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トンネルを抜けたら異世界だった  作者: 白村
第一部 ギオールの街編
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第十四話 初めての愛称

無事炊き出しが終わった翌日の朝


目が覚めた。


相変わらず抱きついて寝てるベル。

気のせいかさらにしがみついてる気がするが、うん気のせいだろう。


俺はこの世界の事を考える。

というより、この街の事かな。


まだこの街から出た事もないのに、世界の事など考えようもないからな。


まず7人の貴族、それに商人、平民、兵隊に富裕層、そして貧民に奴隷。


そういえば、この街に奴隷っているのかな?

見た事ないと思う。

貧民街の名無しの子供達は売られてどこに行ってしまうのだろうか。


この俺になんとか出来るのかな。

変える事はできるのだろうか。

そもそも何故俺はこの世界に来たのだろうか。

俺がこの世界に来たのに意味があるとすれば、この世界を変える事?


な、訳ねーか。

日本にいた頃の俺は、ただの一市民でしかなかった。そんなのが異世界に来たからって、世界を変えるなんて大それた事できるわきゃねー。


なにせ

「こんっーーーーなちっぽけ」

な存在なのだ俺は。


「ぷっ あははは」


ベルの笑い声がした。


「起きてたのかよ」


「うん、なんか難しい顔してるなぁって見てたの。そしたら急に変な事言うんだもん。うふふ」


「俺、たまに考え事が口に出てるんだよなぁ」


「面白いの、何を考えたら『こんーなちっぽけ』とか言うの?」


「それは、俺がこの世界に来た訳を考えてて、俺みたいなちっぽけな存在が何かを変えられるのかなぁってさ」


「この世界に来た訳?それはねぇ、ベルをお嫁さんにする為なのぉ、きゃわん!」


俺の胸に顔を埋めて照れ隠しをするベル。


きゃわんて、あ、今俺萌え死んだ。


ベルってまだ9歳なんだよなぁ。

たまに大人びて見える時がある。

美少女恐るべし。


しかし俺にとってベルは娘なんだよね。

結婚するより先に娘ができた感じなんだけど、

嫁さんは欲しいと思う今日この頃。


とりま、難しい事考えてもキリが無い。

俺はまずこの可愛い娘の願いを叶えるべく、いろいろな意味で力を付けなければならない。


あ、ベルの願いって言っても結婚じゃなくて、貧民街を変えるアレね。


まずは稼がなくてはならないな。

昨日帰宅した時に、手紙を預かってると宿主から手渡された手紙があった。


差出人は商人アルバだ。

内容は今日の午後から子爵様の建て替えの打ち合わせをするとの事だった。


まずは手紙に書かれた時間にアルバのとこに行って、そこから子爵様邸に赴くようだ。


どんな邸宅になるか分からないが、稼げたら良いな。

貧民街のみんなの為にも、ベルの為にも頑張ろう。


身支度していつもの朝食&コーヒーを済ませて、宿屋の中庭に出る。



午前中は時間があるので、

魔力操作の修行だ。


はぁっ!として、ぐっと抑える。

その繰り返し。


昭和の男性アイドルがそんなような歌を歌ってたか?


ベルも真面目に集中している。


だいぶ身体の中の魔力が解る気がする。

暖かい物が身体の中に有る感覚とでも言おうか、

はぁっとすると、それが広がって、

ぐっとすると抑えられる感じ。


これが多分魔力なんだよな。


合ってるのかちょいと心配だが、

試しに右手に集めてみるか?


体から腕を通って手に集めるイメージ。


んんんんんんんん…


おお、

じわっと掌が暖かくなった。


魔石を手に取る。


親指と人差し指、中指の三本で魔石を摘み、

掌から指先へと魔力を流すイメージ。


ん?!


なんか流れてる感じがする!


魔石は汚い黒って感じだけど、


あ、


魔石に艶が出てきた。


このまま続けて魔力の流れを意識してみる。


目を閉じて、

意識を集中する。


漠然とした魔力の流れのイメージを意識して追う。


ヘソの下、丹田と言われる辺りが一番熱い。

そこから指先までをトレース…


あ!感じる!魔力をハッキリ感じる!

このまま意識を保ったまま目を開ける。


よし、まだ感じる、解る!


見える、私にも見えるぞ!


魔石を見る、


おお!


あんなに黒かった魔石が、

半透明になってる!


すげー!出来てる!


みるみる魔石は透明になってしまった。


「ふう、ベル見て見て!できた!」


ベルを見ると、ベルも嬉しそうに魔石を俺に向けていた。


「ベルもできたのー!」


「おお、凄いぞベル!じゃぁ次は魔石から魔力を抜くぞ!」


「うん!」


丹田が暖かい。その丹田を意識して魔力操作ができた。次は魔石を意識してみる。

むむ、魔石は身体の一部じゃないから意識を向けるのは難しいかも。


いやまて、魔石は身体の一部じゃないから操作は出来ないだろ。

ならば指先か。魔石に触れた指先に意識を向ける。


あ、解った。


魔力を感じる。


魔力を引っ張って抜く。


魔石に入れたんだから、

『吸い取る』が正しいのかも知れないけど、

吸うのは口だからなんか違う感覚だ。


だから引っ張って抜く。

こっちの表現の方がしっくりくる。


魔石の色が変化する。

透明だった魔石の中に、

モヤモヤが出てきて広がり、

だんだん赤黒くなっていく。


抜き切った。

魔石は汚く赤黒い。


ベルを見ると、嬉しそうにこっちを見てる。

成功したようだ。


「ベルぅ一緒に出来るようになったね、俺達は仲良しだ。ははははは」


「うん、仲良し!」


感覚を掴んだ。

こうなると課題が終わるのも早い。

と、思ったのだが、魔石はなかなか手強い。

繰り返す毎に、透明になるまでに必要な魔力が増えていってる。


なるほど、そうそう簡単ではないようだ。

さすがマミ婆さんが用意した魔石だ。一筋縄ではないな。


頑張ったが丹田が言う事を聞かなくなってきた。痺れた感じがして、思うように魔力を操作できない。単純に疲れたようだ。


ベルも同じみたいで、疲れた様子だ。


今日はこのくらいにしておこう。


なんでもそうだが、

できるようになると楽しいものだな。

つい時間を忘れてしまう。


とりあえず部屋に戻って休むとしよう。


部屋に戻ってベッドにばふっと倒れ込む。

なんだか疲労感がどっと押し寄せてきている。


ベルを見ると、俺と同じようにだいぶ疲労感があるようだ。


「大丈夫か?」


「うん、休めば平気だと思うの」


約束は午後2時、さっき10の鐘が鳴ってたから今は10時ちょい過ぎか。


この世界にも時計はあるが、機械仕掛けではなく、魔石で動く魔道具だそうだ。なので高額なので、普通は『時の鐘』の知らせで時刻を知る。正確に時刻を知りたければ、時の鐘がある『時の塔』に行けば、『時の鐘の時計』があり、分刻みの時刻を知る事が出来る。この街の待ち合わせ場所と言えば、時の塔の前広場が定番だ。

ちなみに目覚まし時計は無い。

代わりにタイマーのような機能がある魔法道具があるだけだけど、それもやはり高い。


みんな朝どうしてるかというと、時の鐘が朝6時から鳴り出すので、鐘の音で目覚めるのが一般的だそうだ。

それより早く起きたければ、早寝は必須だ。


ちなみに俺は毎日6時半から7時くらいに起きている。

宿屋の食堂もそれくらいから営業している。


朝コーヒーを飲んだのが7時くらいだとして、2時間くらい魔力を使ってた事になるかな。


2時間でこの疲労感か。

これからは気を付けて魔力を使おう。


ふと思ったが、俺は青い魔力を纏っているらしいが、今は何色なんだろ?

魔力量が減ってるはずだから、色も変わってる筈だ。


あ、そう言えばベルの魔力量は?

ベルは自分の魔力量を『見れる』のかな?


聞こうと思いベルを見ると、

寝息を立てていた。


俺より少ない魔力量で頑張ってたなら、

相当酷い疲労感に違いない。


このまま寝かせておこう。


なんだか俺も眠くなって来た…。


この状態を、確か『ゴールデンスランバー』って言ったっけ、


訳すと、黄金のまどろみ…か…。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


はっと目が覚めた。


「今何時だ?!」


やばいっ

どれだけ寝てた?!


「ベル!やばい寝過ごしたかも!」


あれ?おかしい。

同じベッドとはいえ俺達は離れて寝てしまったはずなのに、

ベルが抱きついてる。


あー考えてる時間がない!

やばい今何時だ?!


「ん〜、大ちゃんおはよ」


「やばいんだベル、俺も寝ちまってて、遅刻かも?!って、今なんて???」


「んと、今たぶん1時くらいなの」


へ?1時と言ったか?


ゴーンと外から時の鐘の音が聞こえてきた。

一回で終わる。

確かに1時だ。


ほぉぅぅと緊張が解ける。

良かったぁ、あぶねー。


てか、なんで時間が解ったんだ?


「ベル時計持ってんの?」


「持ってない、んとね、ずっと前から時計塔とか行ってるうちに、なんとなく分かるようになったの。」


おお!


「そりゃぁ凄い!ベルの腹時計まじぱねー」


「ちょっと何言ってるかわからないの」


苦笑するベル。


「あとさぁ、俺の事呼んでみて」


「あ!えっと、あの…大ちゃん」


「えへへへへ、はいな!」


照れ臭そうに俺を愛称で呼んでくれたベル。

俺はふにふにと応えて、ハグをした。

俺の喜びは伝わっただろう。


先日、シンクロ四人組に初めて会った時に、『ご主人さま』と言った事で少々騒ぎになった。

多分、ベルなりに考えてくれたんだろう。

この小さな身体でいろいろと考えてくれていると思うと、とても愛おしい。


「大ちゃん、時間ないの」


ハグしたままの俺にベルが言ってくれる。


「あ、そうだった、支度して昼飯食って行こう」


「うん」


体調も多少だるさはあるものの、だいぶ回復したようだ。


加減が分からないから、今日時間があったらマミ婆さんの所に行って聞いてみよう。





【読者の皆さま】


いつも読んでいただきありがとうございます。



小心者の私に、


↓ の★★★★★を押して勇気を下さい。


よろしくお願いします!




白村しらむら


↓ 作品一覧はこちら ↓

https://mypage.syosetu.com/1555046/


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