへ仕事を提供する為だ。

せっかく仕事があるのに、

わざわざそれを俺が取り上げる事もないし、

これで貧民街が変わるなら、

他ならないベルの希望を叶える事になるからだ。


ベルが俺の所に来たのは、

元々は貧民街を助けたい一心で俺の所に来た訳だからな。

最初はそんな事は出来ないと思っていたが、なんとか変えて行けそうな気がしてきた。


こうしてみんなが働いている姿を見ていると、希望が見えてくるよ。


始まって2日。

まだまだ先は長いと思うが、

これからも出来そうな仕事が出れば、

どんどん回していこう。


順調な滑り出しで、俺はけっこう満足していたのだった。


【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

https://mypage.syosetu.com/1555046/


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