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トンネルを抜けたら異世界だった  作者: 白村
第一部 ギオールの街編
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第十九話 リュンクス


むか〜し、昔、ある所に、それはそれは美しいお姫様がいました。


お姫様はその美しさから、

たくさんの結婚の申し込みがありました。

サルやタヌキ、鬼までもが申し込みに来ました。


けれどもお姫様には、実は好きな人がいたのです。


お姫様はある日好きな人に会いに行きました。


「ああ、愛しの人よ、あなたの名前を聞かせてください」


「お姫様、わたしのような者に名前はありません、どうかお姫様が名前をお付けください」


お姫様は好きな人に名前をつけました。


2人は夫婦になりました。


そしてお姫様に子供ができました。


それを知った鬼達はおもしろくありません。


お姫様に仕返しを考えます。


お姫様は、鬼の家来のタヌキに襲われて殺されてしまいます。

その時、生まれたばかりの子は遠くに飛ばされてしまいました。


それに怒ったのがうさぎです。


うさぎは悪いタヌキを懲らしめ、最後に

は殺してしまいました。


それには、鬼も黙ってはいませんでした。


鬼とウサギは大きな大きなケンカをしました。

ウサギは亀と犬、キジを仲間にしますが、


鬼の強さに負けそうになりました。


そこへ竜がやってきます。


竜はうさぎ達と協力して悪い鬼を退治しました。


でも、周りを見てみると、

喧嘩の跡で誰も住めなくなっていました。


困ったうさぎは龍にお願いします。


龍は喧嘩の跡をきれいにしてくれました。




「これがこの世界にあるお伽話じゃ。お主に解るようにだいぶ端折っちゃいるが。」


「はぁ」


俺は気の無い返事をすると、


「気の無い返事じゃのう、本題はここからじゃい」


「リュンクスとは、龍語でウサギ、または山猫を意味する。」


「へぇ〜」


ゴチっ


「いってーー!何すんだよ!」


「お伽話と繋げてよく考えてみるんじゃ!」


さっきのお伽話には、ウサギが正義の味方として出てきている。そしてそのウサギがピンチの時に龍が救っている。


「つまりウサギは龍と仲良しだ。」


ゴチっ


「いてーーーよ!」


なぜゲンコツされる。


「お前さんはバカか?リュンクスとは何の意味があると言った?」


リュンクスとは、龍語でウサギ、または、山猫。


「あ!そうか、リュンクスは黒猫じゃなくて山猫だったんだ!」


ゴチっ


「いっってーーーーーわ!」


今までで一番痛かったぞ。


「分からん奴じゃな、あそこでベルちゃんと戯れるリュンクスは、つまりお伽話のウサギと言う事じゃ。だいぶこじつけも入っとるかも知れんが、この世界でリュンクスを知る者は、みなそう思っとる。だから幻獣様なのじゃ。解ったかアホタレ」


え?!て事は何かい?


「もしかして、俺達とんでもない奴と契約した?」


「あぁ…」


物凄い憐れみの顔をされた。


解せぬ。


「まぁ恐れ慄くよりは、そんな能天気の方が良いのか知らんな。しかしじゃ、今度こそ良くお聞き」


婆さまの眼が鋭くなった。


「ベルちゃんが今回付けた名前、『ルース』、ルーは龍語で、『龍』、スーは龍語で『使い』を意味する。」


また謎めいた事を、

しかしお伽話だと思って聞いていたが、どうやらこの世界のお伽話は、この現実に深く関わり合いがあるみたいだ。

お姫様が名前を付けて夫婦になるとか、

この世界の名付けの文化にも繋がってる感じだし、年号も龍暦だしな。

そのお伽話からの流れでいくと、ベルが付けた名前には何らかの意図がある気もするが、考え過ぎだろうよ。


「なぁマミちゃん、俺は日本人だからかかも知れないけど、お伽話はお伽話でしかないんだよな。確かにリュンクスに付けた名前はなんか意味深だけどさ。俺にはそこまで深い意味は感じないよ」


「……そうか、まぁ頭の隅にでも置いておくが良い。リュンクスがどんな存在かも、言葉で言っても分からんか。」


「ところで、マミちゃんマミ・タナカって言うんだな。マミちゃん日本人か?」


「おや?言っとらんかったか?マサユキ・タナカはワシの旦那じゃ。ただし『元』が付くがな。」


「まじで!?そっちの方が驚きだわ。マサユキさんは生きてるのか?」


「さぁな、あのバカの事だ、どっかで魔法の研究でもしとるかもしれんなぁ」


マミ婆さんは遠い目をして、ベル達を眺めた。


ちょっと間があったが、

聞きたい事を思い出した。

話題変えるのにちょうど良い。


「そうだマミちゃん、さっきのルースとマミちゃんの会話、気になるんだけど、教えてよ」


「あぁそうじゃったな」


マミ婆さんの話しによると、

リュンクスは魔力を食べるそうだ。

俺達の魔力が気に入ったと言ってたのは、俺達の魔力がお口に合ったと言う事だろう。


食堂でお野菜を食べたのは、

メインが魔力で、

サラダが欲しかったのでは?

と言っていたが、

冗談だよな。


名前をつけるのも俺達が初めての名付け親になるらしい。


俺達が魔力を食わせる代わりに、

ルースは守護と使い魔になる事を了承した。

その意味を聞くと、

守護はそのままの意味でベルだけではなく、一緒に手を乗せた俺も守護される。

これはルース自身が俺にしてくれた事だ。

龍の盟友たるリュンクスの守護は、

かなり強力な筈だとマミ婆さんは言った。


実際どんな守護なのか?と聞いた所、

例えば、呪いや毒の類いは、ほとんど跳ね返すのではないか?との事。


物理的な攻撃だと効能は薄いが、害意、敵意を持つ者が近づくと、リュンクスのルースが直ぐに察知するはずとの事だ。

あとはルースが直々に手を下し、契約者を守るのだそう。


俺はともかく、ベルにとっては有り難い守護だ。

でも、あの仔猫の姿で、どんな戦い方をするんだろ?

正直強そうには見えないんだがね。


使い魔としては、ベルと俺の命令を聞くようになるらしいが、龍の盟友じゃなかったのか?人族の命令なんて聞くのかよ、と思ったが、それが命名の契約で決まったからには拒否出来ないとの事だ。

だから、ルースはマミ婆さんに”良い度胸だ”と言ってたわけだ。

リュンクスもマミ婆さんもすげーな。


そして、リュンクスのルースは500年ほど俺達の元にいると言った。

しかし俺はそんな長生きしないと言ったのだが、リュンクスに呆れられてしまった。


なぜ呆れられたのか、

それはルースの血を舐めた事にある。

『リュンクスの血』、それは、生命力の源であり、飲めば永遠の命すら手に入ると言う伝説級の血だと言われた。


過去にリュンクスの血を巡って戦争が起きたと、マミ婆さんは歴史にまで残っている事だと話してくれた。


は?!

まじですか?

不老不死って事なのか?

とんでもない物を舐めたみたいだ。


しかもその血をルースの方から勧めてきた。

念話する為とは言え、そんな事はまずしない筈だと、マミ婆さんは言っていた。


事実ルース自身が、こんな事はあまり好かんと言っていたしな。


あのひと舐めでもかなり寿命は伸びたのでないか?と、マミ婆さんは言っていた。


そりゃ500年くらい居座るつもりなら、

俺達はそれくらい生きるんだろ。


驚愕の事実だった。

目眩がしそうだわ。

全くそんな実感が無い。

あとでルースに聞いてみよう。


あ、念話は時間切れの筈だから、YES、NO形式で聞けば分かるだろう。


と言うかマミ婆さん、あんた迷いなく舐めてたな。

いくつまで生きるつもりだ?


あとはルース自身の年齢だ。

ほんとは本人に聞きたかったが、

聞ける状況じゃなかったからな。


マミ婆さんの予想だと、

1000年は生きてるのではないか?

もしくは転生したばかりだろうと言う事だった。

転生するという言い伝えがあるそうだが、

それって永遠に生きるのと同義ではないだろうか。


見た目は仔猫だが、これも本人の意思で姿を留めているのだろうと言う話しだ。


なんか聞けば聞くほどとんでもねーな。


リュンクスはとんでもない存在だと、だんだん実感湧いてきたよ。


そんな怪物、幻獣様を相手にして、

対等とも言える態度をとるマミ婆さん、

あんたも十分幻獣並みだわ。


改めてルースを見やる。

ベルと戯れ合う姿はただの黒い仔猫だ。


これからはベルを守ってくれる有り難い存在なんだな。


「なぁマミちゃん」


「なんじゃ?」


「幻獣ってどれくらいの数居るもんなのかな?」


「さぁな、歴史上確認されたのは、今までで2体だけと言う話を聞いた。この目で見れるとは思ってなかっわい。」


「その2体もリュンクス?」


「いや、悪い方の2体じゃ。ほんとかどうかは分からんが、古い文献に載ってるらしい」


悪い方と言うと、タヌキと鬼か?

鬼はともかく、タヌキの幻獣って、なんか間抜けだな。


「ふうん、古い文献かぁ。」


日本ならネットでちょいちょいっと調べられたが、いちいち文献を探すのも手間だな。


この世界には本屋は無い。

まだまだ本が高価な物だからだ。

ラスティの魔法道具屋で買った『サルでも解る魔法入門』も1万マネ、日本の価値にしておよそ10万円。

それでも落書きが多くて実際の相場よりだいぶ安い。

もっとも、日本語の落書きだから、俺には価値があるんだがね。


でもちょっと興味が湧いてきた。

仮にルースがお伽話に出てくるウサギだとしたら、詳しく調べてみるのも面白いかも知れない。


いろいろと話しは聞けた。

主にリュンクスがこの世界にとってどんな存在なのか、

なかなか興味深かかった。


俺達はマミ婆さんに別れを告げ、

雑貨屋を後にしたのだった。


【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

https://mypage.syosetu.com/1555046/


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